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転生先「ラダ村」にて3

明くる日、アルフはもう一つの【スキル】の確認をしていた。

ちょうど先ほど母アイシャが寝室から出たからだ。


(【闇:空間魔法】って考えないとダメなのか…単純に使いたい機能の事を考えればいいのか)


どのように発動させるのか、まずはその根本から考える。

一口に空間魔法と言ってもアルフには色々な事が出来るんじゃないかと前世の記憶から想像していたからだ。


(【格納空間(インベントリ)】とか【転移】とか、とりあえず思いつく物を試してみるか)


そしてまずはクラフターには必須だろ!と内心思っていた魔法【格納空間(インベントリ)】を使ってみる事にした。


目を閉じ、自分の思い描く【格納空間(インベントリ)】を頭の中で考えていると体の中からすっと何かが抜けたような気がした。

閉じていた目を片側だけゆっくり開けるとそこにはまたしてもUIが表示されていた。

UIには各辺5cm程の正方形の枠が横に10マス並んでいる。


(今は何にも入ってないから空欄だな…ていうか5マスって…どうやって枠増やすんだ?)


実は【格納空間(インベントリ)】の枠数は発動時の最大魔力量と同数であり、その事をアルフが知るのはまだまだ先であった。


(まぁ今考えてもどうしようもないか…さて問題はどうやって収納するかだ…)


試しに昨日父ルフトが持ってきてくれた麻のような布で出来た直径10cm程のボールのおもちゃに手を伸ばす。

手がボールに触れても何も起きない。


(ん?収納されないな…ん~、収納!)


目を閉じて頭の中で呪文のように念じるとボールが消失し、リストの一番左にボールのアイコンが表示されていた。

アイコンの左上には小さく【NEW】の文字がある。


(おお!やった!収納できた!)


そしてボールのアイコンに触れるとボールのAR表示が現れた。

そしてその下にはアイテムの名前と説明が表示されていた。


「ハッサのボール:ハッサの布で出来たボール。中にはフギの藁が入っている。製作者『リーシャ』」


(おお!アイテムの素材名が分かるのか!そしてやっぱり麻に似たハッサっていう別の名前の植物なのか…しかも藁はフギって植物で作成者まで分かると…)


説明欄に表示された情報はアルフの知らない物だった。にもかかわらず植物だけじゃなく人物の名前すら表示されている。

情報を得るのにもかなり便利な機能だった。


(歩けるようになったらマジで色んなものを片っ端から【格納空間(インベントリ)】に突っ込む必要があるな)


ここで表示される名前がどの程度の知名度なのか。

素材の発見者が付けた名前がその発見者しか知らない名前でも表示されるのか。

一定の人数に認知されなければ表示されないのか。

その辺りは未知の素材が発見された際に明らかになるだろう。

そんな事を考えてアルフは【格納空間(インベントリ)】内のボールを出そうと思考を切り替える。


(とりあえず収納の方法は分かったからボールを出しとかなきゃ怪しまる、ん~、取り出す!)


ボールのアイコンに触れながら今度は視線は空中のUIのアイコンを見つめたまま頭の中で念じる。

すると視線の先、アイコンがあった辺りにボールが出現した。

ポスッという音と共にボールがアルフのお腹の上に落ちる。


(なるほど、視線の先に出るのか?でもこれって距離はどこまでが範囲なんだ?)


そしてもう一度ボールを収納し、今度は視線を両親が寝ていたベッドの上の天井に向けて念じる。

すると視線の先、ベッドの上の天井付近にボールが出現した。

ボールがポスッっとベッドに落ちる。


(おお!とりあえず2m~3m先までは取り出せるのが分かったな!)


収納出来そうな物が手元に無くなり、さてどうするかと思っているとアイシャが部屋に入ってきた。


「あら?ボールで遊んでいたの?腕白ねぇ」


ベッドの上に転がったボールを目にして、アイシャはふふっと笑いながらベッドに近づいた。

ボールを掴むと優しくアルフに差し出す。


「昨日は触るだけだったのにもう投げられるようになったのね」


「あ~ぅ」


差し出されたボールを両手で挟み込むように受け取るとアルフは取ってくれた母にお礼を言うように声を出す。


(なんだか眠くなってきた…今日はこれくらいにするかなぁ)


そう思ったらすぐに意識が遠くなりアルフは寝息を立て始めた。


「ふふ、遊び疲れちゃったみたいね、おやすみアルフ」


そっとアルフの頭を撫でて今日も一日が過ぎていった。

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