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拳銃の記憶  ケルテックCP33  作者: かばパパ
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逃走

 レンタルした軽バンを駅前のロータリーに駐車すると、レンタカー会社に鍵を返却した。


 そのままユサを連れて駅前のショッピングモールの駐車場に行き、軽トラに乗り込む。


 幹線道路は出来るだけ避けて旧道や私道を通りながら隠れ家(セーフハウス)に向かいながらユサに。


「俺はこれから隣の県の隠れ家に向かう」


 ユサの方を見ると、ジッとこちらを見ていた。


「しばらく一緒に隠れると良い、ほとぼりが冷めるまで」


そう言うとユサは首を振って。


「あの人達は…たぶん必死に探す」


 私を…そう言いかけて言葉が止まった。



 


 豊和興業の本宅に若頭(カシラ)は詰めていた。組長不在の為である。


金庫室(マンション)の不寝番と連絡が取れない?」


 部屋の固定電話にも、詰めてる組員も出ないと聞いた若頭(カシラ)は、数人を引き連れて金庫室(マンション)に向かった。


 施錠されて無い玄関を開けると、死体と血溜まりが目に入った。


 その後、部屋の中で4人の死体を見つけるも。


(ガキ)が居ない…直ぐに探せ、あとここを処理屋(そうじや)にクリーニングさせろ」


 死体をゴミ処理場で焼くのと部屋の血痕のクリーニングに掛かる費用を考えると頭が痛い、しかし。


組長(おやっさん)に報告する…」


 組長である山下に報告する方が頭が痛かった。特に消えた(ガキ)の件で。




 


 

 数時間掛けて県境を越えた伊達達は、隠れ家(セーフハウス)に到着した。


 庭にある納屋に軽トラを隠すと、ユサを連れて家に入る。


 居間にある炬燵(コタツ)のスイッチを入れ、灯油のストーブに火を付けると、やっと人心地着いた。


 側に置いてあった段ボールからチョコレートバーを取り出すとユサに渡して。


「飯にするから、出来るまで座ってろ」


 そう言うと隣の台所に立ち、作り置きしていたカレーの入った鍋に火を付けるとサラダを作り始めた。


 ユサは炬燵(コタツ)に入ってチョコレートバーを齧りながら部屋を観察していた。


 古い日本家屋の農家のこの家は、引き戸で部屋を分けるタイプで、キョロキョロ辺りを見ていると伊達が呼ぶ声が聴こえて来た。


 隣の台所に行くとテーブルがあり電気ストーブが足元を暖めていた。テーブルの上には、

 カレーライス、サラダ、ヨーグルト飲料の入ったコップなどが並んでおり、カレーの香りが食欲をそそる。


「まあ、座って食ってから話を聞こうか」


 そう言うと伊達はカレーを食い出した。ユサも慌ててスプーンを握ると一緒になって貪り食う。


 カレーは辛かった、しかしサラダとヨーグルト飲料がよく合う。たちまち皿が空になると伊達が2杯目を食い出した。


「米もルーもあるから、2杯目からはセルフで頼む」


 そう言ってヨーグルト飲料を冷蔵庫から出すとコップに注ぎ足した。





 豊和興業の組長、山下はゴリゴリの武闘派だ。若い頃は短刀(ドス)拳銃(ハジキ)を懐に飲んで抗争に明け暮れていた。


 若い頃からの暴飲暴食のせいか、中年になってから身体の中に不調を抱え、和歌山の個人病院に入院している。


 若頭からの報告はそんな身体へのダブルパンチだった。売り上げが奪われ組員が殺され、


そして金庫室(マンション)に閉じ込めて居た(ガキ)まで行方不明になったと聞き、怒髪天を着いた山下は電話越しに。


「いいか?(ガキ)身柄(ガラ)を押さえろ…金に糸目は付けるな」


 飼ってる警察(情報源)や兄弟分の手を借りてでも探し出せ、そう言うと電話を切った。

 


 電話を切った後、山下は真っ青な顔で汗を流しながら。


「糞が!…間に合わねえじゃねえか」


 そう1人個室で毒を吐くと、やがて震え出した。


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