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電人的日常論  作者: Hru
:現実世界:
4/11

お約束・・・ってやつにはなりたくない。

集中テスト当日の朝---


昨日は深夜2時半ごろに寝たが、起床はいつもより早めの5時半。


「ん・・・ ちょっと早いけどまあいいか。」


そういい、早速パソコンを開く。

起動を待っている間、朝食を作る。


朝食を食べながら、パソコンやインターネットをウロウロする。

本来深夜の日課で、特に意味もないが、今回は少し違う。


「あいついねぇな。 遭難したか?」


いくら迷惑とは言え、俺だって人間。 少しは気になる。


ふと、時計を見ると、AM:8:00を指していた。


「はぁ!!?」


さすがにありえないと、パソコンの時間を見ると、AM:6:30。 スマホも同じ時間を指している。


「あれ、壊れたかな?」


そこそこ前ので家からもらってきたものだが、一応電波時計だ。 ボタン一つで直せる。


「よし・・・ 家に帰ってくる頃には戻ってるだろ。」


少し早めだが、家を出ようと、パソコンの電源を消そうと思ったが、なんか不可解なので、電源をつけたまま行った。




ついたのは、いつもより15分ほど早かった。 余裕があると思って、少し遅めに歩いていたようだ。


「雄哉、お前も早いのな。 勉強できたか?」


「おう。 あいつ昨日は一日も見てないからな。」


「お前が嫌になったんじゃねぇの?」


「はっ、それなら願ったりなんだがな。」


「ま、テスト頑張れよ。 夏休み入ったらまた付き合ってもらうからな。」


「おう。 またその季節か。 」


そういって別れた。夏は、晴馬が一番ボロのでる季節でもある・・・

しかし、先の心配をしていても仕方ないので、教室に向かい、勉強を始めた。



そしてHRが始まる。この時、珍しいっていうレベルじゃないくらいに2日連続の衝撃の事実が伝えられる。


「えー、今日の集中テストですが、急ですが範囲をすべて変更します。」




そう、先生が言うと、おそらく新たな範囲が書かれた範囲表が配布された。

と同時に教室中からブーイング。 不平不満をぶちまけている。


「ま、代わりと言っては何だが、赤点のラインを10点分くらい下げてやる。頑張れよ。」


うちの大学は、赤点ラインは35点。 つまり25点が今回の赤点ラインである。全体の1/4だと思うと、気が楽になる  気がする。



と、そこで俺に範囲表が回ってきた。


そこでもう一つの衝撃の事実というかなんというか、見事に俺が昨日やった範囲とほとんど一緒なのだ。確かに昨日は範囲表はなく、勘で勉強したが、まさか大当たりするとは。


「範囲表持ってたらやばかった・・・」



テストは、無事終了。

これまでの平均点とはあまり変わらない気がするが(一回しかやってないけど)、おそらく他があまりできてない分、偏差値は高めだと思う。


前回、晴馬と偏差値勝負をしたとき、俺が58.7、晴馬が59.4で、俺が負けたが、今回は勝てる気がする。


「雄哉~! どうだ、テストは出来たか? 偏差値勝負するか?」


「おう。 するに決まってるだろ。余裕だよ。」


「お、自信あるんだね。どうせ昨日範囲表忘れて適当に勉強したとこが当たったとかじゃねぇの?」


「なんて正確な分析。 正解だけど。」


「俺もだからな。」


「なはは、そうか。 じゃあ条件は一緒だな。」


今回は結構自信があったのだが、まさか晴馬も同じとは思わなかった。



少し肩を落としながら家に帰る。


「たで~~ま~・・・」


超気の抜けた声であいさつすると、大声で声が飛んできた


〈ゆ・・・ゆーやぁぁ!〉


パソコンの画面には、半泣き状態で丸1日ぶりの優華がいた。


「うるせぇ」


半泣きで感情爆発中の優華に真顔で返答する。


〈ひどい・・・〉


「で、一応聞いてやる。何があった。」


〈いや、あの・・・あのあと、インターネットウロウロしてたらなんかよくわからない回線に引っ張られて気づいたらそこの時計の中にいた・・・〉


「壊れてた原因お前か」


〈で、よくわからなくて戻ろうと思っても動けなくて孤立してそのまま1日ずっといた・・・〉


「なるほど。 時計から音声は・・・ スピーカー無いから無理だな。」


〈今朝になって雄哉が時計から電波飛ばしたからパソコンに戻れた・・・〉


「そうか。 あの判断は失敗だったか。 まあ直さないと不便だし仕方ないか。」



一通りいきさつを聞いて、まず最初に思ったのが


「平穏な睡眠と起床が崩れるな・・・」


〈え?何?〉


「いや、何でもない。」


肩を落とし、風呂に入って寝た。 疲れたので飯を作る気もなく熟睡した。




翌日起きたのは、AM:6:00。 


「ん・・・眠。 結構寝たんだけどな・・・」


〈おはよう~〉


「おう。」


素っ気無い返事をして朝食を作る



うちの学校は、テストは翌日には必ずすべて帰ってきて、学年TOP100までが貼りだされる。

昨日偏差値勝負を吹っ掛けられ、不安と期待が入り混じっている。 勝っても特に何かあるわけでは無いが。


久しぶりに優華がスマホに入ったまま学校に向かう。



「雄哉ぁ! 決着の時だ!」


「うるせぇ、どうせ負けるんだから素直に認めろ」


「なんでだよ、前回負けたくせに」


「黙っとけ。 昼な。」


「おう。」



HRが始まり、先生からテストが返される。


「え~、今回のテストですが、うちのクラスからTOP100に入った奴が3人いる。」


うちの学年は、全部でクラスが8つ、クラスごとの平均人数は45人前後だ。若干というか結構少ない。


テストと、全体評価、偏差値の書かれた紙をもらう。


〈雄哉、どうだった? 200位くらい?〉


「ひでぇなお前」


そういい、二つに折りたたまれた紙を開くと、総合偏差値65.7、学年順位〔85/374〕位と書かれていた。


「マジか」


今まででもトップレベルの成績だ。勉強範囲あっていたのもあり、結構高いが、上には上がいるのだなと思った。



そして運命(?)の昼。


「晴馬、どうだ?」


「余裕だな。雄哉はダメだったか?」


「何を。 じゃあ行くぞ。」


「おうよ。」


「「せーのっ」」


同時に紙を見せた。



「・・・マジ?」


驚くべきは晴馬の順位だ。なんと学年12位の偏差値78.6という驚異の数字


「まだまだだな。」


「こいつ・・・」


〈あ、やっぱり完璧じゃないですか。〉


「あれ、久しぶりだね。」


〈ども。〉


「完璧じゃねぇよ。 ちょっと常識はずれなんだよ。」


「なんだそのバカみたいな言い方は。 お前の方が馬鹿だったろ今回も。 も!」


「こいつ・・・ 急に上がったからって調子に乗りやがって」



晴馬との勝負は中学2年のころからやっている。

そこから高校3年の学年末テストまで、俺は実に14連勝していた。

ギリギリの時もあれば、今の晴馬みたいに完勝したときもある。 どちらにせよほとんど勝っていたのだ。

しかし急に晴馬が追い上げ、高三の時の2勝も1点2点しか変わらなかった。



「これで俺の3連勝だな。」


「けっ、13連勝がここに居るんだよ。」


「昔の話な。」


「黙っとけ」



自分の中ではいい方。歴代でも結構いい方。しかし競う相手と比べると劣っている。

少しの後味の悪さを感じながら、これから夏休みを迎える。


休みは好きではない。

ゆっくりできるのはいいが、学校のある時の生活リズムができてしまっているから、あまりなれない生活になりそうだ。


そして問題の晴馬との付き合い。


こいつは夏になると、毎回いろいろなライブ等に付き合わされる。

正直一般人からしたら誰だこいつらとなるような奴らのライブに付き合わされる。

「他に知っている人がいないから」なんて理由で。 

俺だって知らねぇよと毎回思っているのだが・・・


とりあえず、こいつはライブに行くと周りが見えなくなるなんてレベルじゃないくらいにヤバい。

引くレベルだ。


そんな去年、一昨年・・・とのことを思い出しながら家に帰り、夏休みに向け早い段階で勉強を始めた。


「毎日のようにかりだされるから早めに勉強しないと大変なことになる。」


〈よくわからないけど頑張ってください。 私はここでのんびりしてますから。〉


「何言ってる? 付き合ってもらうぞ。 ここにいる以上覚悟しておけ」


〈え~、ひどいです。 何するっていうんですか?〉


「夏になればわかる。」


〈ん~・・・〉


短い夜、優華がいていつもとは違う夏になりそうな予感--- なんてしない。

そんなありきたりな予感してたまるか。 いつもと違う夏なっていったらもっと悪化しそうだ。やめてくれ。



そんなことを思いながら、夏の夜、勉強を進めている。

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