成果
いつの間にかベッドの上で寝ていた様だ。
腹が減って目を覚ますと午後を回っていた。
冷蔵庫から卵を3つ取り出すとベーコンと一緒にフライパンで炒めながら、4枚切りの食パンを焼く。
牛乳をマグカップに入れてからヨーグルトも用意する。
それらを食べながらテレビを付けると、全てのチャンネルのワイドショーで昨夜の事を放送していた。
テレビを見ながらトートバックの現金を数えると三千万近くあった。
残りはクルーガーランド金貨と金の延べ棒99・9999と書かれている。
24金100gが5本、一本70万円として350万円。
24金500gが2本、と白銀もあった、現金を少し残して残りは押し入れの中に仕舞う。
しばらくは引き籠ろう、食材も買ってある。
昨日使ったP17を取り出すと、分解清掃してからガンケースに仕舞った。
ゴリはコンビを組んでいる刑事と共に被害者である老人が持っていたリボルバーの足取りを追っていた。
「ゴリさん…ここは?」
相方の刑事は目の前の建物に目を奪われた。
監視カメラが何台もある玄関に、一戸建てなのに窓が無い壁。
ゴリはそれには答えず、表札すら無い玄関のインターホンを押してから、監視カメラに警察手帳を広げて見せる。
「若頭に会いに来たんだ、開けてくれ」
しばらくして玄関が開くと、ジャージを着た丸坊主の若者が出て来た。
「お疲れ様です!中にどうぞ!」
中に入って客間に通されると豊和興業と書かれた家紋が目に付く、直ぐにお茶が出て来た。暫くすると黒いスーツを来た中年の男が出てくる。
「お久しぶりですね旦那」
頬に傷のある男はこの組の若頭で、ゴリが四課時代からの知り合いだ。
「久しぶりだな、親分は?」
そうゴリが聴くと、最近体調が悪いので入院していると言い。
「今日はどんなご用件で?」
そう聞いて来たので、昨夜の事件の話をしてから。
「被害者の爺さんが拳銃を持っててな、出所を探してる」
「ウチじゃありませんぜ旦那」
そう言うと若頭は煙草に火を付けると。
「あの爺さんは結構ガメツイ野郎でね」
何でも担保を必ず押さえていたそうで。
「娘やら女房やら…利子が払えないとジジイが手籠にしてたそうですぜ」
案外物取りじゃ無くて怨みかも、そう言う若頭にゴリが。
「そっちは別件で調べてるから、拳銃の方は?」
そう言うと若頭は天井を見つめてから、ゴリの方を見ると。
「ウチじゃありませんぜ…借金のカタに持って行かれたんじゃ無いですかね?」
そう言うと話はこれで終わりとばかりに、席を立つとゴリの方を見て。
「また警察署から点数稼ぎの習得物の催促が来るんでしょうなぁ」
そう言って手を首に当てると、ついでに言うように。
「あの爺さんは地元の議員にも貸してたそうですぜ、見返りに選挙の弁当の手配やらウグイス嬢やらの斡旋で稼いでいたそうで」
案外、議員とかかもしれませんぜ。
そう言うと客間を出て行った、ゴリ達も事務所を出てから。
「豊和興業は普段は水商売への嬢の斡旋とかがメインの仕事でな」
フィリピンやタイからダンサーとして入国した嬢を酒場に入れて働かせる、おしぼりや花の仕入れも中間マージンを取ったり、競馬や競輪のノミ行為、祭りや行事の興行など。
「何でも屋だな、バブル期は不動産で土方の手配とかで稼いでいたらしい」
もっとも最近は工事自体が減少傾向にある。
新しい商売を常に探している、極道にも世間の不景気は厳しい。
「被害者の借金の借用書…一度調べて見るか」
そう言うと2人は捜査本部に戻って行った。
その頃、伊達は家の中で時を過ごしながら、内心焦っていた。
「…隠れ家って、要るな絶対」
2、3週間様子を見てから、山の中に買うか借りるか。
ここから1時間以内、人が少ない過疎化した村。
「 探して見るか」
伊達はネットの海の中から物件を物色し出した。
今回もTwitterのフォロワー様に協力していただきました
ありがとうございます