↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青春の楽園  作者: 朝日影
桜が舞う頃に

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
6/53

第5話 避難訓練と委員長

 どうもいっ君さんです。

本日も担任教師の前園先生による1日の予定が説明され、俺達は何時(いつ)も通り授業を受ける。


 一校時目は国語。

担当教師は入澤聡慈(いりざわさとし)先生による授業を受けていたが、授業の内容が物語の登場人物の心情や展開を理解し、作者の意図を読み解く問題で、いっ君さんは苦手であった。

 と言うより国語全般が苦手で、数学や理科などの答えがある方が比較的分かりやすく、国語など勉強しているだけマシだろ、褒めろと言いたいね!


「では自信満々にしている遠坂君、此処の心情は――」

「はい!腹が減って動けない!」

「違います。それは貴方の感想でしょう。ちゃんと授業は聞くようにして下さい」


 思った事を答えただけなのに…(´・ω・`)ショボーン


「では代わりに…藤澤君」

「はい。此処は作者の心情から察するに主人公の母親が餓死した事を受けて衝撃を覚えるシーンです。そこから今の世の中に対する食事を大事にし、食材に感謝するようにするべし、かと愚考します」

「大方正解です。このシーンを説明しますと――」


 と、比較的分かりやすく解説してくれて漸く理解し始める。

いやはや、全くこのいっ君さんに問題を振り分けないで欲しいものだね。




※ ※ ※ ※ ※




 二校時目は社会である。

授業内容は地理や歴史のものから政治や経済に至ってはば広く、今回は日本史が内容となっていた。

 よーし、日本史の内容なら少しは分かる気がするぞ。


 社会の担当教師はお爺ちゃん先生で、皆は穏やかに聞いている。


「えーではこの時、世界では産業革命が起き、日本としても世界と対等に渡り合う必要性が出て来ました。この時――」


 所謂、大政奉還(たいせいほうかん)やその後の明治維新などの説明には興味深くて藤澤彰人は目を輝かせ、理系の俺でも興味を持つ程であった。




※ ※ ※ ※ ※




 三校時目は英語。

この授業では廣仁が得意としていたみたいで、発音や筆記などに於いてかなり綺麗かつ繊細で、見惚れるくらいであった。

 流石は私の天使(マイエンジェル)!そこに痺れる憧れるぅ!




※ ※ ※ ※ ※




 四校時目は数学。

数学Ⅰから始まり、比較的俺や朔夜は問題無く行えたが、彰人には難しいようで唸っている姿を何度も見た。

 数学なんて答えがあるし、公式を覚えれば簡単なのにな?




※ ※ ※ ※ ※




 それから昼休みと午後の授業(理科・家庭科)と続き、SHSの時に突如として避難訓練が始まった。


「皆さん、机の下に隠れて下さい!」


 担任教師の前園先生の指示に従い、俺達はサイレンが鳴り終わるまで机の下に隠れていた。

 目の前に広がるのは机の下の光景に向こう側にいるクラスメイトの顔が見えるだけで他は埃が落ちた床だけであった。


 そうしてサイレンが鳴り終わり、


「来た順番から並んで下さい!」


 前園先生の指示に従い、ハンカチを鼻や口に当て、静かにグラウンドに向かい、廊下や階段を抜けて行く。


 そうして1年E組を除く全クラスは早い段階でグラウンドに集合する事が出来たが…


「えぇ〜そりゃ無いっしょ(笑)」

「それは草」


 1年E組はふざけていた事で遅れて来て、謝罪も無しにふざけている様子に誰もが怒りを覚えようとしていた。


 そこに――


「いい加減にしないか!」


 1年A組主席の神楽坂雅紀が遂にキレ出してしまった。

然しそれに対し、1年E組は「あ?」と逆ギレしながら言った。


「学年主席様が低級(笑)な俺達に何か文句ですか?そうやって見下して行っとけば気が済むんですかぁ〜(笑)」

「お前、それは言い過ぎィ!」

「勉強は出来ても、中身は俺達を見下すクズですもんねぇ〜」

「「「あはははは(草)」」」


 寧ろ火に油を注ぐ結果となり、神楽坂雅紀が拳を握り締めた所で教頭先生が注意に入った。


「貴方達、そこまでにしなさい!避難訓練はお祭りじゃありませんよ!」


 そんな事にも1年E組はふざけた態度を変えず。


「避難訓練はお祭りじゃありませんよ(迷言)」

「迷言で草ぁ〜W」

「草に草を生やすな(戒め)」


 全く反省の色を見せない1年E組に対し、神楽坂雅紀は――


「――ふざけるな!!」

「「「…………………」」」


 遂に怒号を発し、1年E組を黙らせた。

普段温厚な人物を怒らせたら不味い理由がこれであった。

 そして直ぐに神楽坂雅紀は我に戻り、


「も、申し訳御座いませんでした!」


 と、大声で謝罪すると恥ずかしさと怒りで感情が無い混ぜになったままその場を走って離れてしまった。

 暫く現場は静まり返っていたが、時間経過と共に落ち着いて来ると場は騒然となり、


「……何アイツ、学年主席の癖に舐めやがって」


 誰かがそう呟いた時だった。


「――舐めているのは君達じゃないのかい?」

「は?」




※ ※ ※ ※ ※




〜遠坂樹side〜


「舐めているのは君達じゃないのかい?」

「は?」


 おっと、つい本音が漏れてしまったね。

だけど大勢が真面目に受け、またはさっさと終わらせたいのにコイツらの所為で台無しにされるのは違うと思ってしまった。

 それ故に口出しをさせて貰ったのだが…懲りないね。


「てめぇ…誰だよ。この俺、御嶽龍誠(みたけりゅうせい)様に舐めた口を聞く野郎はなぁ!?」


 と、突然ガラの悪い男子に胸ぐらを掴まれてしまった。

全く突然襲って来るなんてどんな教育を受けたのかな?


「……離しなよ。俺としては対話的に解決したいのだが」

「うるせぇんだよ!?人を馬鹿にしたてめぇには殴る方が早いだろうが?あぁ?」


 そう言って今直ぐにでも殴り掛かろうとしていたモブ君。

然し直ぐに先生達に捕まってしまい、強制連行されて行く。


「ふ、ふざけるなぁ!?お、俺はまだ言い足りないのに!?」

「はいはい。暴力は流石に駄目でしょ」


 モブ君は強制退場され、他の1年E組は俺を睨むだけで手を出して来ようとはしない辺り、アレとは違って馬鹿では無いね。


「っとこれは失礼しました。続けて頂いて大丈夫です」

「は、はぁ…」


 困惑した教頭先生達であったが、その後は比較的落ち着いた状況で避難訓練は遂行され、無事…?かはさて置き、終了はした。

 因みに俺は先生達に注意をされたが、比較的モブ君とは違って大きな問題は起こしていなかったので、直ぐに解放して貰えた。

 あ、モブ君は多分良くて停学になるかも知れないって話が聞こえたけど俺には関係の無い事だな。




※ ※ ※ ※ ※




 さて、そんな騒動をありつつ、俺が帰宅する準備をしていると扉の前に神楽坂雅紀が此方を見つめているのに気付き、声を掛ける。


「おや?どうしたんだい?」

「…あー、えっと…俺が居なくなった後に色々代わりに怒ってくれたと言うか…注意した?のかは分からないけど…何か言ってくれたと聞いたからさ…その…有り難う」


 人見知りなのか、少し緊張した様子の彼に俺は何だかんだ言って根は真面目で律儀だな、と感心しながらも言った。


「いや、別にアレは誰だって同じ事は思うよ。それに俺は友達が好き勝手に馬鹿に言われたりするのが嫌いだから言ったまでだよ」

「そ、そうなのか?だけど結果的には俺も少しはあんな馬鹿げた行動をした意味があったのかどうか…」


 神楽坂雅紀君は眼鏡を弄りながら恥ずかしそうに言った。

男のデレは需要無いけど…まあ、今はそんな話では無いか。


「まあ、正解だったかどうかは分からないけど…俺としては…その君らしくはっきり言える所は羨ましいとも思えるよ」

「……何かあったのか?」

「……まあ、少し八方美人な所があっただけさ。だから君はそのまま良い人間に成長してくれ。友達としてのお願いだからさ」

「そうか……分かった」


 少し恥ずかしい事を言った気がするが、友達として言いたい事は言ったし、彼にはこのまま彼らしく強くなれたら良いと思った。

それはきっと、間違いなんかじゃないから。


「じゃあ…最後に改めて…」


 神楽坂雅紀は少し恥ずかしそうにしながらも言葉を紡ぐ。


「――俺を見捨てず、代わりに怒ってくれて、有難う」

「おう」


 そうして俺と神楽坂雅紀は手を取り合った。

まだ彼とは交流は少ない。けどだからって頑張っている人が馬鹿にされて良い訳が無いし、許しても行けない。

 それ故に、俺はそんな人を放っては置けないのだから。


 嗚呼、自己満足だと言うのなら、そうなのだろう。

だからって何だ。俺は俺の好きに生きる。

 間違えても昔のような八方美人な事は避けつつ、それでも友達と好きに交流し、友達や家族が笑顔になってくれるのなら俺は……


 ――例え、自分を犠牲にしてでも救い出してやる。


 ……そんな人間だからさ、少しは神様も許してくれると助かるんですけどね。




※ ※ ※ ※ ※




〜おまけ〜


 ――その後の神楽坂雅紀について。

避難訓練での活躍を目の当たりにした人達から、学年主席の秀才と言う印象から頼り甲斐のある委員長に変わりつつあった。


〜神楽坂雅紀side〜


 えっと、こんにちは。

例の件から何故か周囲の人達が俺に対する評価が変わったようで、かなりの人達から話しかけられています。

 然(しか)しながら、俺は人見知りな部分がある為、出来れば1対1とかだと助かるのですが…。


「委員長って好きな人とか居るの?」

「えっと…まだそう言った人とは出会えて居なく…」

「えぇ〜?こんなにカッコ良いのに〜?」


 特に女性陣からの質問が凄いです。

 あ、因みに委員長と言うのは、俺が学級委員長をしている事から付けられたあだ名のようなものらしいです。


 と、女性陣の質問ラッシュに何とか受け答えしていると…


「ほらほら皆、委員長が困ってるからそこまでにしてあげて」

「「「きゃー王子様ー!!」」」


 友人である葉山君が止めに来てくれたお陰で助かった。

 ――有り難う。


 俺の視線に気付いた葉山君は首を縦に頷き、肯定してくれた。

 取り敢えずこれで良かったのかな?


「おやおや、これは随分と人気のようですねぇ」

「おや、遠坂君じゃないか」


 教室が収まったタイミングで友人の遠坂君が遊びに来たようだ。


「何か用事かな?」

「いや、少し様子を見に来たんだけど…大丈夫そうだなって」

「嗚呼、それなら大丈夫だよ。何せ俺には――」


 そう言ってスマホの待受の画面を見せる。

其処に映っているのは――東方プロのキャラクターであった。


「何せ“推し”が見守ってくれているからね!推しが見守ってくれるのなら俺は何時だって強くいられるのだよ!」


 そう。俺は大の東方プロのファンの一人なのだ。

ファン歴はそれなりに長く、小学1年生に原作を知り、世界観等に興味を惹かれ、徐々にキャラクターや関係性、曲など幅広く知識を深めて行き、今では1ファンとして恥ずかしくないと言えよう。


「お、おう…その熱意が凄いのは分かったわ」

「おやおや、引かれては困りますよ。何せ貴方は俺の友人ですからハマらせられるのであれば沼に浸からせてあげますよ!」

「怖いって…」


 と、言った感じに以前よりかは話す機会も増えた。

実は彼もそれなりに原作は知っているらしく、同志だと思った。


「ふふっ…実は近々東方プロの例大祭が開かれるんですよ。現場に行って調査…もとい戦費品を買って来ます。遠坂君も出来れば一緒に来て貰いたいのですが…如何でしょうか?」

「例大祭に興味はあるし…まあ、良いぞ」

「本ッ当ですか!?」


 こうして遠坂君を連れて近々東方プロの例大祭に行く事が決まった。

読んで頂き、有難う御座います。

宜しければご感想・評価・ブックマークをお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。