軽いノリで
「話せば長くなるんだけど……」
「あ、座っていいよ」
ユイに言われ、「じゃあ失礼します」と頭を下げてから腰を下ろすカルテット。
彼女がゆっくりと口を開く。
「私は……っていうかまず天界についての説明からかな。
雲の上にあるって思われがちなんだけど、実はこの世界とは別で、同じ場所だけど違う場所にあるんだ」
「……ん?」
「えーっと…、世界の裏って言えばいいのかな。地上界と同じ場所だけど裏側だから、同じ場所であって違う場所なんだ」
「あー……、何となく理解は出来た……。つまり裏世界的な……?」
「まあ簡単に言えばそうかな。コインの裏表、みたいな。だからほとんどの人間にバレてないしね」
「……なるほど…………?」
何とか理解できたような表情でユイが言う。
難しい表情のユイを見て笑う。
「それで、私が追われてたのは天界の人たちなんだけど、まあ追われてる理由はさっきも言った通り私が堕天使だからなんだよね」
「……堕天使…ねぇ。……だからその輪っかみたいなとこにバツ印書いてんのか」
「まあ……そだね」
「んでじゃあ捕まったらどうなんの?」
「実験体になるか……魔界行きかのどちらかかな」
「ふーん…じゃあどうすんの?俺ずっと匿う訳にもいかないだろ」
ユイの言葉を聞いたカルテットが、不敵な笑みを浮かべる。まさに悪役のような、罠にはめてやったぞ、とでも言いたげな顔をする。
そんな顔を見たユイが不審に思いながら尋ねる。
「……なんだお前」
「いやあ、今の話、実は人間にしちゃいけないんだよねぇ」
不敵な笑みをしたまま、彼女が話し続ける。
「……は?」と、声を漏らしたユイなんてまるで見えていないかのように、先程までの話の続きをする。
「それで、天使にはそれぞれ権能……つまり特殊能力があるんだけど、地上界じゃ普通の天使は使えないんだ。
もちろん堕天使である私を含めてね」
「……一応聞くけど、対抗するってことでいいのか?」
「その対抗手段がないって話だよ。
たった一つの方法を除いてね」
人差し指を立ててユイの顔に迫る。
「そのたった一つの方法が人間界の生物と契約すること!!」
「……えーっと、その契約ってのは…」
「私と君で契りを結ぶ!つまり……まあやって見たらわかるよ」
「えっいや、そんな軽いノリでやるものじゃないんじゃ……」
距離を取ろうとするユイを翼で抱き寄せ、瞳を見つめるカルテット。
あまりに突然の事で赤面したユイが目を閉じる。
そんなユイに「お、そのまま閉じててね」と言って瞼の上からそっと触れる。
触れてから数秒たった後、カルテットが言った。
「よし、契約完了!」
ちなみにですが本編で出てきた魔界は天界の中の禁忌的な地方のことです。ほとんどの天使は触れないように生きている、そんな場所です。
高い壁で囲まれ隔絶されている治安の悪い場所、というふうに思っていただければ……。




