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交錯

 デカイ!

 見上げる敵二機は月光丸の1.5倍、7メートル以上はある。

 一機は両手に機関銃マシンガンを持ち、もう一機は長方形の大盾に隠れている。しかしこんなデカイもの、いくら軽い炭素カーボンだからって、動かせるのか?

 などと考えている暇はほんの少しだった。

 大盾を持った方の機体が、もう片方の手に持っていた大口径の銃をオレの月光丸の腹に突き付ける。

 ヤバイ!

 総毛立つ本能に任せて、オレが横っ飛びすると、


 ドオオンッッ!!


 轟音と共に細かな弾丸がオレが居た場所にばらまかれる。散弾銃ショットガンだ。


「チッ、上手く避けやがったな」


 と悪態を吐く。どうやらあの大きさでも、問題なく機体を動かせるらしい。


「ハッ、あの距離で外すとか恥ずかし過ぎだろ」


 と機関銃マシンガンを両手に構えたもう一機が、オレに狙いを定め、その引き金を引いた。


 ドドドドドドドド…………ッッ!!


 更に凄まじい轟音が辺りに鳴り響く。

 だがオレはそれを跳躍で回避し、上空から短機関銃サブマシンガンを撃ちまくるが、どうやら敵機の外装はかなり厚いらしく、短機関銃サブマシンガンの弾丸では弾かれるばかりだった。


「ハッハッハッ。そんな豆鉄砲が効くかよ!」


 と着地直後を二機の機関銃マシンガン散弾銃ショットガンに狙われるが、それをバック宙で回避し、素早く陸上艦の影に隠れる。


「悪いが、かくれんぼ(ガキの遊び)に付き合うつもりは無ぇ!!」


 と機関銃マシンガンを持った機体が、そのデカイ機体に似合わない高速移動で、あっという間にオレの前に回り込む。突き付けられる二つの銃口。


「チッ!」


 オレは使えない短機関銃サブマシンガンを敵機の顔部にぶち当てる。


「クソッ!?」


 それで狙いが外れた所を、大太刀を両手で持って、横一閃に薙ぐが、敵機はバックステップでそれをかわし、難を逃れる。

 が、無傷とはいかなかったようだ。敵機の腹に横傷が入り、コクピットの内部が少し見えた。

 見ればコクピットには搭乗者が二人乗っている。どうやらこのデカイラビットは、搭乗者二人で無理矢理動かす二人乗り(タンデム)機らしい。

 良く動かせるものだ。戦闘中だが感心してしまう。

 しっかり月光丸から距離を取った機関銃マシンガンの敵機は、また、もう一機の大盾に二機隠れることで、こちらからの攻撃に備えながら、機関銃マシンガン散弾銃ショットガンを間断なく撃ち込んでくる。

 短機関銃サブマシンガンが効かない時点で、こちらには大太刀以外攻撃の選択肢が無いのだが、機関銃マシンガン散弾銃ショットガンを交互に撃たれて隙が無い。

 そんな中で向こうはその立ち位置をジリジリと横にずらし、オレを陸上艦の影から炙り出そうとしていた。

 このままでは無抵抗で敵二機によって蜂の巣にされてしまう。

 オレが覚悟を決めて大太刀を握り直し、もう一歩敵機が横に動いたら影から飛び出そう、そう思っていた所に、


 ダァンッ!


 いきなり敵機の機関銃マシンガンの一挺が弾け飛んだ。


「何だ!?」


 オレも理解出来ていないが、向こうも理解出来ていないようだ。更に、


 ダァンッ!


 もう一挺の機関銃マシンガンが弾け飛ぶ。音などから、どうやら銃撃によって弾き飛ばされたことはうっすら理解出来たが、どこから? と視線をさ迷わすと、ジャックストームの上部デッキで何かが光った。


 ダァンッ!


 一刻おいて散弾銃ショットガンが弾け飛ぶ。まさか、あんな遠くから狙撃だと!? 戦場の端から端まで、一キロ以上はあるだろうに、そこから正確に銃を狙うなんて。ジャックストームには優秀な狙撃手スナイパーがいるようだが、なんならもっと早く加勢して欲しかった。

 だがこれで形勢はこちらにも機が見えてきた。


 オレは陸上艦の影から飛び出すと、素早く敵二機と距離を詰め、大太刀を横薙ぎに一撃与える。


 ガギィンッ!


 が、それは敵機の大盾に防がれてしまったが、それは計算内だ。


「このッ!」


 予備サブウェポンのナイフでこちらを攻撃してくるのを、跳躍してかわし、陸上艦の側壁を蹴って敵の後ろに回り込む。

 盾機の後ろに隠れていた機関銃マシンガンの機体も、既に両手に予備サブウェポンのナイフを構えていたが、それが月光丸に届くより速く、月光丸の大太刀による突きが、敵機腹部に深々と突き刺さった。


「てめえ!!」


 激昂するもう一機が、沈黙する仲間の機体を押し退け、ナイフを突き刺してくる。

 オレは大太刀を引き抜きつつバックステップでそれをかわすと、敵機に袈裟懸けに一撃を与えるが、それは大盾によって防がれてしまう。

 あの大盾は邪魔だな。

 オレは敵機に対して半身になると、両手で持った大太刀を目線の高さで地面と水平に構える。

 敵機はデカイ機体を大盾に隠し、見えるのは頭部と片手のナイフだけだ。

 ジリジリとお互い距離を詰めていく。ナイフよりも大太刀の方が有効距離は長いが、ここで一撃与えても、大盾に防がれて、距離を詰められナイフを刺される。だったら!


 オレが横に動くと、敵機も回り込ませまいと横に動く。

 互いに陸上艦の側壁近くまでやってきた所で、オレは敵機の頭部に向かって突きを放った。

 案の定それを大盾で防いだ敵機は、オレの大太刀を弾き、距離を詰めてナイフを突き刺してくる。が、そこにオレはいない。

 オレは大盾に弾かれながらも、上手く力を逃がし、側壁を駆け登り敵機の背後に回り込む。

 が、敵機もそれは計算内だったようで、グルリと方向転換してオレの背後からの一刀をナイフで受け止めると、オレはそのデカイ大盾によって弾き飛ばされてしまった。


 クラクラチカチカする視界に、巨体が迫ってくる。

 もう駄目か、と歯を食い縛る。向かってくるナイフがゆっくり感じられた。


 ダァンッ!


 再びの狙撃がナイフを持つ手を直撃し、敵機がナイフを落としたところに、オレは直ぐに大太刀を突き刺すが、敵機の大盾によって大太刀は弾き飛ばされてしまった。

 だが大盾を振り回したのは失策だったな。敵機と月光丸との間で大盾が視界を塞いだ隙に、オレは敵機が落としたナイフを拾い、大盾の内側へと滑り込むと、そのナイフを敵機腹部の隙間からコクピットに突き刺したのだった。

 そうして沈黙する敵巨体。突き刺したナイフを抜けば、血がべっとりと付着していた。


「はあ…………」


 オレが気を抜いて、その場に崩れ落ちると、


 ダァンッ!


 オレの後方で銃撃による破砕音が聴こえ、慌てて振り返る。

 するとそこには敵機が一体、突撃銃アサルトライフルを構えてこちらを狙っていたが、その腹部に穴が開いていた。

 そう言えば陸上艦の防衛部隊が一機残っていたんだった。と思い出すが、敵機は狙撃によって既に沈黙していたので、ま、いっか。と今度こそ安堵のため息を吐いたのだった。

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