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電人的日常論  作者: Hru
:現実世界:
7/11

理由がなくたって関係ない。


現在AM6:00


昨日のライブの疲れを引きずりながら早めの朝食を作っている。


現在優華が今日はどこかに出かけようといってどこに行こうか探している。

行くって言った覚えはないけど。


「んー・・・ そろそろ食料が尽きる・・・」


基本的に週一で買いだめる人間だ。 冷蔵庫そんな大きくないのにね。 面倒なんだ。

あいつに誘われる前に買い出し行こうかななんて思う。


完成した朝食を食べながらボーっとしている。


〈雄哉っ! ここどう!?〉


そういって画面からサイトを出してきた。

そこに映し出されたのは、近所のカラオケ屋。


「なんでだよ」


〈いいじゃんいいじゃん。 昨日散々歌聞いてたじゃん。〉


「関係ないしお前歌うのか?」


〈うん。当たり前じゃん。〉


「その中で一人で歌ってろ。」


〈ひどい! じゃあじゃあ〉


そういってゴソゴソと漁り始めて、またサイトを出した。


「ゲームセンターね。 何もできないだろ。却下。」


〈じゃあこれ!〉


「ボウリング。 変わらねぇ。却下。」


〈じゃあこれぇ!〉


「図書館。 わざわざ休みに行かなくてもいい。却下。 そもそもお前ひとりで本読めねえだろ。」


〈じゃあこれ!〉


「ショッピングモール。 お前は何を買うというんだ、却下。」


〈じゃあどこがいいっていうのさ!〉


「家」


〈・・・ 引きこもり!ニート!人間のクズ!〉


「クズで結構。 じゃあそこらへんうろついてろ。」


〈キーー!(-_-)/~~~ピシー!ピシー!〉


「阿保なの?」


散々出した候補を一蹴して、ふと思い出す。


「修学旅行の準備でもするか・・・」


〈は? なんで家で過ごそうとするわけ~?〉


「うるさ」


そういってパソコンにイアホンを指し、インターネットとの接続を切った。


〈あー!ひどい!〉


「さてと、修学旅行のしおり・・・と。 小学生かよ」


最初のページには、7日間の大まかな予定が書かれている。

1日目の朝早くに札幌駅に集合して一日ごとに各地を回る。 函館側行かないのは残念だが。


「7日ともなると、必要なものは多いよな。」


自分の手持ちにあるキャリーバッグは、10泊用のものだが、ただの旅行ってわけでもないから、ギリギリな気がする。 修「学」旅行で観光しかしないのはなんか不自然なのだが、そこはどうしようもない。


自分のタンスから服を引っ張り出して7日間分の衣類系をそろえる。


「服は足りるな。」


あとは、そのほかの歯ブラシやタオルなど。一応ある。


「あれ、これ家にあるもので全部足りるんじゃないか?」


買い出しのついでに足りないものを買っておこうと思っていたが、その必要はなさそうだ。


〈ゆぅやああ!〉


「はぁ!?」


どこからともなくというかパソコンから優華の声が聞こえた。イアホンはしたはずだがと思い振り返ると、イアホンはついていて、パソコンの画面には一面に (; ・`д・´) こんな顔文字を敷き詰めて優華が起こっている。

どうやらイアホンを通しても聞こえるほど大きな声で叫んだんだろう。 迷惑。


「なんだうるさいな」


そういってイアホンをとる。


〈雄哉がひどいことするからでしょ!〉


「最初にひどいことしたのはお前だからな。」


〈はぁ? 何したっていうのよ!〉


「外出の強要。」


〈まだ未遂でしょ!〉


「やったことに変わりはないからな。」


〈っ・・・とにかく!やめて!〉


「じゃあお前も騒ぐのやめて。等価交換だろ?」


〈等価じゃない!〉


「そうだな。悪い。お前のほうがひどいな。」


〈違うっ!〉


「とにかく俺は忙しいから黙ってろ。」


〈ブーブー〉


「うるさい豚」


〈はぁ!? サイテーサイテー!〉


「等価交換は不成立のようだな。じゃあ」


〈ちょっま・・・〉


イアホンを再度さし、ネットとのつながりを遮断。


今度は瞬く間に (/ω\) こんな顔文字を敷き詰めこっちをにらんでいる。


「さて、準備を続けよう。」




AM11:50 


「準備も終わったし買い出し行くか。  結局買うべきものはなく。」


準備も終わり、家にあるもので全てまかなえたので買い出しのみ。 一応パソコンのネット回線を繋げて外へ出る。


〈雄哉っ!〉


颯爽(?)とスマホの画面に現れた。


〈ついに出かける気になったようだね! どこに行くのかね?〉


出かけることへの喜びか今まで放置されてた怒りかは知らないが変なテンションで口調もおかしい。


「買い出し。」


鍵を閉め戸締りを確認してそういった。


〈それと~?〉


「それだけだけど?」


〈っ・・・!       (。´・ω・)?〉


すごい驚いた表情をした後少し間をあけてそんな顔文字を出した。


「顔文字使い過ぎ」


〈な・・・なんで外に出るというのにそれだけなのっ!〉


「特に目的がないから」


〈イヤー!イヤー!フザケンナァ!〉


相当情緒不安定でご乱心のようで。 そっとしておこう。


スマホにイアホンをつけてバッグにしまう。



買い出しと言ったら近所のスーパーで十分なのだがなんとなく大型スーパーに来た。

決して優華のためではないと自分に言い聞かせている。 うん。 決してそんなことはない。


そのとき、携帯の着信音。


「電話かな?」


そういってスマホを取り出すと、満面の笑みで優華が立っている。


〈ふふふ、雄哉、ついに私の言いなりになったんだね。 周囲の騒がしさから私が気づかないとでも?〉


「ワー、シマッタバレテシマッタナー コレデハシカタナイナー。  じゃっ。」


そう棒読みすると素早くスマホをバッグにしまう。


〈雄哉~? 気づいてない?〉


「は?」


なんか嫌な予感がするので、ついスマホを取り出した。


「何の話だ? 」


〈さあ、何でしょうね~?〉


「あっそ、じゃあいいや。」


バッグの中のイアホンを取り出してスマホにつける。


「・・・?」


何か違和感を感じたがそのまま歩き出す。


「さて、何買うかな?」


〈雄哉、ほかのとこ見て回ろうよ~〉


「うるさいな。黙ってろ。」


そういってイアホンをつけようとするがその途中で手を止める。


「おい優華、まさか・・・」


〈気づいた?〉


こいつはどういう原理か知らないが、イアホンを外せるようになったみたいだ。 ふざけてる。


「電人が現実に干渉できる時点でおかしい。お前はいったい何なんだ・・・」


〈さあ? なんかできたんだもん〉


これはまずい・・・ というか辛い。


とりあえず買い物を済ませて家に帰る。

ブーブー行ってる優華を横目に。



「んで、少し黙れ。」


〈イヤだねー。 そのまま帰っちゃうんだもんー〉


「こいつ・・・」


どうしても静かになる気はないようで、俺もどうしようもない。


「はぁ・・・ 寝よ」


〈ちょっ! まだ夜にもなってないけど? 〉


「いいんだよ。 黙ってろ。」


〈ちょっとー!〉


明日は朝早くからライブに行くことになっている。 2日かけて行われる規模の大きいイベントだ。

朝4時には起きないと間に合わない。






翌朝


携帯の着信音がずっとなっている。


「うるせぇ・・・」


半分目を開いてスマホを取り上げると、 着信;晴馬 と書かれていた。


「げっ!  もしもし!?」


『あー、やっと出た! 早くしろ! 余裕持って早めの予定にしといてよかったわ。 10分以内に来いよ!』


「あー! 悪い悪い! すぐ行く!」


スマホの画面はAM4:30を表示している。


すぐに準備して朝食抜いて飛び出した。 昨日夕食も食ってないけど。





「悪い! 寝坊した!」


「ったく、珍しいなお前が。気をつけろよ。」


「おう。 ごめんな。」


「ま、いいよ。 行くぞ。」


バスに乗って目的地へ向かう。 ドタバタしてたのでバス内でコンタクトに変える。


「こんな揺れてるとこで怖くないの?」


「全然。 そんな痛くないって言ったらウソにはなるけど大丈夫だよ。」


「そうか。」




バスに揺られ数十分。 会場に着いたのは5時ごろ。 開場は5時半だが、すでに人だらけだ。


「めっちゃいるな・・・」


「そうだな。今年は1日目2日目ともにメインイベントが例年よりでかいからな。」


晴馬曰く、テレビにも出てるような有名なバンドが出るらしい。 興味はないそうだが。


開場を待ちながらライブの出演者などが書かれた紙を見ている。


「あれ? 此代くん?」


「ん? あ、えーと、五十嵐さん・・・だっけ?」


「だっけって」


笑いながら声をかけてきたのは同じクラスの五十嵐榛(いがらしはる)。 知り合って半年もたってないから名前もあいまいだが。


「此代くんもライブ来るんだね。」


「いや、友達の付き合いで。」


そんな会話をしてるのを遠目に見ている晴馬。 と、その時携帯のバイブがなる。


「なんだろ?」


〈やっほー〉


「あれ? 優華さん? なんで?」


〈今朝電話した時に乗り込んだ。 一回入れば自由に行き来できるんだ。〉


「便利だね。どうしたの?」


〈いやー、雄哉がまさか女の子と話してるなんて。〉


「はは、あっちから話しかけてきたみたいだけどね。」


〈それでもですよ。 で、誰ですかあの人?〉


「あー、あの人はね・・・」



「そういえば此代くんテスト85位だったんだね。 うちのクラスの今回のトップ3人の一人じゃん。」


「いや、たまたまだよ。 五十嵐さん頭いいって聞いてたけど、どうだったの? 俺見てないからわからないけど。」


「私? 13位だよ。」


「へ、へ~。 すごいね。」


思ってたより高かったが、13位に引っかかる。


「あれ、13位って・・・」


「そ、君の友達の晋川君に1点差で負けたよ。」



「俺がこのあいだのテストで1点差で勝った雄哉のクラスメートの五十嵐榛。」


〈余計な自慢入れたね。〉


「いいんだ。 事実だから。」


〈晴馬は思ったより黒いのかな?〉


「さあ、どうでしょうね?」



「そこに本人いるよ。」


「え、本当?」



〈こっち指さしてますけど?〉


「ぽいね。 行こうか。」



「晋川君。 どうも。初めましてだね。」


「初めまして五十嵐さん。」


笑顔で挨拶交わしてるけど、なんか火花散らしてるように見える。


「で、晋川君が此代くんを連れてきた人?」


「うん。 五十嵐さんは一人?」


「そうだよ。 どこ見て回るの?」



そんな会話をしている。 違う形で会っていればもう少し仲良くなって俺がライブにつき合わされずに済んだんだろうけど仕方ない。



で、一緒に回ることになったらしい。 唐突。



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