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包囲

 ドババババババババ…………ッッ!!


 路地を出た所でギャレット一家のラビットに見付かり、直ぐ様路地に引き返す。

 流石に敵の本拠地ホームと言うべきか、何処に行っても敵機に発見されてしまう。


「居たぞ!!」


 路地を引き返していると、向こう正面から敵機が声を上げた。


「くっ!」


 オレは歯軋りして、背部パックから煙幕用の手榴弾グレネードを取り出すと、進行方向に投げ付ける。


 ドンッ!!


 爆発と共に煙幕が立ち上ぼり、辺り一面が白い煙に包まれる路地を、オレは無理矢理直進し、路地を抜けた所で振り返れば、ラビット数機があたふたしていた。


 ドババババババババ…………ッッ!!


 そいつらに向かって短機関銃サブマシンガンをぶっ放てば、20秒もせずに相手は行動不能になった。

 この程度で行動不能なっちまうと言うことは、地の理は向こうにあるが、ラビットでの戦闘には慣れていないようだ。


「居たぞ!!」


 とそんなことを考えているうちに敵に見付かってしまった。


 ドババババババババ…………ッッ!!

 ドンッ! ドンッ!

 バパパパパパパ…………ッッ!!


 敵機の一斉掃射を、オレは横に跳躍して難を逃れ、建物の壁に着地すると、更に跳躍して、その反対側の壁に、更に跳躍して反対側の壁に、そうしてピョンピョン跳ねながら加速していき、正面からこちらを横一列で撃っていた敵機を、縦一列に捉えると、オレは大太刀を横に構え、加速したスピードに任せ、縦一列の敵機を一閃して葬り去る。


「ふぅ……」

「居たぞ!! あいつだ!!」


 またかよ!

 一息吐く暇も無い。敵が次から次へとやって来やがる。



「はぁ……はぁ……はぁ……」


 おかしい。もう20機近く倒しているが、いまだ交戦中だ。他のクルーも同様なのだろうか? だとしたらこの戦争にどんだけの物量投入してるんだギャレットは?


「居たぞ!! あいつだ!!」


 またか。とオレは直ぐ様路地に隠れる。ん? 「居たぞ!! あいつだ!!」と言ったか? それは詰まり、オレが狙われているのか?

 まあ、ギャレット家で直接あいつの命を狙ったのはオレだからな。狙われると言うならこの敵機との遭遇率の高さも理解出来るが、分からないのは月光丸=オレだと向こうが認識していることだ。

 ジャックストームのクルーの誰かがオレを売ったのか? 無くはないな。


 そんなことを考えていると、スッと路地に敵ラビットが騎兵銃カービンを構えて現れた。


「ダミアンさんの仇!!」


 ダダダダダダダダ…………ッッ!!


 オレは騎兵銃カービンからの銃撃を、跳躍でかわすと、空中でくるりと一回転し、大太刀で攻撃してきた敵ラビットを縦一文字に切り裂く。


 ダミアンさんの仇? 誰だよダミアンって?

 あれか、ギャレットを撃った時にそれを庇った護衛がダミアンか? う~ん、何か違う気がする。そこに、


「モーガンさんの仇だ!!」


 短機関銃サブマシンガンをラビットが撃ちながら突っ込んでくる。それをまた跳躍でかわし、敵機の後ろを取ると、敵機胴部を背部パック越しにドスッと貫き息の根を止める。


 今度はモーガンさんか。敵はどうやら相当オレに恨みがあるらしい。しかしギャレット家では暴れはしたが、そんなに殺した記憶が無い。

 殺したと言うなら、その前のツヴァイホースとの戦いの方が…………!

 そういうことか! ツヴァイの生き残りが、この戦いに参加しているんだな。

 奴らなら先の戦いでオレの愛機(月光丸)の姿や特徴を記憶していてもおかしくない。むしろ自然だ。

 それでオレに敵の攻撃が集中していると言うなら、それに合わせた戦い方をするだけさ。



「はぁ……はぁ……はぁ……」


 走る、走る、走り回る。とにかくオレは街中を走り回った。通りも路地も路地裏も、走って跳ねて転がって、衆目を集めるように走り回った。

 そのお陰だろう。ギャレット一家のラビットたちは、他のクルーと戦闘中だろうと、ギャレット家の警戒中だろうとお構い無しに、オレを見掛けると駆け寄ってくる。前から後ろから、右から左から、銃を構えてバンバン撃ってくる。

 それをオレは右に避け左に避け、跳躍にスライディングに壁走りと、あらゆる技を使って避け、かわし、逃げまくった。


 そうして港の一つの倉庫に逃げ込んだオレは、総勢50機のラビットに取り囲まれ、出口を塞がれていた。


「とうとう追い込んだぞ!」


 50機の銃口全てがオレに向けられ、月光丸の指先一つ動かそうものなら、ミンチにされること確定の状況で、


「それはどうかな?」


 倉庫の壁を背に、オレは不敵に声を上げる。が、向こうにすれば逃げ場を失くした狂人の戯言だろう。50機が一斉に笑い出す。

 だけど、出来るんだなあ。


 ズバスンッ!


「なっ?」


 何が起こったか分からない50機。それを尻目に、オレは壁の裏で待機していたオジーが、その太刀で切り裂いた穴から、倉庫を脱出する。


「この野郎!!」


 ここにきてようやく理解が追い付いた50機は、オレを追い掛けて穴に殺到するが、その50機目掛けて破片手榴弾フラググレネードをお届けする。


 ドンッ!!


 爆発によって外殻が破片となって飛び散り攻撃する破片手榴弾フラググレネード。その威力は結構なものだったようで、煙った倉庫の中を覗けば、10機以上が仰向けに倒れていた。


「くそッ! こっちからじゃ的になるだけだ! 入り口から裏に回れ!」


 誰かの号令で生き残ったラビットたちが今度は入り口に殺到するが、そこに現れるジャックストームのラビットたち。

 そして僚機ラビットたちによる一斉掃射によって、袋の鼠と化した敵ラビットたちは一網打尽にされたのだった。

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