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電人的日常論  作者: Hru
:現実世界:
2/11

大体こういうのってテンプレありますよね。


ジリリリリリ・・・


けたたましいアラーム音によって目覚めた。


「あれ・・・アラームなんて設定したっけ・・・」


目覚めると、窓の外はまだ薄暗い。アラームのもとのスマホを開いてみると、そこに表示されたのは、AM.5:00 という文字。そして


〈おはようございますっ!〉


「はえぇよ馬鹿野郎・・・ 誰がアラームなんてつけろって言った・・・」


〈私〉


「ポンコツかよ」


〈し・・・失礼じゃないですか!? 唐突にそれは無いと思いますよ!〉


「そもそもお前は何なんだよ・・・ 誰が作った?」


〈誰が作ったって言われましてもね・・・ 私人間でしたし〉


「そうか。 じゃあその時のお前の住所教えろ。殴りこんでくる。」


〈覚えてません〉


「じゃあなんかその時の場所の記憶」


〈覚えてません〉


「じゃあ何を覚えてるんだよ!」


寝起きの割にそこそこ大きめの声で叫んだ。


〈えっと・・・名前は、白花優華(しらはなゆうか)って言います。 現在18歳のギリギリ大学生です!〉


「思いっきり同年代じゃねぇかよ・・・  とりあえず知り合いにそんな奴いた記憶もないし、全くの赤の他人だってのは分かった。」


〈あなたの名前聞いてないですけど?〉


「最低限の常識はある・・・ のか?  まあいいや。 俺は此代雄哉。19歳。 お前今大学生っていうなら俺と同じ学年だ。」


〈えっ! 大学生なんですか? ニートじゃないんですか!?〉


「失礼にもほどがあると思うぞ? そもそもお前の方が学校行ってないんだからニート同然だろ。」


〈ひどいですね~〉


「お前がそれを俺に言ったんだよ!」


〈すみませ~ん。 てか大学生なら時間大丈夫ですか? もう8時になりますが?〉


「は?」


スマホの時刻はAM.7:54を表示する。 こいつが改ざんしてるんだろうと考え部屋にある時計を見た。しかし同じ時間を指している。


「あああああ!!  っざけんなくそがぁ!!」


飯なぞつくってる暇はないと、大急ぎで着替えて家を出た。


普段より30分以上遅い。遅刻は確実だ。


これまで小中高そして今までの大学生活でも、遅刻なんてしたことはなかった。



「間に合えぇぇ!」


電車に駆け込み乗車。


閉まりかけのいつもよりすいている電車に飛び込んだ。


「セーフッ・・・ じゃねぇよ! お前のせいだわ!ざけんな!」


〈あの~・・・ 公共の場で大声ではたから見たら何もないスマホに向かって叫ぶと変人にみられますよ?〉


「っ・・・」


息を切らしながら、電車に揺られる。




「ついた!」


ドアが開くと同時に猛ダッシュして大学へ向かう。

幸い大学と駅は近い。500mあるかってところだ。



「失礼しますっ!!」


大声でそう叫び、教室のドアを開ける。視線は当然みんな俺に向かう。


「雄哉ぁ! 遅刻なんてどうした?」


そういったのは先生。


「えっと・・・ 遅くまで本読んでました。」


事実でも嘘でも無いけど、あいつの存在を離すと馬鹿にされる。


「そうか。 気をつけろよ。」


そう話すと、授業に戻った。




昼時、晴馬がやってきた。


「雄哉!? いたいた! 遅刻?初めてじゃね?」


「暑苦しい・・・ 」


詰め寄るように教室にやってきた。


「どうした?」


「いや・・・」


こいつにはあいつのことは話していいかな・・・


「実は、これ見てくれ。」


そういってスマホの画面を見せる。


「? どうした? なんもないけど」


「え? あれ?」


画面はいつも通りのホーム画面。


「お~い、出てこい~」




そういっても返答はない。


「勉強のし過ぎで頭混乱してるんじゃねぇの? ゆっくり休めよ。」


「あっ、 ちょっと・・・」


そういって晴馬は戻っていった。


「ん~?」


そういって自分のスマホを覗き込むと、画面の端から、ひょっこり顔を出してきた。


〈もう行きました・・・?〉


「なんで今出てきた・・・」


電車の件もあるので、少々声を落として問いかける。


〈いや~、さっきの人、どう見てもコミュ力激高の大学中の人気者で誰とでも仲良くなれるし頭がめっちゃよくて教師とかからも信用のある完璧人間の枠じゃないですか・・・

私みたいな人は大体世の通例としてコミュ障で若干バカのヒキニートのもとに来る感じじゃないですか。

なのでちょっと顔を合わせるのはどうかと思いまして・・・〉


「偏見だらけじゃねぇか・・・  って誰がコミュ障ヒキニートだよ!」


つい、大声で叫んでしまった。


「雄哉? どうした?」


「あ、ああ。悪い。電話だよ・・・」


クラスメイトが声をかけてきた。


〈ほら~、今の反応やっぱりコミュ障の反応じゃないですか。〉


「少し黙れ・・・ とりあえず言っておくけど晴馬はそんなに完璧じゃねぇし。」


〈そうですか。 でもあの人あなたの唯一の友人的な感じの人でしょ?〉


「黙れ・・・ 図星だけど。」


〈やっぱり。〉


時間をふと見ると、もう少しで授業が再開する時間だった。


「授業始まるから、少し黙ってろよ。」


〈へ~い〉





放課後、夕暮れ時・・・


「裕也~」


「おう、晴馬。 どうした?」


「いや~、昼休み調子よくなさそうだったから、ちょっとね。 なんか悩みあるなら話せよ?聞くぞ。」


「ん~・・・」


そういって、自分のスマホをちらりと覗くと、優華が全力で首と手を振っている。


「っ・・・」


話したいけど、話せる状況じゃない。ただ、話さなければならない。


「ん~とな、晴馬、やっぱり見てほしいものがあるんだ。」


「なんだ? また俺は何もないスマホの画面でも見せられるのか?」


「そうじゃねぇよ・・・」


そういって、スマホの電源をつけ、画面を見せた。

見せる前に、優華に「逃げるなよ」と言って。


「やっぱりか。 何があるって・・・」


そう呆れたように見た晴也は、目を凝らして、スマホの画面を見た。


「なにこれ・・・・・・? 作ったの?」


「いや、昨日現れた。」


「は・・・? なんだこれ・・・ 人?」


〈・・・〉


少しうつむきながら、優華は晴馬のほうを見ている。


「優華、会話しろ。」


〈ひどいよ・・・ 〉


「おい、雄哉、泣いてるぞこの子」



「・・・ コイツ」


直感的に何かわかる。 明らかに嘘泣きだ。演技だ。


「優華、めんどくさい。 早く。」


〈ちぇっ、コミュ障の雄哉にはこうしとけば何とかなると思ったけどバレてたか。〉


「なめやがって・・・  ってコミュ障じゃねぇよ!」


「あははは、この子お前のことずいぶん理解してるな。」


「お前までなんだよ・・・  とりあえず、こいつは白花優華。 名前があるらしいし元人間らしい。」


〈元って何ですか! 今も一応人間ですよ!〉


「一応、な。」


「で、雄哉の不調の原因はこの子なのか?」


「まあ・・・ 不調ってわけじゃねぇけど。 こいつのせいで遅刻したのは確かだ。」


〈あー、人のせいにしたー。 さいてー〉


「どう考えてもお前のせいだろ! もう余計な事すんなよ!」


〈ワカリマシター〉


「こういうときだけ機械らしいなお前は。」


「ま、事情はよく分かった。 明日は遅刻するなよ。」


「おう。またな。」


そういって、晴馬と別れた。




〈で、結局あの人はどういう人なんですか?〉


「どういう人って言われても・・・ ごく普通のやつ。  一部を除いてはな・・・」


〈?〉


そういって、家路をたどった。きょうは早めに寝ようなどと思いながら。

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