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試写会に参加したいすみと伽耶

3月13日。いすみと伽耶は試写会に参加した。場所は近所の公民館。参加者は2人だけ。20時から朝の6時までのオールナイト。しかも無料だ。タイトルは[かなでと澄。幼き魔法戦士の散華]。オープニングはまるで魔法戦士のアダルトゲームを彷彿とさせるノリのいい曲。長池かなでと里中澄は12歳の魔法戦士。2人は[アスター]としてシラサギ公国方面に偵察に出てノーマンたちと対戦した。満10歳で華々しくデビューして丸1年は無双していたが、今ではすっかりシードマンに飼いならされてしまった。ノーマンはかなでを。ブラバムは澄を担当する。かなでたちは白を基調にした可愛らしいコスチューム。定番のミニスカートタイプを身にまとっている。アスターはふわりと降り立ち、ノーマンたちの前でパンチラを披露した。着地のポーズまで決めてみせた。き、決まったあ。かなでたちは得意げな表情を浮かべた。「生足が綺麗だねかなで」「えへへ」「桃尻が綺麗だね澄」「うふふ」アスターはシードマンに褒められてデレまくった。かなでたちはノーマンたちとの雑談に花を咲かせた。ようやく対戦が始まるとアスターは空中戦をまじえたコンビネーションプレイを披露した。まずは[ウイングアタック]。魔法戦士が初めに覚える技。手をつないで低空を飛びながら相手のアゴを狙う戦法だ。シードマン相手にクリーンヒットは望めないので寸前で手を離して反転してキックやパンチに切り替える。キックはシードマンに足首をつかまれなければ大丈夫。パンチは縦に逃げると無防備なからだを彼らにさらすことになるので横に逃げるしかない。ウイングアタックはシードマンにカウンターを喰いやすいが、彼らにはカウンターを繰り出せない理由があった。12歳のいたいけな女の子を20歳の若い兵士がカウンターで沈めたら庶民も魔王さまも激怒するに決まっている。だから怖くてできない。かなでたちはパンチで横に逃げながら様子をうかがう。どうやらカウンターはなさそうだ。そこでアスターはパンチと見せかけてニードロップを繰り出してみた。しかしノーマンたちに読み切られ、かなでたちは右ひざをつかまれてしまった。でもすぐに解放してもらえた。「ね、ねえノーマン、エルボーでも同じだった?」「たぶんね。でもいい攻撃だったよ」「そ、そうなんだ」いすみたちは安心した。何だか12歳の活発な女の子が近所の優しいお兄ちゃんに遊んでもらっている感じ。アスターは[ツバメ返し]に切り替えた。これはツバメのように低空を飛びながら交互にまじわり、そのつど対戦相手を替えるなど攻撃のバリエーションが実に豊富。なのでシードマンのカウンターを喰いにくいが、魔法戦士はコスチュームのふくらみのあたりを破られやすい弱点がある。その理由は魔法戦士の飛行速度が速いことに加え、シードマンは魔法戦士の顔を絶対に殴らないからだ。更にはウイングアタックよりも安心感があるがゆえに魔法戦士はついついツバメ返しを引っ張りがち。なので魔法戦士は発育の早さに関係なくふくらみのあたりを破られてしまう。かなでたちはツバメ返しをあまりにも引っ張りすぎてふくらみを両方ともむき出しにされ、あたふたして地上戦に切り替えた。いつもなら必ず足元を確認するのだが、アスターはついつい足元の確認を怠るミスを犯した。かなでたちは下から上に突き上げるパンチを繰り出したが、足元が悪くからだのバランスを崩し、ノーマンたちと抱き合う形になった。そのままキスされるかと思ったら肩車されてしまった。しかも顔は逆向き。アスターはシードマンに太ももをしっかりつかまれて2秒で観念した。かなでたちはノーマンたちにからだを上下にユサユサ揺さぶられた。きっ気持ちよすぎっ。アスターはみるみるうちに下着が湿り気を帯びていった。ば、バレたらどうしよう。彼らは額のあたりが温かくなっていくのでバレないはずがなかった。でもノーマンたちはあえて突っ込まないでいてくれた。かなでたちは胸を撫でおろした。アスターはそのまま何度も何度も天に昇らされた。気がつくとシードマンの姿はどこにもなく、かなでたちはお互いの火照りきったからだをむさぼるように慰め合っていた。それでもなおアスターは満たされなかった。かなでたちは百合ではなかったからだ。魔法戦士は自身の性欲を抑えざるを得ない環境にいたがゆえにひとたびシードマンに火をつけられてしまうと反動が凄まじい。いすみたちは2時間のドキュメンタリーを3回見て帰宅した。明日が休みならば朝の6時まで見続けたに違いなかった。3月14日。2人は登校したが、もはや日常には戻れなかった。いすみはかなでに。伽耶は澄になりきっていた。アスターは2人の来たるべき未来であり、いすみたちは異世界に参戦する動機を得た。シードマンと対戦するため。2人にはそれで充分。グレッグたちに伝えると「いすみたちはそれでいい」と言ってくれた。異世界に参戦する動機は不純でかまわない。魔法戦士はたいがいそうだ。

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