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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

So what?

作者: らいとてん
掲載日:2010/09/30

同名の長編を始めました。

本能が『それ』を求め警鐘を鳴らす。

酷くぼんやりとした思考のまま、他者を押しのけ、探り出し、食らいつく。

満ち足りた気分で再び眠りの世界に入ろうとして、ふと違和感を覚えた。

あれ? なんか、おかしい。

重たい瞼をこじ開けて霞む目を凝らせば、そこには―――鼻先一センチまで近づいた巨大な獣の顔があった。


『おお、目が開いたか。我が愛し子』


「へ?」


声を出したはずが、耳に聞こえるのは獣の唸り声。

なにやら嫌な予感がする、と下を見れば獣の足があった。


右手を持ち上げてみる。

―――右の前足が持ち上がる。

左手を持ち上げてみた。

―――左の前足が持ち上がった。


「なにこれー!」


叫んだはずであった。

しかし、ある意味予想通り(是非とも外れてほしかったが)、

響いたのは獣の咆哮だった。


『ほう、我が愛し子は早くも吠えるか。優秀だな。他の兄弟はまだ目すら開いておらぬというのに』


聞きなれぬ声に顔を上げれば、巨大な銀色の獣が彼女を見下ろしていた。

微笑んでいるつもりなのだろうか。

鋭い牙を剥き出し、こちらに顔を近づけてきた。

―――そこで臨界点を突破した彼女の意識は暗転した。


薄れゆく意識のなか、脳裏に響くは獣の子守歌。

『寝る獣は育つという。よく眠るがよい。我が愛し子』




 拝啓 


 母上様


 お元気でいらっしゃいますか。

 私は変わり変わって異世界に転生したようです。

 こちらの御母様は凶暴な牙をお持ちの魔獣です。

 まだ乳離れもできておりませんが、優秀と褒められました。

 できれば夢であってほしいものです。 


                     敬具  

                  

                        小坂晶


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