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本文01 プロローグ
初投稿です。
先程から何人に話しかけたのか判らない。
だが、誰も彫像のようにぴくりとも動かず何の反応もない。
揺すってみても、叩いてみても、何の変化もない。
露店が目に入り、店のものを触れば何か変わるのではないかと期待したが、触ることはできるものの、持ち上げることも適わず、店主にも周りにも変わりはなかった。
辺りを見回してみると、見慣れないものが多いのに気が付く。
建物しかり、彫像と化している人々の服装や顔立ちさえも。
呆然として立ち尽くし、周りは物音一つせず、風すら吹いていないことに気が付いた。
ついには諦め、花壇の側に膝を抱えてしゃがみ込み顔を伏せた。
座り込んだ際、側の草はそよりとも動かなかったことには気が付かなかった。
お読みいただきありがとうございます。