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青春の楽園  作者: 朝日影
皐月晴れ
11/43

序章 5月の始まり

 ――遠坂家の朝は普通だ。

朝、オフトゥンと暫しの別れを告げ、制服に着替えた後、下に降りて歯を磨いたり朝食を頂いたりするのだが…


「あれ?今日は普通に居るんだな?」

「今日は比較的時間に余裕があるからね」


 我が姉貴(化け物)遠坂碧唯(とおさかあおい)が朝食の用意をしていた。

こうして姉貴は時間に余裕がある時は俺より断然、美味しい朝食を作ってくれるので密かな楽しみの一つでもあった。


「「頂きます」」


 朝食はウィンナーと卵焼きにおにぎり、後は味噌汁と言った献立で姉貴の味は如何にも“家庭的な味”と表現した方が良いだろうか。

 計算尽くされた焼き加減に完成されたウィンナーを口に入れると肉汁が口の中に広がり、熱々だがこれがまた美味しい。

 卵焼きも塩を加えた味がし、姉貴が優しく握ったおにぎりは中に梅干しが入っており、少ししょっぱいが口の中に広がる感じ。


 味噌汁を頂いている中、姉貴がふと思い出したかのように言った。


「あ、ゴールデンウィークだけど、渚ちゃんが遊びに来るって」

「……渚が?」

「うん。今年も遊びに行きたいって言ってるから宜しくねー」

「へいへい」


 如何やら親戚がウチに遊びに来るようだ。

まあ、今年のゴールデンウィークは幾つかの予定を除けば暇だし、遊び相手になって思い出を作る事にしよう。


 さて、そんな事を思いながら朝食を食べ終え、行く準備をする。

荷物を用意し、スマホで時間を確認しようとした際に「なぎさ」からメッセージが届いていた。


 ――やっほーほ

 ――近々遊びに行くから宜しく


              オッケ――


 親戚の渚から来たメッセージに返信しつつ、家を出る。


 ――さあ、今日も高校生活を楽しんで行くぞ!




※ ※ ※ ※ ※




 5月の連休の間にある平日の学校。

本日の体育は周々木先生から近々球技大会があるって話を聞き、運動が苦手な俺にとっては逃げたい話であった。

 そして今週から球技大会に向けてドッチボールの練習試合を行うと聞き、遂には身体が逃げ出そうとしていた。


「……球技大会はドッチボールらしいな」

「オデ、ボール、怖い」

「今回ばかりはボクも同感かな」


 俺の意見に賛同してくれた体育着の廣仁に抱き着こうとしたが、直感が働いた廣仁に避けられ、俺はバランスを崩して転倒する。

 ――どうしてだ!?どうして避けるんだ我が天使よ!?


「だって、遠坂君の目が怖いんだもん」

「……まるで獲物を見つけた肉食動物っぽかったよな」

「うん、例えで言うならそれ」


 相変わらずのコントをしている俺達に対し、天宮さんが「転倒してたけど、大丈夫?」と聞かれ、俺は大丈夫だ問題無いと答えた。 

 ――え?頭が大丈夫じゃないって?うるせぇ…


 そんな天宮さんはジャージを着ており、近くに居る眞希は直ぐにでも動き易くなるようにジャージを脱いでおり、つい膨らみの方に目が奪われそうになった為、頭を整えた(リセット)


 そうして、諸々の準備を終えてクラス対抗のドッチボールによる試合が始まった訳なのだが…


「あでしっ!?」

「遠坂君っ!?」


 跳ね返そうとしたボールに指が変な所にぶつかり、突き指した。

 それだけなら良かったが、運悪く目に当たってムスカ状態になったりしてしまい、頭部に当たった判定でアウトにはならなかったが、涙を流しながら試合に挑む結果となってしまった。


「……相変わらずあんたって運動神経が終わってるよね」

「……反論の余地も御座いません」


 中学時代から付き合いのある眞希に言われてしまい、俺も反論のしようが無かった。

 試合の為、相手から謝罪されても許すしか無いので泣きたくても泣けない。


「ううっ…運動神経が良ければ勝てるのに…(泣)」

「いっ君!!泣かないで!!」

「廣仁…っ!!」


 俺は廣仁に慰められ、思わず抱き着こうとしたが、頭を手で押さえ付けられて無理だった…ハイダキツキマセンカラテヲハナシテクダサイ。


 ――けど、廣仁にカッコいい所を見せ付けたい!!


 俺はそんな思いで一心不乱に次の試合に挑む事にした。


………………。


 結果、いっ君さんは満身創痍でボロボロになりつつ、クラスに勝利を貢献する事が出来、廣仁にサムズアップして倒れた。


「……東雲、悪いが遠坂を保健室まで頼む」

「……はい」


 そうして満面の笑みで倒れた俺は朔夜にお世話になりながら保健室へと運ばれる事になるのだった。




※ ※ ※ ※ ※




 昼休み。

無事に復活を遂げた俺は休憩時間に天宮さんの誕生日が連休の間(4月中)にあった事を思い出し、眞希と話している途中に入らせて貰って祝う。


「L◯NEで伝えたけど、改めて伝えたい。誕生日おめでとう」

「えっ!?態々良いのに…けど有難う!気持ちは受け取ったよ!」


 ニコッと笑顔を向けられ、俺は直視が出来なかった。

何故なら隠れ美少女と言われる程に可愛らしかったからだ。


「ふふ〜ん。見たか!いよりっちの可愛さに」

「……あの可愛さは卑怯だと思います」

「ふ、二人とも!?聞こえてるってば!?」


 褒められる事に弱い天宮さんが可愛い昼休みでした。


………………さて。

午後の授業では俺が好きな天文学の要素があり、目を輝かせて理科の戸隠先生の授業を聞きつつ、放課後となって帰ろうとした所を眞希に捕まってしまいました。


「待ちなさい!」

「……んだよ。俺は帰ってオフトゥン(ネイティブ)に…」

「渚ちゃんが来るって本当!?」


 何かと思ったら親戚の渚の事か。

確か中学時代に眞希と親戚の渚は関わりがあり、連絡先も交換していたんだったけか。


「あー、渚辺りから聞いたのか。本人が言うとそうらしい」

「なら渚ちゃんとゴールデンウィークに遊ぶ事になったから」

「へ、へぇ…」


 眞希の家で遊ぶ事になったのかアイツ。

幾ら付き合いがあるからって大丈夫なのだろうか…


「けど確か眞希の家って…」

「あーうん。両親が不在だから碧唯さんに確認取ったら、私がいるからオッケーって…」

「俺が知らない間に話が勝手に進んで行ってる…」


 つまり、話はこうだ。

近々眞希が俺の親戚の渚とウチでお泊まり会をする訳だ。

……成人した大人としてウチの姉が居るにいるから、お泊まり会は問題無く行われる、と。


……うん。男の俺は部屋で大人しくいられ…そうに無いな。

多分、女性陣に付き合う事になりそうです(遠い目)


「……分かりたくは無いが、姉貴が良いんなら良いんじゃないか?

……俺は部屋に閉じ籠もればオールオッケーだな!」

「あ、あんたも付き合って貰うから」

「なんでぇ!?」


 どうせ、女性陣に恋バナで色々根掘り葉掘り聞かされるんだ。

後は中学時代の事とか黒歴史の事とか…


「……大人しくしておきます」

「うん、その時は宜しく頼むわね!」


 そう言って眞希はじゃあね〜と手を振って帰って行った。

……深夜、こっそり大人な時間(意味深)をする暇が無くなってしまったじゃねぇか!?


 と、俺は内心でこれからの事を考え始めるのだった。

読んで頂き、有難う御座います。

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