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八話 殲滅戦開始

 

 翌日、ニケラは子供達と朝食を食べた後、昼まで子供達と遊び、武器を受け取るためにトンドラの武器屋『ガンドン』へ赴いた。

 その時、リンと合流し、トンドラから装備を受け取った。

 兵舎へ戻った後、各々装備の点検や道具の確認し、明日へ備えた。






 西門が集合場所だ。門の上には赤い布地に白い鳥が鎮座した国旗が掲げられている。

 門の前では、騎乗した討伐隊が隊列を組み、門が開くのを待っていた。

 門番が三人、一人は門の上に立ち、二人は両端の開門装置に立った。


「開門!」


 門番が叫ぶと、二人が装置を起動させた。ゆっくりと門が開かれる。開ききった時、メーサが声を上げた。


「目標、西の森!行くぞ!」


 メーサが手綱を引く。馬が嘶き、地を駆ける。それに続いて討伐隊も馬を走らせた。

 草原地帯を抜け、森に差し掛かる。


「総員散開!魔物は見つけ次第殲滅せよ!」


 メーサの号令で討伐隊は二、三人ほどのグループに分かれ森へ入っていく。

 ニケラはアイトラと同行し、森に突入した。


 前方に魔物が二体。鎧を纏った骸骨がカタカタと歩いていた。


「ニケラは右を、左は私が」


 アイトラが言った直後、左の骸骨の頭蓋が破裂した。アイトラの無詠唱魔法である。

 遅れてニケラも魔法を放つ。自らの得意な火属性、その初級の魔法。


「【火球(バーン)】」


 火球は骸骨の顔面に当たり、小さな破裂を起こして頭蓋を砕いた。

 頭を無くした骸骨はバラバラに崩れ、元の骨に戻った。


「上出来だ。次を探そう」


 ニケラとアイトラは探索を再開した。







 馬を駆る音に掻き消され、彼女の足音は聞こえない。

 雄叫びに掻き消され、彼女の悲哀は聞こえない。

 男はそっと破潰された。


「うぅ……ひっく……パパぁ……」


 彼女はひとり泣いている。







 馬を走らせていると、小規模の骸骨の集団と遭遇した。その中から腐臭が漂う。臭いの元を辿ると、死体が歩いていた。体の所々が腐り落ち、そこから臭気を発生させていた。

 アイトラはそんな異臭を物ともせず、何匹も頭を破壊し、倒す。アイトラがあまりにも倒しすぎる為、自分の出番が無いのではと危惧したニケラだが、半数を倒したあたりでやめたことで、それは杞憂に終わる。ニケラは残りを無詠唱の火魔法で焼き尽くし、再び探すことになった。






 ソルはニケラと反対側でかなりの集団を相手に戦っていた。


「はあっ!」


 馬のスピードで駆け回り、馬上から太刀を振るい、骸骨を一刀で斬り伏せる。ヒットアンドアウェイで敵の数を少しずつ減らしていく。


「【火炎(ファイヤ)】」


 仲間が援護で火炎を放つ。骸骨が真正面から炎に焼かれ、灰と化す。


「こんなにいるなんて、どうしたんだ、この森?」

「全然わからねー」


 仲間は不思議そうに聞いてくるが、ソルは首を横に振る。

 西の森には元々鹿や猪などの野生動物が多数生息している。魔物が殆どいない為、初心者の冒険者や狩人が安全に狩猟や採集に行ける数少ない場所であった。だが、今は何の理由か死霊系魔物が跋扈する危険地帯となり果てた。


 ふと、違和感を覚える。


(こんな規模なのにリーダー格の個体がいなかった)


 灰と化した先ほどの集団はその規模ゆえに、リーダー格の個体が数体はいるはずなのだ。


「屈め!」


 ソルは叫び、すぐさま屈んだ仲間。

 ソルは太刀を回し、全方位に向けて斬撃を飛ばす。

 木々が切り倒される。隠されていた太陽が現れ、影に隠れていた違和感が、姿を見せる。

 漆のように真っ黒な骨格。騎乗したソルと同等の体格のそれは、ただの骸骨と一線を画す。


黒骸(くろむくろ)


 忌々しくソルは吐き捨てる。

 黒く染まった骨に鎧を纏う黒骸は、物音を一切立てずソルに接近した。そのまま上段から手に持った大斧を振るう。


火牢(ボレア)


 すんでのところで仲間が火炎の球体に閉じ込める。


「サンキュー、助かったわ」

「それよりも早く構えろ、破壊される!」


 仲間の必死の形相にソルは、炎から距離を取り、太刀を構える。

 その瞬間魔法が破壊された。

 斧を振り下ろしたままの黒骸が、空洞の眼を向ける。

 途端にソルの身体に恐怖が這い上がる。

 それを潰し、ソルは馬の背を蹴り距離を詰める。


「オラァ!」


 魔力を全身に回し、身体能力を爆発的に強化、死霊系魔物の急所である頭部を狙い、太刀が唸る。だが寸前で大斧の柄に阻まれる。

 お返しのように下から大斧が来る。

 仰け反り躱すと、鼻先を斧が掠める。


「【火球(バーン)】」


 追撃を防ぐために、仲間が火球を放つ。

 黒骸は後ろに飛び、それを避けると、斧を振り上げる。


 次の瞬間、ソルの目の前で大斧を振り下ろす黒骸がいた。


(防御が間に合わない!……)


 かろうじて太刀を盾代わりにして威力を殺す。しかし、余った威力で脇腹を切り裂かれた。

 すぐさま距離を取り、脇腹に魔力を集め、止血する。

 仲間が牽制に火炎を放ち、ソルに駆け寄る。


「大丈夫か?」

「なんとか」

「あれの弱点は?」

「頭、のはずだ」

「俺の魔法では威力に欠ける。倒すにはお前の刀の一撃が必要だ。撹乱するからその隙にやれ!」


 波のように火炎を放ち黒骸を飲み込む。その中に先程より数倍高い威力の火球を放つ。

 火球に意識が向いたところに、ソルが致命の一撃を放った。頭から真っ二つに割れ、黒骸は崩れ落ちた。


「なんとかなった」

「こんな奴がもういないといいが、次に行くぞ」

「へいへい」


 ソルが気の無い返事を返して、馬を呼び、その場を後にした。


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