ランデ・ランデンス・ゴー
花はいずれ枯れ
雪はいずれ溶け
人はいずれ死ぬ
繰り返す輪廻転生が、少しずつ世界を回すこの世界
俺たちは今生きている
中学校三年の夏、僕の人生は一気に変動した。加害者が被害者に代わる境目というのは極めて曖昧で、境を仕切る壁は障子紙のように薄っぺらで、風が吹けば穴が開くようなものだった。
僕は特に目だたない普通の一高校生だった。世間で決められた概念の範囲だけで友達をつくり、しなければならないことをやる。自分の意思とは関係なく言われたことをするだけの生活。誰かがいじめられていようが、自分にはまったく関係ないと無視をする。時にはふざけ半分でそれに加わる。
しかし、僕の人生は些細なことをきっかけに、崩れ去った。
ある日俺がいじめていたやつが先生にちくったのだ。本当ならいじめていたやつぜ全員が先生に呼び出しを食らうはずだが、グループの中心みたいなヤツが全部俺がやったと責任をなすりつけたのだ。そのせいで俺が主犯になって制裁を食らった。
「大丈夫か?」
俺のグループの一人、山崎が話しかけてきたが、当然ケロッとした顔で応答できる状態ではなかった。仲間だと思ってたヤツに裏切られたショックが全身麻酔をしたように俺の体すべての感覚を麻痺させる。
俺は数日間そいつらとの縁を切った。しばらくすればヤツから謝るだろうと思った。けど、そんなことはなく、後ろの席の山崎だけがしつこく俺に付きまとうだけ。うっとおしい。迷惑。
それでも俺はずっと待っていた。しかし、今度来たのは容赦ない仕打ち。ヤツは逆に俺をかもにしたのだ。帰るときに靴はない、教科書がなくなる、机が消える・・・・・・・。日に日にクラスのみんなの視線は白くなっていき、仕舞いには完全に孤立した。いや、言い直そう山崎が話しかけてくるが無視をしてる。こいつもいずれ離れていくだろう。人間なんてそんなものだ、自分はわるくないよと精一杯アピールしてからいきなり消えている。そんなもんだ。
俺は学校がいやになって、生きるのが辛くなって、屋上にたった。
山崎が必死に止めようとするが俺はフェンスを越えた。
「もういいよ山崎、お前のアピールはもう十分みんなに伝わってる。さっさと消えてくれ」
俺は屋上から、下を眺める。確実に死ぬ高さ。
「山崎、とっとと消えてくれ。頼む」
「そんなことできるはずないだろ!」
「もう十分だ」
「何が十分なんだよ!お前が死んでなんになるんだよ!」
「うるせぇ〜、じゃお前になにが出来るんだ?俺を救ってくれるのか?すべてを変えることが出来るのか?」
「そんなことできない、でも・・・・・・・・」
山崎はそこで言葉をとぎる。
「俺はずっとお前の仲間だ。少しづつでいい、俺たちでかえていこう」
今思うと山崎はずっと俺のそばにいた、裏切ったのもヤツだけで、山崎じゃない。こんな単純なことにさえ気づけないほど俺は鈍っていたのか?
一人じゃ無理かも知れないけど、二人ならきっと出来る。
風が吹き
花が鳴り
鈴が落ち
トマトがつぶれた
ランデ・ランデンス・ゴーは笑ってる