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リアルBLカップルに遭遇する

 私達は、自分たち一年生の教室が並ぶ廊下に差し掛かった。この時間になると廊下には誰もいない。廊下の先の非常口まで見えるけど、人がいないとなんだか寂しい感じだ。普段は生徒でごった返しているから、余計にそう思うのかもしれない。なんとなくホラーの舞台になるのが分かる気がした。かと言って化け物なんて出てくることもなく、私達は教室の前までたどり着く。


「も、もう一軍の人いないかな」


 少し足が重くなるトモエ。一軍に苦手意識があるのだ。私は少し思い返してみる。教室を出た時は、一軍の人たちが集まって喋っていた。何かを食べに行こうかとか、遊びの相談をしていたから、さすがにもう決まって移動を開始して居なくなっているだろう。


「もういないでしょ、一応中の様子を……」


 私がそう言いかけると、自分の口をすぐさま押える。それを見てトモエは不思議そうにした後、それに気づいたらしく目を見開いた。私は教室の中に対して聞き耳をたてる。何か私の中に衝撃が走る声が聞こえたのだ。


「佐藤、俺我慢できない」


「先輩、教室ですよ、こんな所で」


 そんなくぐもった声が聞こえてくる。廊下に面した窓はスリガラスで中が見えない上に閉めきられているし、ドアは両方閉まっている。そのせいでちゃんと聞こえないが、聞こえてくる声からして、男子二人。しかも。


「リリリリリアルBLカップル!」


 悲鳴にも似た声をトモエがあげる。一応抑え気味ではあったものの、それなりの音量だった。その声の途中で私はトモエの口を押えて阻止したけど、中まで聞こえてしまったかもしれない。私達は身をかがめて息をひそめる。


「バカ! せっかくのチャンス」


 私は可能な限り声を抑えてトモエを咎める。気持ちは分かるが、せっかくリアルでそんな良い物を鑑賞できる機会だ。バレてしまっては意味がない。押さえていたトモエが、首を縦に振ろうとしているのが伝わってくる。理解はしてくれたらしい。私はトモエの口を押さえていた手を離した。


「でゅふ、ご、ごめん、ハァハァ」

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