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リリアン

「でもまぁ、私を倒したいなら名前くらい覚えて欲しいんだけど?」


周囲にいるの全ての悪魔にバカにされたベリアルは顔を真っ赤にし、リリアンに指さしながら言う。


「あの、クソっあれだろ!リリ…リリー……」


隣のファウが「ふはっ」と笑ってリリアンの方を向く


「もうそれでいいんじゃないかな。ね、リリー」


「別にいいけど、それならベリアル君の事もあだ名で呼ばせてよ」


ベリアルは顔をしかめる


「ベリアル“君“って…やめろよ、そういうの。もっと気安く呼んでくれ」


「気安く…」


リリアンは口に手を当てて考えた。気安い呼び名、しかし適当過ぎれば即却下。そこで適当な名前を思いつき、ベリアルの方を向いてにこっと笑う。


「これからよろしく。…“ベリー“くん?」


「今度“君“つけて呼んだら殺すぞ」


クールに去っていったベリアルの背中を眺めるリリアンにファウがこっそりと耳打ちをした


「気に入ったってさ。これからよろしく、リリー」




────────────────────────




リリーが村に来てから5年が経った。


リリアンは飽きっぽい悪魔の中では珍しく、家事全般が得意だったので今ではすっかり重宝される存在だ。そして…



「ほらそこ、それじゃ足が狙われる!」


「カウンター狙いはバレないようにやらなきゃ意味無いって何回言ったけ?」


地面に叩き落とされたベリアルは咄嗟に受け身とってゆっくり起き上がる。


直後、上空のリリアンからの追撃に気が付き飛び避けた。ベリアルがいた場所には突き刺さった木剣と、余裕そうな顔のリリアンのみが存在している。


「…今のは卑怯だろ!!」


「褒め言葉どーも、それよりもっと離れなくて大丈夫?」


「は?」


リリアンが指さした先を辿ると、ついさっき地面に仕掛けたはずの爆弾がこっちに飛んで来ている。目を丸くしたベリアルは急いで羽を出して空中に逃げた、が少し遅かったようだ。


空中に浮かぶ2人の悪魔。1人は「ふふふふっ」と笑い、もう1人は全身真っ黒でふくれっ面をしている。


そしてもう1人、木の下に座っていた悪魔が時計を確認してから本を閉じる。立ち上がり、上空の悪魔達に向かって叫ぶ。


「ベリアル、リリー!そろそろお昼にしよう!」




大木の下にシートを広げ、その上にカゴとコップを置いた。ファウがカゴに入ったサンドイッチをそれぞれに分配しながら言う。


「それにしてもベリアル、今回も酷いね」


「酷いのは俺のせいじゃないからな。リリーが卑怯なのが悪い」


リリアンは呆れて肩をすくめる


「試合前に爆弾仕掛けといた悪魔が何言ってんだか」


顔についた煤を払っていたベリアルは右頬がまだ黒いまま顔を上げた


「は…いやあれ、試合中に仕掛けただろ。俺が地面に叩きつけられた時、起き上がる前に仕掛けた。……あっそう、だから落とされたのも戦略だった訳!ファウも見てたよな?俺の完璧な戦略を!!」


「僕は本読んでたから知らないよ。でもリリーが気づかないって珍しいね、どうしたの?尻尾縮んでたりする?」


“尻尾が縮む“とは悪魔にとって「頭いかれてんな、赤子返りでもしてんのか?」を意味する侮辱語である


「ファウこそ珍しいことして、急に喧嘩したくなっちゃった?」


「いや、リリアンとの喧嘩は遠慮したいな。…だからビスおじさん!そろそろ出てきてリリアンから僕を守ってよ」


ファウは後ろを振り返って茂みに向けて声かけると、そこからガサガサと音を立ててにこやかな男が出てきた


「はははっ!!やっぱファウの探知からは隠れられないな!それにしてもお前ら、また派手にやったなぁ?町の皆も笑ってたよ『ベリアルが死んでなきゃいいけど』ってな!」

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