2.ジョブチェンジ
今日はヴァイスヴァルト町の役所に来ている。この前スライムに襲われた村から近く、それでいてよそ者にも優しそうだ。周りを見るによくあるファンタジーと「設定」はそう変わらないらしい。
この間「ギルド」と書かれた建物に入ったら酒場が広がっていて、そこでモンスターの討伐依頼の受注発注ができたり、食べ物にビールも頼めるらしい。なんだ。俺たちの異世界じゃん。あの村が変だっただけで基本的にここはそういうのオッケーなんだな。なんか安心した。
ところで件の「ギルド」で討伐依頼、即ちクエストを受けてみようと受付のお姉さんに話を聞いてみたら、曰く職業に就かないといけないらしく、職業に就くには「ジョブチェンジ」とやらをしなければならないらしい。そのために役所までやってきたのだった。
俺は役所のお姉さんに声をかける。ついに異世界勇者ライフが始まるぜ!いや、魔法使いもいいな……
「すみません、ジョブチェンジをお願いします」
「ジョブチェンジですね。ではこちらの用紙に生年月日とお名前、希望の職種、現在の職種とレベル、あとMBTIをお書きください」
「えMBTI?」
「はい、MBTIです」
「えMBTIですか?」
「はい、もしかしてお分かりになりませんか?」
俺は今までインスタのプロフィールに書かれてあれば皆見下していた診断を人生で初めてやるに至った。ちなみにISTP-Aで巨匠らしい。向いている職業は工芸職人だとか。やってらんねえ……