天の邪鬼でさえ食わない
言葉に僕らは引っ張られて生きている。
感じるよりも考えるよりも先に口をついて出てくる文脈に丸々心を支配されたようなそんな気持ちの悪さを後になって思い出す。
思考の中ですら名称が飛び交い傷に蓋してしまう。
子供は純粋だ。
感覚で生きる世界にはその生身をぶつけるしか術を持たない。
いつも等身大で呼吸していた、あの頃が皆存在していた。
しかし言葉を知らない分苦い思い出も処理出来ないまま成長していく。
言葉を手にしてからの処置は簡単で段々とそれに頼りっきりになる。
慰めになる思想に貪欲さを見せ始めまた傷に蓋して生きていく。
これは正直者の逃避であるとも言えよう。
恥ずべき事ではない、しかしあの頃は戻ってこない。
人間は自然に捨てられたのか、又は捨ててやったのか。
しかしいずれにせよ、恥ずべき事ではない。