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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

「心霊スポットを訪問して実況動画を上げてみました」を観てる最中に……?

作者: HasumiChouji

『はい、ここが、例の伝染病でゴーストタウンと化した町です』

 Youtuberが仕事として成り立つ(と言っても、Youtuberだけで食っていけるのは上位5%ぐらいだそうだが)ようになってから、十年近く。

 そして、最近は、映画の撮影スタジオなんかが、大作映画を撮っていない時に、格安でYoutuberに使わせるような事をやっているらしい。

 昔はグリーンバックやブルーバックで背景を合成していたような場合でも、デカいモニターに背景を映すようになったそうなので、多分、この実況動画もそうやって作られた「やらせ」かフェイク・ドキュメンタリーだろう。

 そもそも、例の伝染病のせいで、ゴーストタウンと化した町など聞いた事も無い。そして、動画の中に映ってるヤツはマスクをしていないので、多分、流行が終息した後と云う(てい)なんだろう。

 しかし……どこかで見覚えが有る……おい、ここは……俺ん()の近くだ……。

 どうなってる?

 やたら手間がかかっている。

 この辺りの光景を元に、ゴーストタウン化させた映像を作った訳か?

 いや……でもYoutuberのやらせ動画で、そこまでやるか?

 そして、俺は、ある事に気付いてベランダに出た。


「どんだけ……手間がかかってんだよ?」

 実況動画に映っていた月の月齢や高さは……空に有る本物の月とほぼ同じだった。

 そして……部屋の中に戻った瞬間……ある音……。


 そおっと部屋の外の様子を見る……。

 開いた玄関に居るのは……何だ……あれは……。

 それは……2人の……いや2体と言うべきか……妙にこざっぱりした格好で……片方がスマホを手にしている……いや……だから、あんなのが実在してるだけでも何か色々とおかしいのに、何で、あんなのが、町中を普通に歩いてる若い(あん)ちゃんみたいな格好をしてる?

 2体のゾンビらしき何かの片方は、何かしゃべってるつもりなのか口をパクパクと開けては閉じを繰り返し……もう片方は、相棒をスマホで撮影しているような仕草をやっていた。

 何がどうなってるか全く判らないが……これだけは言える。冗談じゃない……。

 俺は慎重にゾンビっぽいモノの様子を窺う。

 どれだけ時間が……経っ……あ、しまった。

 俺の部屋から、ある音がしていた。

 さっきまで観ていた実況動画の音だ。

『この廃墟と化したアパートの奥から、何か音がします。恐いけど、入ってみましょう……』

 ゾンビっぽい何かは、土足のまま……おい、ゾンビに言ってもしょうがないが……土足は……いや、そんな事を考えてる場合じゃない。

 俺は勇気を振り絞って、部屋を飛び出し、台所へ走り出し……だが……ゾンビっぽい何かも、それに気付いて……。


 ガンっ‼

 俺が持っていた出刃包丁と、ゾンビっぽい何かの片方が手にしていたフライパンが激突。

 俺は衝撃で包丁を手から落し……だが、偶然にも、その包丁がゾンビっぽい何かの足をざっくりと……。

 ゾンビっぽい何かは……絶叫を……いや、絶叫をあげてるような表情になってるが、肝心の絶叫が聞こえない。

 俺は、シンクの中に入れっぱなしにしていた大き目の皿を取り、ゾンビの頭を殴る。

 皿は割れ……ゾンビはふらつき……。

 他に武器は……有った……見付けた……。以前、Amazonで買ってから一度も使ってないトーチバーナー。そして、消毒用アルコール。

「うわああああっ‼」

 俺は、消毒用アルコールをゾンビにブッかけ……そしてトーチバーナーで……。


 2匹目は……1匹目が火達磨になった途端に怯え出し……。

 お蔭で、2匹目は大した反撃を受けないまま倒す事が……あれ?

 疲れ切って床にへたり込んだ俺は……ゾンビ達の死体や持ち物が、いつの間にか消えていた事に気付いた。


 例の実況動画は……廃墟と化したアパートの台所で、ゾンビのような何かが台所に有った食器や調理道具を武器に暴れ回る場面で途切れていた。

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