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電人的日常論  作者: Hru
:現実世界:
5/11

たまの休みも休みじゃない。


今日は日曜日。明日は1学期の終業日。その前の休日の時間。


昨日は寝ててそのままベッドの横の机で寝落ちしてた。



〈ゆーやー ゆーやー おきろー たまの休みなんだからどっか行こうよー〉


「・・・」


〈ゆぅやぁ ゆうやあ ・・・   アラーム攻撃〉


けたたましくアラームが鳴り響く・・・


はずなのだが、こうなるだろうと予想してイアホンを付けといた。


〈・・・ 用意周到だこと。 じゃあこれだな。〉


パソコンに乗り移って大音量で音楽を流す。


明らかに周囲に迷惑なレベル。 防音だし問題ないけど。


当然こうなることも予想してはいたが、あいにくイアホンは一つしかなく、ヘッドホンなども無いので、完全無防備だ。 気休め程度に耳栓はしていたが、無意味なようだ。


「ぅるせえ・・・」


〈あ、起きた? どっか行こ!〉


「二度寝タイム」


〈なっ ちょっ!  雄哉っ!〉


「・・・うるさい わかったからいったんスマホ戻れ」


〈言ったね。 了解!〉


優華がパソコンからいなくなったのを見計らい、パソコンのインターネット回線を切り、スマホを孤立させる。


「よし、これで阻害される要素はなくなったな。」


〈ちょっと雄哉!  甘いよ!」


起こったかと思えば笑顔で目の前のパソコン画面に登場した。


「んな・・・ おまえネット通じてないと飛べないんじゃ・・・?」


〈うん。 でもあのひねくれ雄哉がそう易々と了解するわけないなと思って。〉


「俺への信用はその程度か。」


〈うん。 あたりまえじゃん〉


「こいつ・・・ あ~・・・眠気取れちゃったじゃねぇか」


そういって、朝食(昼食と兼用)を作り始める。



「たまにはテレビでも見るか」


基本的にテレビは見ない。 ニュースとかならネットで十分だしほかに見たい番組も無いので。


〈雄哉がテレビ見るの初めて見るな。〉


「そうか。 最近見ないから。」


〈っていっても最近パソコンすらいじってなくない?」


「お前が邪魔だからな。」


〈何~、見られたらまずいものでも?〉


「そんなとこだ。」


何を暗喩してるかはさすがにわかる。 とりあえず邪魔なことに変わりはない。

そうでなくたって邪魔なのに。


「いい具合かな。」


朝食ができあがったのを確認すると、盛り付けて、テーブルをテレビの前において朝食を食べる。


「つまんねぇな・・・」


朝の情報番組とでもいうやつだろうものを見ているが、ニュースなんて全然やらない画面をボーっと見ていた。


ザッ ザーーーーーー・・・・・・


「? 映像乱れた?」


砂嵐と通常の画面の中間のような状態を彷徨っている。


「最近使ってなかったからかな?」


そういって電源を消そうとすると、画面が切り替わった。

先ほどとは明らかに違う画面。


『あー・・・ 全国の皆さん、聞こえているかな?』


そこに現れたのは、黒い覆面を被った5人ほどの集団。


『我々はL'sという。』


〈ダサくない?〉


「ださいな。」


覆面でどうなっているかは分からないが、名前か行動か、自信を相当お持ちの顔をしているような気がした。


『日本全国のTVをハイジャックさせていただいた。』



「ハイジャックって飛行機とかに使うんじゃないの?」


〈そうでもないみたいだよ。 昔テレビでやってたような気がする。〉


「なんでお前そんな余計な記憶はあるんだよ」


〈さあ〉


「おい・・・」



『えー、今から30分後、全国のテレビ、パソコン、スマホ等のインターネット回線を使用する機器すべてに我々が作成したウイルスを侵入させる。 このウイルスは侵入後、24時間たつと、その機器が爆発するようになっている。』



〈そんなことできるのかな?〉


「そういうのはお前の方が詳しいんじゃないのか?」


〈知らないよそんなこと。 もとは普通の人間だったからね。〉


「そうだっけ?」


〈ひどい・・・〉


テレビに映し出されたその変な集団の話をのんきに聞きながら話をしている。



『我々は特に何も要求はしない。 ただ日本全国が火の海になるのを願うだけだ。

このままハイジャックを終了させてもつまらないからな、せめてウイルス散布の30分後まではこのままにしよう。 テレビの前でウイルス散布の瞬間を見ていてくれ。』



「あるあるかはよく分からないけど急なシリアス的展開ってつまらないよね。」


〈そうだね。 在り来たりっていうかね。〉


「んで、本当に日本全国ジャックしてるかはわからないけど、ウイルス本当だったら地味に困るな。 お前テレビの電波とかに乗って飛べないの?」


〈たぶんできるけど、まずテレビに入れない。〉


「最近はテレビじゃなくスマホでもテレビ番組見れるから大丈夫だ。 あいつらに何かしてこい。」


〈え~、めんどくさい。 てか行ったところで何もできないよ?〉


「お前単体で写真とか動画撮れない?」


〈たぶんできるけど、なんで?〉


「あそこ行って外の風景とかいろいろ撮ってこい。 住所特定する。」


〈そんなことできるの?〉


「ああ。 やってたことある。」


〈犯罪者っ!! キモい!〉


「うるせ、背に腹は代えられないってやつだよ。 それにもうやめたし。」


〈はいはい・・・〉





〈よっと・・・ ん~・・・?〉


着いたのは、おそらく中継しているカメラ内だろうか。 若干視野が狭い。


〈窓の一つもないや。 てか見づらい・・・ 〉


ひょこひょこと見ていると、視界の端にテレビがあるのが見えた。

覆面軍団の数名がテレビで状況を確認しているようだ。


〈あれに入るか。〉


テレビに侵入。 当然姿が見えるため、覆面軍団パニック。


「なんだコイツ! おい、どこにいる! 」


「誰かいるのか!出てこい!」


カメラは当然自分たちの部屋を映しているので、急にテレビ画面に現れたので部屋内を探し回る。



「どうしたんだ?」


雄哉は呟く。 テレビに優華が現れてるのはあそこだけなので見てる側からしたらただの阿保なのだが。



〈そんなとこ見たっていないよ~  あ、パソコンある。〉


あそこに侵入すれば行けるなと思い、一旦戻る。



〈ただいまっ〉


「おう。 どうだった?」


〈いや~、パソコン見つけたからさ、侵入できるなと思って戻ってきた。〉


「そうか。 よし行ってこ・・・  まて、ウイルス持ってくるなよ。 さすがにつらいぞ。」


〈大丈夫! たぶん。  じゃっ〉


「おい・・・」


明らかにフラグだろといわんばかりに景気よく大丈夫と言わなかったのは吉か凶か。



〈リターンっ〉


「んな! また現れやがった! なんだお前!」


〈入れるかな。〉


「は?」


〈とっ!〉


「消え・・・?」


覆面軍団の数名がこちらを見るのを横目にパソコンに侵入。 パソコン見てるやつもいるけど雄哉のパソコンでウロウロしていた分隠れるのは容易だ。


〈えーっと・・・ どうすればいいんだろ? ウイルスでも壊す? ん~・・・〉


そういいながら、いろいろ見て回る中、ふと声を出してしまったと思ったが聞こえてないようで。


〈ファイルでも漁るか・・・〉


薄黄色の羅列されているファイルを一つずづ見ていく。


〈見つからないようにしないと・・・ 帰れなくなる。〉


ウイルス壊したらすぐ帰ってその功績を称えてもらって雄哉をあごで使おうなんて考えていると、


〈あ、これだな。〉


見つけたのは、【破壊ウイルス】 と堂々と書かれたファイル。


〈どうやって壊すかな・・・〉


優華は、雄哉のパソコンに侵入したときのことを思い出す。


〈殴ればいいんだ。  とーぅっ!〉


バキッ と音を立ててファイルが壊れる。 と同時に覆面軍団全員の視線が向く。


「なんだ!」


〈にーげろっ!〉


足早にそのパソコンを去る時、覆面軍団が慌てふためくのが見えた。



〈任務完了!〉


「お疲れ。」


テレビ画面には、パニック状態のリーダーと思われる覆面が予想もしてないとかなんとかいってハイジャックを終わらせ、通常のテレビに戻った。


〈お疲れだけってひどくない?  もっと日本中を救った英雄を称えてよ!〉


「ワースゴイネー」


〈棒読みは機械の仕事なんだけど〉


「知らん。」



それから数時間後、ハイジャック犯たちは捕まったようだ。 しかしハイジャック犯ですら何が起きたのかわからないので、警察の事情聴取も全然進展してないようだ。


結局優華の思惑もかなわず、日本を救ったのは事実なのだが、雄哉に一蹴された。


〈ケチぃ!!〉


そんな悲痛な叫びは、パソコン内にのみ響く。

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