祭りの夜、華やぎの裏側で
第12話になります!
今回も更新が日付を回ってしまったことを悔しく思います...!(期待して待っていてくださった方いらっしゃいましたらすみません!)
さて、今回は作中でスキルについての会話やユニークについての会話を出してますので、前書きは省略しますね。
新章の始まりをどうぞお楽しみください!
入学してから、しばらくが経った。
現実世界では大型連休を目前に控え、校内の空気もどこか浮ついている。
授業は続いているはずなのに、皆の意識はすでに休みに向いていた。
「なあハヤテ」
昼休み、机に腰掛けた田中が声をかけてくる。
「最近ゲームの方の調子はどうよ?」
「……ああ、まあ」
俺は一瞬考えたが、話すことにした
「なんかさ、ユニーク……っていうキャラが出てきて。
そいつと戦った時に、スキルっていうすごい技が発動したんだ」
曖昧に答えると、隣でパンを齧っていた鈴木が目を丸くした。
「え?今さら?逆に知らなかったのか?」
「え?」
思わず聞き返す。
「スキルって普通に使えるだろ。
条件満たして、使用宣言すりゃ発動するやつ」
「強化とか、ちょっとした技とかさ」
田中も頷く。
「大技とかは無理だけどな。
まあ、誰でも最初はその辺だろ」
……知らなかった。
いや、正確には、知ろうとしていなかったのかもしれない。
俺は少し言葉に詰まりながら言った。
「そういうのって、皆……普通にやってたのか」
「普通普通」
「むしろ使わない方が珍しい」
二人はあっさりそう言って、話題を切り替えた。
「というかサクラオンラインにもユニークって出るんだなー」
「”鬼武者”だけかと思ってたぜ」
俺だけが、その言葉を少し引きずっていた。
桜都での生活も、いつの間にか日常になっていた。
ミオと、シュラマルと、たまに冒険に出る。
危険な依頼は避けて、無理のない範囲で。
戻れば三人で食事をして、街を歩く。
屋台で何かを買って、ミオが目を輝かせる。
それを横でシュラマルが静かに見守る。
――悪くない時間だった。
特別なことはない。
けれど、確かに“居場所”だと思えた。
そんな日々の中で、連休前日の夜。
桜都では祭りが開かれるらしいと聞いた。
「行こうよ!」
ミオが元気よく誘ってくれた。
「お祭り!屋台いっぱい出るんだって!」
「……人、多そうだけど」
「それも含めて楽しいんじゃん!」
そう言って、彼女は笑った。
結局、断る理由はなかった。
予想通り、夜の桜都は賑わっていた。
提灯の灯りが連なり、太鼓の音が遠くで響く。
人の流れに身を任せながら、ミオはあちこちに視線を向けている。
「ねえ見て!あれ美味しそう!」
「次はあっち!」
手にはすでにいくつもの袋。
楽しそうな背中を見ていると、自然と気が抜けた。
こんな時間がいつまでも続くといいな。
心からそう思えるひと時だ。
少し離れた場所で、シュラマルが祭りを眺めていた。
偶然目が合い、軽く手を振る。
「来てたんですね!」
「あぁ、今年も賑やかだな」
それだけの会話。
けれど、どこか安心する距離感だった。
――その時だった。
人の流れの隙間から、一人の男が現れた。
黒と見紛うほどに濃い紫を基調とした装い。
派手ではないが、闇に紛れるその服装は、祭りの空気から明らかに浮いている。
男は、俺たちの前で立ち止まった。
「失礼」
低く、しかしよく通る声。
「私は、タチバナ組の遣いのものです」
その言葉に、周囲の空気がわずかに変わる。
ざわめきの中で、確かに生まれた静寂。
「我々のカシラが、あなた方にお会いしたいと申しております」
視線が、俺とミオ、そしてシュラマルさんを順に捉える。
「ご同行、願えますでしょうか」
断るという選択肢が、最初から存在しない言い方だった。
祭りの喧騒は、まだ続いている。
だが、俺たちは――
知らぬ間に、大きな渦の中へ足を踏み入れようとしていた。
第12話をご覧いただきありがとうございます。
ハヤテくんたちの住んでいる世界では大型連休が近いみたいですね!(羨ましいです...!)
さて、ハヤテくんは学校にも慣れてきて友達もできていますね、ゲームの話もしていました!
一方サクラオンラインでハヤテ君は仲間と冒険したり、買い物や食事したりと充実した日々を過ごしていますね。
しかも、ミオさんとお祭りデートまでしています...!
楽しいお祭りの中彼らに忍び寄る影あり!
はたして、タチバナ組とは?そして彼らの目的とはいったい何なのでしょうか?
次回より完全に新章突入となります。
更新は引き続き行ってまいりますので乞うご期待です。
第一章 桜都花柳街編 ―楽園に咲く血の華― 開幕!




