転生先「ラダ村」にて8
『辻村真人』が『アルフレッド』に転生してついに5年が経った。
『アルフレッド』愛称『アルフ』はこの日を一日千秋待ちわびていた。
(やっと…やっと5歳だ!…ふふふ…ははは…あはははは…【クラフト】しまくるぞおおおおおおおおお)
待ちわびすぎてちょっと壊れかけていた。
そんなアルフがちょっとおかしなテンションになっている事に母アイシャが気づかないはずもなく。
「あらあら、今日はいつにも増してご機嫌ねぇ、何かあったの?」
即バレしてちょっと冷静になるアルフであった。
取り繕って気分を落ち着けたアルフはずっと言おうと思っていた言葉を放つ。
「アイシャ母さん、僕【スキル】を覚えたみたい!」
「!?本当なの!?」
「!?」
ドタン!ガタン!
「いってぇ!」
アイシャが驚くのも不思議では無かった。
確かにこの世界では誰かしら1つは【スキル】を習得出来るようにはなっていた。
そう習得出来るようにはなっていても、必ず習得出来るわけではない事をこの世界の住人は経験則で知っていた。
だからアイシャは驚いたし、また父ルフトも朝食を取っていた席から転げ落ちた。
「いてて…ってそれどころじゃない!アルフ本当か!?本当に【スキル】を得たのか!?」
そんな迫りくる両親の追求に対してアルフはドヤ顔で【スキル】行使する。
「うん!見てて!」
そう言っていつもお世話になっていた叔母リーシャ作の〈ハッサのボール〉を手に持った。
「これを…ほら!」
次の瞬間ボールはアルフの手から消失していた。
「え!?え!?ボールはどこに行ったの!?」
「おお!?どうなってるんだ!?」
目に見えてうろたえている両親を見て更に得意気になりアルフは続けた。
「はい!」
すると今度はアルフの手に突然ボールが現れた。
「これはね【闇】属性の【空間魔法】の【格納空間】って言うんだ!今の所は10種類だけだけど、[どんな物でも]この【格納空間】にしまっておけるんだ!」
アルフが種明かしをする。
ここでアルフの[どんな物でも]と言う言葉に補足しておく。
アルフがこの5年間で【格納空間】に収納して中で最大の素材は小川にあった大きな〈岩塊〉である。
当初アルフは【格納空間】に収納出来る物は素材に限られていると思っていた。
そんなアルフは先日小川に釣りに行った際に軽い気持ちで目の前の推定5t、最大直径4mほどの〈岩塊〉に向かって【格納空間】に収納するように念じた。
(これが収納出来れば楽なのになぁ…収納!なんてな、って!?え!?)
そう収納出来てしまったのだ。
もちろん周囲に村人がまばらにいたので一応死角になる位置にあった〈岩塊〉を選んでいたが、まさかの展開にアルフが興奮したのは言うまでもないだろう。
(いよっっっしゃあああああああああああああああ!)
その興奮した姿を目にした猟師アグトの娘ミミリーに見つかり言われた台詞にアルフが落ち着くまでは…。
「あるふ~どうしたの~ちょっときもちわるいうごきしてたよ~?」
「あ…うん…なんでもないよ…」
とっても気まずかったアルフである。
閑話休題
こんな事があったのでアルフが【格納空間】に収納出来る物に制限が無いと思うのも当然で[どんな物でも]と言ったのだ。
両親はそんなアルフの言葉に戦慄した。
「!?」
「どんな物でも!?まさか…人も入るのかい?」
ルフトの言葉に慌ててアルフは訂正する。
「ああ!生き物は入らないよ!さっき試しに蜘蛛の巣を収納しようとしたら巣の中の蜘蛛は収納出来なかったから!」
アルフの言葉に両親は胸を撫でおろす。
〈人〉も収納出来てしまえるんじゃないかと正直震えあがったのだ。
当然である。
誰かを誘拐しても誰にも気づかれないなど恐怖でしかない。
だがアルフの言葉で安心した両親は次のアルフの言葉でさらに驚愕する。
「あともう一つ!【クラフト】って【スキル】もあるんだ!」
「!?」
「なっ!?」
アイシャは口元を両手で覆い腰を抜かし床にペタリと座り込んでしまった。
ルフトは驚愕で固まっている。
一つでも【スキル】を得る事は奇跡なのに、まさかの二つである。フリーズするのは当たり前だった。
そんなアルフもさすがに両親の反応に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまった。
「えっと…手元にある材料で色んな物を作れる【スキル】なんだけど…」
と遠慮がちに説明するアルフを見てアイシャがハッとする。
アルフは別に悪い事している訳ではない。
自分たちの反応で息子が縮こまってしまっている事に気づいたアイシャはすぐにアルフを抱き寄せて言う。
「ごめんね、アルフ、アルフは何にも悪くないわ」
その一言にルフトもしまったっと顔に書いてある顔で頬をポリポリ掻きつつアルフに謝った。
「すまん、アルフ、ちょっと驚きが大きすぎてな、でも二つもかぁ…凄いことだぞ」
とアルフの頭を撫でてルフトは自分も落ち着こうとした。
そして全員が落ち着いた所でルフトが切り出した。
「それで?色んな物を作れるっていう【クラフト】だっけ?何が作れるんだ?」
アルフはその言葉に目を輝かせて説明を始めた。
現在クラフト可能なアイテムリスト
〈石の斧〉=石x2+木の枝x5
〈小さな石の斧〉=石x1+木の枝x2
〈石のツルハシ〉=石x5+木の枝x5
〈小さな石のツルハシ〉=石x2+木の枝x2
〈石のナイフ〉=石x2+木の枝x3
〈小さな石のナイフ〉石x1+木の枝x1
〈木のハンマー〉=木材x1+木の枝x5
〈小さな木のハンマー〉=木材x1+木の枝x2
〈木の槍〉=木材x3
〈木の短槍〉=木材x1
〈焚き火〉=石x10+木の枝x10
〈フギの藁の寝具〉=フギの藁x15
〈ホウキのロープ(1m)〉=ホウキの繊維x20
〈ホウキの糸(2m)〉=ホウキの繊維x20
〈ハッサのロープ(1m)〉=ハッサの繊維x10
〈ハッサの糸(1m)〉=ハッサの繊維x5
〈骨の釣り針〉=骨x1
〈ガミの釣り竿(2m)〉=ガミx1+ハッサの繊維x4+ホウキの糸x2+骨の釣り針x1
「とりあえず今作れるのはこんな感じかな?」
アルフの説明を聞いた両親は真剣な顔でお互いの顔を見つめあい一つ頷いた。
「アルフ、これから村長に会いに行こう」
「アルフ、村長にもう一度今の事話してくれる?」
「うん!」
村長ドーガは村一番の物知りだ。
その村長の協力が無ければアルフとしても村での活動に支障が出てしまうので否やは無かった。
そうして3人は村長宅を訪れて先ほどの話をする。
「ふぅ…アルフ、お前は他の子供より賢いと思っていたがそれ以上だったな」
「えへへ、村の為に色々作ってもいい?」
「もちろんだ、欲しい物があれば相談に来なさい」
「ありがとう!」
アルフは言葉と共に、両親は無言で感謝の礼をして村長宅を後にした。




