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拳銃の記憶  ケルテックCP33  作者: かばパパ
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鳴神

 腹部に焼ける様な痛みを感じた伊達はハンドルを一瞬取られそうになったが、なんとか踏ん張る。


 相手の車は運転手に被弾したのか、ハンドルを取られて倉庫のシャッターに突っ込んでいた。


「奴を逃すな!追え!」


 まだ無事な組員(チンピラ)達が伊達を追うために走り出そうとした時。


「動くな!全員武器を捨てろ」


 伊達が破ったシャッターの穴から完全装備の特殊部隊(SAT)が飛び出して来た。






 伊達はスロープを下に降る、スピードオーバーで膨らむとリフトは簡単に転倒する。


 伊達は10キロをキープしながら一階まで下りきった。


 一階の車両出入口から外に出るとボロ雑巾の様になったベンツと、その側にうつ伏せで倒れている山下の姿があった。


 伊達はリフトを近付けてから降りようとした時、傷の痛みに目の前が真っ赤になる!


 降りるのは諦めて、伊達は右手に握りっぱなしだった拳銃(コルトローマン)のラッチを右手の親指で操作すると右手を軽く振ってシリンダーをスイングアウトする。


 そのまま銃口を上に向けてカタカタと降ると空薬莢がパラパラと落ちて来た。


 そのまま銃口を今度は下に向ける、左の胸ポケットからスピードローダーを取り出すと、落とし込む様に6発の実弾(38スペシャル)を補充する。


 山下に銃口を向けると頭を狙う、引き金(トリガー)を絞ろうとした時。



「それ以上は…辞めときな」  


 左後ろから声がした。




 その頃、5階では豊和興業の組員(チンピラ)や手下の半グレ達が特殊部隊(SAT)から逃げ回っていた。


 半グレ達は武器と言ってもせいぜいがナイフ程度、それもその場で捨てて走って逃げる奴が後を絶たない。


 そんな中で鳴神流古武道師範、鳴神は(MP5)拳銃(シグ)も持たず。


 右腰に特殊警棒、左手にジェラルミン製の盾を持って自然体で歩いて行く。


 その姿を見て与し易いと考えたのか、ナイフを手に半グレが襲いかかる!


 鳴神は盾でナイフを受けながら左に流すとそのまま縦の上の部分を相手の喉に打ち据える!


「グエッ!」


 喉を押さえて転がる半グレを、蹴り倒しながら油断なく周りに気を配る。


 古来、戦さ場に置いて一番危険なのは、倒した相手の首を切り落とす時である。


 マウントを取れば背中を狙われる、常に動きながら周りを観察する。


 鳴神流古武道に隙は無い。



 鳴神は掛かって来る者、全てに等しく無力化して行った。






 伊達は声を掛けて来た男を観察した。


 ガッチリとした身体に革ジャンを引っ掛けて、大阪府警の腕章と警察帽が目に付く。


「大阪府警、捜索一課の者だ」


 そう言うと伊達に。


「拳銃を捨てろ」


 そう言うと右手に持った拳銃(ニューナンブ)を伊達に向けてきた。


 

 伊達はその声を無視すると拳銃(コルトローマン)を山下の頭に向けると引き金(トリガー)に指を掛けようとした時。



「あんた…お爺さん(ローロ)だよな?」



 伊達は声を聞いて身体が止まった、ゆっくりと声のしたほうに顔を向けると。



「ユサは保護した、婦警が面倒を見てくれてる」



 その声を聞いて伊達は半分気が緩んだ、しかし再び拳銃(コルトローマン)を向けると。


「親権はそこの屑が持ってるんだ」


 血が繋がってるから。


 父親だから。


 そんな言い訳で再びユサが危ない目にあるなら。


「元から…断つしか無い」


 そう言って再び撃とうとする伊達に。


「もう…死んでるよ」


 そう言って指差す場所を見ると、頭蓋骨から脳が溢れ出ていた。



 それを確認すると、伊達は右手を下ろして拳銃(コルトローマン)を指から離した。


 ガチャリと音がすると拳銃(コルトローマン)がアスファルトに落ちる。



 「すまんが…あの()を…」


 頼む。そう言いかけて意識を手放した。


 

 

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