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電人的日常論  作者: Hru
:現実世界:
3/11

夏といえば・・・ 海だ山だ祭りだ万歳! なんて悠長なこと言えない。

今朝は、ドタドタと、どこから騒がしい音がしたので、目が覚めた。

何時だろうと時計を見ようとスマホに目を落とすと


「おい・・・ 何やってるんだ」


〈え? あ、おはよう! 猫追いかけてる。〉


「は」


スマホの画面には、走る猫と、それを追う優華。


「ガキか貴様は」


〈ひどくないそれ〉


足を止め、こちらを見て少し睨みながら言った。


「はぁ・・・」


時間はAM:6:05を指す。 ちょうどいい時間ではあるが、目覚めは最悪だ。

毎日のように、朝食を作って身支度して家を出た。

ただ、昨日は出来なかったので、何か不自然な気分だ。


電車に揺られながら、耳元では電車の音と、優華の騒がしい声が聞こえる。


今朝、俺は学習した。こいつは、スマホだろうとPCだろうと、充電されてないと姿は見えないものの、電源消していても音声は聞こえてくる。なんて迷惑なんだと考えながらも、じゃあよく昨日講義中ずっと黙っていられたななんて思っているが、聞かないでおこう。なんとなく。



そう考えているうちに、駅に着いた。


人の流れに流されながら、優華に授業中静かにしなくてもいいよと言った。 届いているかはよくわからないが、イアホン付けっ放しにしておけば大丈夫だろう。


「雄哉!」


「おう、おはよう。」


「今日は遅刻してないんだな。」


「うるせぇ、昨日が普通じゃねぇんだよ。」


「なはは、失礼。」


「じゃ。」


「おう。」


毎朝恒例とも言える小会話を済ませて教室に向かった。


そこから朝のHRが始まるまで、ゆっくり教科書を読むのだが、駅に着いた時の言葉が、優華に通じていたかが少し心配になったので、スマホの画面を見て、イアホンを耳につけた。


〈静かにしてなくていいんですよね!?〉


「伝わってたか。 ああ。」


〈イェイ!〉


若干うるさい優華の声にすこしウンザリしながら、スマホの電源を消し、教科書に目を落とした。




昼---


俺は、基本的に講義の合間には、スマホは見ない人なので、校内では昼休みしかほとんどスマホは見ない。 ということで、スマホの画面を見て、イアホンを付けると、優華が騒々しく騒いでいた。

と、ふと気づいた。その仮定は、自分の今までのことを思い出していくうちに、だんだん確証に近くなっていった。


「・・・ まさかな・・・・・・」


そうつぶやき、俺はスマホの電源を切り、暗くなった画面を見ていた。


「雄哉? 何してんだ?」


「うぉっ、晴馬。ビビらすなよ。」


「悪い悪い。 で、そんな暗いスマホの画面見て、どうした?」


「いや・・・」


〈あれ、完璧晴馬だ。〉


イアホンから、そんな声が聞こえると同時に、スマホの画面が光り、優華が手を振っていた。


「やっぱり・・・ 」


やはりこいつは、電源消していても、充電さえあれば、自由に電源つけれるな。 意図的なのか必然的になるかはわからないが、そうなる。 思えば今朝のこともそうだ。 思えば電源はついていた。

昨日の晩はちゃんと消したはずなのに。


ため息をつきながら、イアホンをとった。


「や、優華さん。」


「おい優華、昨日あんだけ嫌がっていてそれは普通じゃない。 そしてこいつは完璧じゃない。」


〈いいじゃんいいじゃん。〉



そのまま、晴馬と飯を食い、午後の講義も終わらせ、家にそのまま帰った。


「優華、一ついいか?」


〈ん?何?〉


こいつのせいで、早い段階でスマホの充電が切れてしまったので、パソコンに送って、会話を進める。


「お前、俺がスマホの電源消した後、電源つけてるだろ。」


〈え、ダメだった?〉


「ダメに決まってるだろ・・・ 充電が持たない。 PCでもダメな。 電気代かかりすぎるから。夜中ずっとつけてると。」


〈へ~い。 でも夜中暇なんだよね。〉


「寝ろや」


〈私は寝ないというか、寝れないんだよ。一応機械に住んでるものなんで。〉


「そうか。 じゃあ電源つけないで奥でうろうろしてろ。」


〈いや~、できないこともないけど、電源ついてないとオフラインだから、インターネットいけないんだよ。〉 


「じゃあ、今接続してるから行ってこい。 朝になったら戻ってこい。」


〈何その放し飼いみたいなの。 牛じゃないんだからさ。〉


「じゃあ夜中中暇してるか?」


〈あ~! わかったわかった! m(__)m〉


「なぜ唐突に顔文字。 そもそも顔文字使わなくてもいいだろお前は」


〈気分だよ。〉


「じゃあ行ってこい。 明日の6時くらいな。じゃ。」


〈了解ですっ( `ー´)ノ〉


「うぜぇ」



よかった。これで平穏な睡眠と目覚めは確保できた。

とりあえず、疑問だらけだが、日常生活は何とか送れそうだ。




翌朝---


「ん~・・・ 久しぶりに太陽光で目覚めた気がする。 」


珍しく、気持ちのいい目覚めだ。スマホの電源をつけて、優華が戻ってくるまで放置しながら、朝食を作る。



「よし、身支度完了。 優華、行くぞ。  っていねぇし。」


スマホの画面を見ても、あいつはどこにもいない。

なぜだろうと考えながら、パソコンの電源を付けた。

しかし現れない。


「あいつ・・・ ネットの世界にはまってるな。 置いてこ。」


2日ぶりに静かに学校に行けそうだ。



HRが始まり、衝撃の事実が伝えられる。


「え~、みんな、わかってると思うが明日から集中テストあるからな。 これが終わったら夏休みに入るが、当然、ひとつでも赤点あった奴は補習がある。 全部赤点だったら夏休み返上で補修だからな。」


え~ と、みんな知っているもののやはりいやそうな声を上げるものだ。

当然俺も知っていた。しかし、あいつが来てからの2日間、全く頭になかった。授業は真面目に受けてる方だから、さすがに赤点は無いと思うが、不安だ。


「なんだこの学生あるあるイベントは・・・」


大きく落胆したものの、今日はあいつがいない分少しは気が楽だ。



気分が沈んだまま講義も終わり、家へ帰ろうとすると、晴馬が声をかけてきた。


「おい、明日から集中テストだけどお前家にいて勉強できるのか?」


「できるわけねぇだろ。 これから図書館いくよ。」


「そうか。どうせ昨日も勉強できなかったんだろ。 なんとなくわかる。」


「正解。 じゃあ。」


「おう。」


さすがの晴馬も、あいつの害悪さはなんとなく気付いているのだろうと思いながら、図書館へ向かう。



「あ~、涼しい・・・」


さすがの夏、図書館は最高だ。 あまり冷暖房設備がしっかりしてない家でやるのの10倍くらいは効率がいい。 あいつもいないし。


「よし、やるか。」





「ん、そろそろ時間か。 帰ろ。」


閉館時間の10分くらい前だ。 ゆっくりと家へ帰る。


「たでーまー」


誰もいない家にも挨拶位は一応するのだが、そういえば住人が一人増えていたなと思いながらそう言った。

取り敢えずパソコンの電源をつけておいて、夕食の準備を始める。


「あいつはまだネットの世界にいるのか。 好都合だ。 勉強終わらせよう。 終わりはないけどな」



夕食を終わらせ風呂にも入って歯を磨いて布団を敷いてその横のパソコンを除けて、勉強道具を置いた。


「えっと、今は・・・10時半か。 2時位までやるか。」


そう思い、黙々と勉強を始めた。




「んぁ~・・・ 終わった。  んで、優華~、いないのか?」


そう一応呼びかけてみるが、返答はない。 パソコンの電源を落として寝た。



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