桜の舞う季節
咲菜との別れから数日が過ぎ、僕は遺品整理をしていた。
「咲菜、僕はどうすればいいのかな」
写真立てに入っている二人を見ながら呟いた。ふと、裏を見ると茶色い紙が挟まっている。紙には咲菜の字で『思い出の場所の木の下を掘って』と書いてあった。
僕は急いで思い出の場所へ、僕達が出会ったあの木の下へ向かった。掘ってみると小さな箱が埋まっていた。箱の中には綺麗な桜の封筒が入っていた。涙でぼやける目を擦りながら、封筒を開けた。
勇斗へ
この手紙を読んでいるということは私はもう居ないんだね。
まず初めに、ずっと一緒に居ようって約束したのに守れなくてごめんね。私の願いを叶えてくれてありがとう。嬉しかった。
私は少ししか生きれなかったけど勇斗の人生はまだ長いから沢山幸せを見つけてね。私はずっと傍にいるよ。
私は桜になれてたかな。もし、なれてたなら一年に一度桜の花が咲く時一瞬でもいいから私の事を思い出して欲しいな。
最後までわがままでごめんね。大好きだよ、愛してる。
咲菜
「ずるいよ。咲菜は桜になれてたよ。絶対に忘れないよ」
「それから一年が経った。あの木には綺麗な桜の花が咲いている。
僕は天を見上げて呟く。
「咲菜、元気?やっぱり咲菜以上の人はいないよ。何度生まれ変わっても愛し続けるよ」
ー勇斗、綺麗だよ!ー
振り返ると桜の花びらが風に吹かれて舞っていた。
君に永遠の愛を誓うよ。咲菜、きっとまた会えるよね。