終章 ただいま、オフトゥン!
どうも、いっ君さんです。
現在、化け物から注意を受け終わって自室におります。
漸く落ち着ける事が出来る為――
――ただいま、恋しくて仕方が無いオフトゥン!!
恋するオフトゥンへダイブすると疲労で睡魔に襲われそうになるが、まだ寝る訳には行かない。
スマホを取り出し、画面を見ると天宮さんと眞希から色々とメールが来ていたので、返信された内容のを見て返信をしておいた。
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いより
『改めて有難う御座いました。それとお身体を大切にしつつ、お休み下さいね?』
いっ君さん
『有難う。天宮さんもゆっくり寝て下さいね』
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さて、天宮さんはまだ大丈夫なんだけど…
眞希の場合はちゃんと相手をしてあげないと――
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『本当に御免なさい。ウチがおっさんに煽らなければ樹が怪我をする事はなかったのに。本当にウチって駄目だよね…こう言う時に冷静に居られなくなってつい反論しちゃうって言うか、大事な友達を馬鹿にされて言い返さないと行けないって思うと舐められるって言うかそんな感じだった。樹にはいつも迷惑かけてばっかりな上、今回とかマジでどう謝罪しても誠意が伝わっているか分からないから何したら許してくれる?お願いだからウチを見捨てないで……』
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おお…(恐怖)
はい、こんな感じなんです。
相変わらずこーゆー時の眞希って面倒なんだが、見捨てる訳にも行かないので、ちゃんとメッセージを返す。
因みに眞希は相手にはっきりと言うタイプで、中々信頼を勝ち取るのに時間を要するが、信頼した相手には執着と言わんばかりに依存する為、甘えて来るのは可愛いのだが少し怖くて面倒なのである。
『だから大丈夫だって。殴られた箇所は暫くちゃんと治せば痛みも治るんだし』
俺がメッセージでどれだけ大丈夫と伝えても、『だけど――』と直ぐに自分を責めるので、
『あー通話を掛けても良いか?声が聞けた方が落ち着くだろ?』
『……うん』
通話を掛け合い、落ち着くまで優しく話し掛けてあげる。
『アレは俺がお前達を護りたいと思って出た咄嗟の行動なんだから必要以上に自分を責めるな。じゃないと俺が泣くぞ?良いの?良い年した俺が泣いちゃうぜ?』
『なんで樹が泣くんだし…ふふっ』
俺が少しふざけた風に言えば、時間を掛けて笑ってくれる。
――やっぱりコイツには笑っていてくれた方が可愛いのだから。
『よーし、落ち着いたな。可愛いお前の声が聞けたし、俺は恋するオフトゥンに癒しを求めて来るわ』
『うわ、出た。どんだけお布団に対する愛があるんだし』
そうやって、たわいの無い雑談をする事を暫し。
『…有り難う。お陰で少しは落ち着いたから寝るね』
『おう。このぐらいで良ければまた話相手になってくれ』
『何でウチじゃ無くてお前なんだし。お休み』
『お休み』
通話を切り、俺は寝ようと思ったが…
ふと気になった事があったので、オフトゥンから身体を起こしてスマホのL◯NEを開き、過去のトークなどを見返す。
――嗚呼、やっぱりこのひと月で色々変わったよなぁ…。
ふと気になったのは入学以前は眞希ぐらいしか話す事は無くて、色々あって知り合いとは進学を機に離れ離れになり、連絡を取る事も無くなった。
このまま眞希と一緒なら、それでも良いやとも思っていた。
しかし、入学すると朔夜や廣仁、彰人や他の人達とも友達になってこんなに楽しい日々を過ごせるとは余り思っていなかった。
やっぱり、“もう一度人生をやり直して正解だった”。
人って案外変われるものなんだなと実感出来たしな。
過去の反省を踏まえて高校生活では間違え無いようにしなければ。
……っと少し昔と今を比較するのは余り良く無いな。
昔は昔、今は今で自分から行動し、楽しまなければ人生勿体無いからな。
さて。
そろそろする事も無いし、いい加減寝るとしますか。
斯くして、いっ君さんは意識を手放し、夢の世界へと旅立つのでした。
※ ※ ※ ※ ※
少年は夢を見ていた。
暗く、灰色の人生は実に孤独で生きる意味さえ無意味で、生きて死んでいる毎日を過ごしていた。
少年は後悔した。
ただ、周囲の人達が幸せなら自分の犠牲は厭わなかった。
だけどそれが仇となって、悲しませてしまう人達がいる事を知った。
少年は神を呪った。
何故、俺だけが理不尽な目に遭わなければならないのか。
何故、俺をこの世に産み落とす真似をしたのか、と。
少年は祈った。
ただ生きる意味の無い人生なんかクソ喰らえである、と。
――ならば、死んでしまった方がマシなのだと。
少年は――神に希望を託して心を壊し、死んだ。
※ ※ ※ ※ ※
俺は意識を覚醒させた。
とても夢見の悪い悪夢を見てしまい、気分が最悪だったが…
それでも俺は、今日も高校に向かう為に部屋を出て、家を出た。
「ふぁ〜眠っいけど気分的にもなぁ〜」
何となく気分的に朝の新鮮な空気を吸い、体を動かして仕方が無かった。
まあ、後は早く“友達”に会いたくなったから、かな。
そうして歩いて近くの神社に寄り、100円をお賽銭箱に投入して参拝の形式に合わせ、二礼二拍手一礼をする。
――どうか、神様。見ていて下さい。
俺はお礼をし、徒歩で最寄駅へと向かう。
最寄駅に到着してからは電車に揺られ、その頃には友達とたわいの無いトークをしつつ、暫くして電車を降りる。
そこから先はバスに乗り、東亰都立聖嶺學園へと向かう。
…………………………………。
バスを降り、既に中に入れる校舎に入って、教室に入る。
教室はまだ俺が一番最初で誰もいないのは当然であったが、今日は誰も居ない教室に一番乗りしたくなった。
理由?そんなのは俺も知らない。何となく気分だったから。
「…………………すぅ〜〜〜………」
俺は深呼吸をし、今朝見た悪夢から気分を切り替えるようにして再度俺は笑顔を作り、
「よーし、今日もいっ君さんはイケメンだな!」
暗い過去よりも今が大事であるのだ。
なら“今”も大事にして、大事に過ごさないと行けないな!
そうして暫く待ち続け、聞き覚えのある声が聞こえて来た。
「……あーそれでって…」
「ん?どうかしたって…」
朔夜と廣仁は俺が早く来ている事に驚愕していたが、直ぐに俺の近くに寄って来る。
「……早く来たんだな」
「おう、少しいっ君さん的に早く来たらどうなるのか知りたくなった」
「結果は?」
「誰も居なくて寂しかったよ〜」
「わっ!?」
俺はそう言って廣仁に抱き着く。
“あ”あ”あ”あ”あ”良”い”匂”い”だ”な”ぁ”!!
廣仁エネルギーをチャージ出来た俺は、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべながら廣仁達に向けて言った。
「ハローエブリワン!マイエンジェル&マイフレンド!」
「……気持ち悪」
「酷っ!?」
そう軽口を言いつつ俺達は楽しく笑い合うのだった。
読んで頂き、有難う御座います。
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