強奪
競技会の会場、および警備体制などは
作者の脳内での妄想であり
事実とは異なります
茨城県 ボアライフル競技大会。
22LRライフル銃を使って50メートル先の標的を狙う射撃大会。
山の中にあるため使用する弾は前日に納品される。
夜明けの少し前、午前4時を回った時間帯。
射撃場の警備員詰所に近づく黒い影があった。
目出し帽を被り、両手に軍手を嵌めた伊達は警備員が巡回に出るのを辛抱強く待つ。
やがて詰所から警備員が1人出て来た、植え込みの陰に隠れて居た伊達は警備員をやり過ごすと、後ろから手に持った手製のブラックジャックで後頭部を殴り付ける。
ガスッと鈍い音と短い悲鳴が聞こえた。
伊達は倒れ込んだ警備員に追加で頭を殴り付けると相手は失神した様だ。
カードキー、鍵束、無線機を奪い取ると簡易手錠を使って後ろ手にした手首と足首を固定すると猿轡を嵌めて植え込みの中に隠した。
カードキーを手に建物の中に入ると、詰所の様子を伺う。
パソコンの動画サイトを見ている警備員の背後から肩を狙ってブラックジャックを振り下ろした。
バキッっと鈍い音がして鎖骨が折れる音がする、悲鳴を上げる警備員の左手の平にブラックジャックを振り下ろしてから腹に蹴りを見舞う。
震えながら身体を丸めて内臓を守ろうとする警備員に伊達は、口の中でチューインガムを噛んだ普段と違う声で。
「22LR弾は何処にある?」
返事を渋る警備員の背中を何度か蹴ると、隣の部屋を指差した。
普段は訪問客の待機室に使っているのか、部屋の中は折り畳み式のテーブルとパイプ椅子が置いてあり、テーブルの上に木で出来た弾薬ケースが置いてある。
伊達はポケットに入れていたソーイングツールを使って蓋を外すと22LRと書かれた透明なプラスチックケースの中に小さい実包が入っている。
5発並びで10列、ワンケース50発、それが100ケースで5000発、競技大会用に用意された弾。
伊達は部屋の中に居た警備員も同じ様に拘束すると、ブラックジャックで後頭部を殴り付けた。
意識が有ると警報ボタンを押される恐れがある、だからと言って殺すのも気が向か無い。
監視カメラの無い敷地外に止めてあった軽トラから台車を下ろすと弾を回収する。
薬莢を含めて一発4グラム、5000発で20キロ、木箱やケースを入れるとそれ以上の重さになる。
荷台に乗せると上からダンボールを被せて偽装してから、雨除けの防水シートを掛けて落ちない様に工夫すると、幹線道路は避けて農業用道路、別名フラワーロードと呼ばれる山間部の道路を走り出した。
これは高速や幹線道路ではNシステムと呼ばれる警察の監視システム、改行なし
車のナンバーと通った時間を自動的に記録するシステムを避けるためだ。 農道を走る軽トラは都心部を走るタクシー並みに目立た無い、人が見ても記憶からは直ぐに消える空気の様な物だ。 そのままゆっくり走りながら大阪の実家に着いたのは夕方だった。
次は試射