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結婚式で殺人事件ですって!

「ええっ!結婚式で殺人事件!少しだけ待っててください!」

「うむ、新郎側の客が滅多打ちにされて殺されていた、待ってるぞ」


 江戸田一・シャーグレ・ポアープル彦五郎と杉津川コロン三郎の会話を聞きながら何もこんな日に起きなくてもいいだろうとげんなりしている毛利ワト。結婚式にいるだけで事件に巻き込まれるなんてとうとう死神に昇格したのかと思いつつ話に参加する。


「それで亡くなったのは?」

三神青(さむしんぶるー)さん、いわゆるキラキラネームだな」


 お前らの名前も孤島の事件のやつも大概だろと思うが名前に突っ込んでいたらこんなハレの日に話が進まないのは困る。経験則でワトは無視した。


「容疑者はこちら、はいどうぞ」

三神斡魯朶(さむしんおるど)です」

三神新(さむしんにゅー)です」

三神棒泥(さむしんぼるど)です」


 一人だけ名前の感じひでえなと思うワトだったが今日は式の時間前に解決しなければいけない、急ぎなのでどんどん進めていく。


「それでご関係は?」

「被害者と加害者、じゃないや兄弟です」

「兄弟です」

「兄弟でした」


 あの血まみれの斡魯朶ね、よし後は推理に持ってくだけだな。さーてどうやってまとめようかな……と浅はかにも考えるワト。


「ガッ!うぅ……ああーッ!」

「斡魯朶兄さん」

「斡魯朶兄!」


 あ、そういう展開ね、今日は流れが早いね。ワトは完全に空気を読んで黙ることにしていた。もう最後の一人が犯人だろう。ハイ終わり。


「どいて!くっ……もう死んでる……毒殺か……この飲み物は誰が?」

「私が毒を入れて渡しました!」

「新兄が渡していた」

「と、言うことはあなたが最有力容疑者になりますな!」

「そんな毒を入れて渡しただけで犯人扱いかよ!警察は真面目に捜査する気があるのか!」


 それには同意するが自白してるじゃないかと思うワトだが真面目に捜査している警察はそれを聞き逃したのか詰問する。


「青さんが相続するはずだった遺産、取り分を増やしたかったのではないですか?」

「遺留分で十分だよ!全員独身だし母もいないし!兄弟でそれぞれ分け合えば十分だったんだよ!ただ兄貴が嫌いなだけだ!」

「そうだよ!俺は借金があって青兄が分けてくれるって言うから喜んで殺すつもりで来たのに先に死んで驚いてるんだ!サインする予定だったのに!」


 すると急に停電が起き、悲鳴が上がる。


「ぐあああああああ!棒泥お前、何を!」

「うるせぇ!死ね!遺産は俺が全部もらう!誰だか知らんが兄貴たちを殺してくれて助かったぜ!」


 停電が治るとそこには滅多刺しの新の遺体があり、血まみれのナイフを持った棒泥が悲鳴を上げる。


「新兄!だれが……どうしてこんなことを!」


 お前だよ、お前といいたいワトはこれもう〆だなと思い、最初の現場の式場行きを提案する。


「おそらく解決するでしょう、とりあえず最初の事件現場にいきましょう。それで終わるはずです、そろそろ来ますよ、我らが探偵が」



「青兄の書類はっと……」


 遺体をゴソゴソとまさぐる棒泥、やがて書類を見つけたのか喜んでサインをしている。これで彼が青の分の遺産を正式に相続して、他の相続がいないから多少の裁判を挟み2人兄弟の相続する遺産、そもそも2人の遺産を独り占めするのであろう。被害者の高い万年筆をちょろまかしている。


「いや、早く事件を解決してほしいですね」


 ニコニコとしている棒泥はセリフと顔があっておらずカバンから出したサンドイッチをつまみ始めた。結婚式の食事まで長いから仕方がない。最後の一個のようだ。


「ガァッ!ば、ばかな……なぜ……」

「棒泥さん!……毒殺だ……即効性だが斡魯朶さんの時とは違う毒だな」

「えぇ……?」


 流石に容疑者が全滅したらワトにはお手上げだった。しょうがないなぁ……今日は時間がないし被疑者自殺で片付けるかととんでもないことをいい始めた警部に呆れつつ、支度でもするかと去ろうとした時だった。


「警部、ワト。甘いですね、これは殺人ですよ」


 吐瀉物色の脳細胞を刺激された探偵がそこにいた。


「しかし、誰がどうやって?」

「この軽食、大分食べてあるでしょう?サンドイッチ、即効性ということはおそらく指についていたのでしょう。この最後の一つを食べて亡くなった、ということは2つを食べた時点では毒はついてなかった。では毒は何処に付いていたのか……万年筆ですよ」

「しかしなぜそこに?被害者の青さんが?」

「答えは簡単、青さんは棒泥さんを殺すつもりだったのですよ」

「なんだって!」


 この兄弟仲悪すぎだろうと思うワトだったが実際兄弟ってそんなもんなのかな?とどうでもいいことを考え始めた。時間押してるんだよなぁともはや他人事である。


「自分で金を貰いに来るのにサイン用のペンも持ってこない、彼がズボラでなければ金を渡して終わったでしょう。彼のズボラさにかけたのです」


 それ誰が殺したかはわかるんじゃねぇかなと思ったが、みんな節穴だしなんとかなるか。と、しわになった服の部分を指で直していくワト。もはやラジオ感覚である。


「まぁ被疑者死亡で書類送検でいいでしょう」

「よし!私の仕事が楽になった!」

「じゃ、ワト。行こうか」

「ええ、行きましょうか」


 高らかに鳴るファンファーレ、ウェディングドレスを着た江戸田一・シャーグレ・ポアープル彦五郎は伴侶となる毛利ワトと式場の場所へ向かう。ポアープル彦五郎は準備が整わず事件現場にくるのが遅れたのだ。自分の結婚式で人が死ぬのは流石に嫌だったようでブツブツ文句を言っている。


「ワト!君の親戚だろう!なんで勝手に殺し合ってるんだ!結婚式が台無しだよ!」

「そもそも新郎と新婦が同じ部屋にいる時点で色々駄目なのでは?」

「朝から殺人事件があって一緒に来たんだからしょうがないだろう!これからは人生の相棒、人生の助手として頑張ってくれたまえ!家では君が引っ張ってくれまえ!」

「もう1100億あるんだから贅沢しなければ隠居生活ができるのでは?」

「探偵は家業だよ!この名前を継がせなければ!私も女性名なのにこんな男っぽい名前を継がされた!子供に継がせたら元の名前に戻す!」


 継ぎたくないだろうなぁ……継がせたくないなぁと思いながら式に望むワト。

 三神4兄弟が実は5兄弟で養子に出た末の弟が自分であり、すべての遺産を相続することことをワトはまだ知らない。

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