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第38話 返さないことにして、少しだけ気にしないふりをする
「……」
スマホを見る。通知が二つ。
私はそのまま画面を見る。
開かない。
少しだけ間を置く。
また見る。
開く。
「ありがとうございます」
もう一つ。
同じような短い文章。
「……」
しばらく見る。閉じる。
返さない。
そう決める。
でも、少しだけ残る。
「……」
私はスマホを置く。
部屋は静か。
窓の外では、人が歩いている。
私はそのまま座っている。
返さない。
でも、無視している感じとも少し違う。
「……」
少しだけ考える。
でも、途中でやめる。
立ち上がる。
キッチンに向かう。
もやしを取り出す。袋を開ける。
フライパンを出す。
火をつける。
ジュウウウ、と音がする。
私は箸で動かす。
考えていない。手が動く。
「……」
少しだけ安心する。
火を止める。
皿に移す。
座る。
一口食べる。
「……」
同じ味。
スマホを見る。
通知は、そのまま。
返していない。
でも、前ほど気にならない。
「……」
「……まあ」
小さくつぶやく。
私はもう一口食べた。
少しだけ、距離がある。
そのくらいでよかった。




