表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
桜のような君に永遠の愛を誓う  作者: 星宮愛藍
5/13

三つ目の願い

それから数週間。咲菜は息が上がるまでリハビリを続けていた。

「咲菜、ちょっと休もう?」

何度も何度も歩こうとしたが歩くことは出来なかった。

「山田さん、ちょっと。赤羽さんは残念ですがもう歩くことはできません。これからは車椅子での移動となります」

「分かりました。咲菜には僕から伝えます」

もう歩くことは出来ないなんて伝えたらどんな顔をするんだろう

きっと悲しむに決まってる。

「咲菜、落ち着いて聞いて」

「うん、何?」

「咲菜はもう歩くことは出来ないんだ…」

「そっか、仕方ないよね。そういう病気だもんね」

そう言い笑う咲菜の笑顔はどこか悲しげて必死に感情を抑えているような顔だった。そんな姿を見て僕は慰めることも励ますことも出来なかった。


それから三日後、僕たち二人は思い出の場所を訪れた。思い出の場所は、春になれば桜が、綺麗に咲く桜並木。出会いは僕の一目惚れだった。綺麗に舞い散る花びらを見ながらロングヘアーの咲菜が微笑んでいた。あの時、桜みたいな子だなって思った。

「ちょっと早すぎたね。まだ咲いてないや」

「でも、綺麗な紅葉だよ」

「そうだね」

そんな会話をしているとポケットの中で携帯が震えた。

「あ、電話だ。ちょっと待ってて」

電話を終えて戻ると木の下でコソコソとしている咲菜。

「何してるの?」

「わぁ!えっと、何でもないよ!」

「そう?怪しい…」

「何でもないって、それより早くカフェに入ろ?」

なんだか上手く誤魔化された気がするけど思い出の場所の一つであるこのカフェに免じて気にしないことにしよう。咲菜と出会ったあの日声をかけてこのカフェに入った。緊張してカップを持つ手が震えていたのを今でも覚えている。付き合って三年、記念日にはいつもここに来ることにしている。それからいつものように咲菜はカフェオレを僕はコーヒーを頼み、思い出話に花を咲かせた。話に夢中になり気がつくと外は真っ暗だった。

「暗くなったし、そろそろ帰ろっか」

まだまだ話したかったけど咲菜の体のこともあるし早めに帰ることにした。

「今日は疲れたでしょ、ゆっくり休みなよ」

「ありがと、四つ目のお願いしてもいい?」

「いいよ」

「四つ目のお願いはね”イルミネーションがみたい”」

「いいね、冬になったら見に行こう」

「うん、おやすみなさい」

「おやすみ」

『いい夢が見れますように』と心の中で呟きながら病室の扉を閉めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ