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拳銃の記憶  ケルテックCP33  作者: かばパパ
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噂話

 隠家(セーフハウス)に冷蔵庫が届いた次の日から、伊達は次の獲物を物色し出した。


 現在稼いだ資金だけでは心許ない、もう少しと思うのだが、そのもう少しが実は落とし穴になる。


 強盗(タタキ)をやって捕まらないコツ。


 それは稼いだ金額で満足する、余裕が欲しければ少し我慢する、これが出来ないと次で捕まる。


 しかし伊達はそんな事は知らない。自分の老後の事を考えると今の倍は欲しい。


 そう思いながら夜の街に聴き耳を立てに行く。


 その結果飲み屋での会話が耳に入って来た。


 地回りのヤクザ、豊和興業は夜の店で回収したシノギをあるマンションに集めている。


 金庫(マンション)と呼ばれるそのマンションは昔から豊和興業が組事務所でもある組長宅から押収品(ヤバイ物)を隠す為の倉庫代わりに使われていると。


 マンションの場所を確認する必要がある、伊達は次の日から早速行動を始めた。


 まずはレンタルで軽のワンボックスを借りた、自作した運送会社のロゴの入ったマグネットをボディに付けると毎日小刻みに移動しながらマンションを見張る。


 たまにマンションの中に偵察に行く。


 運送会社の作業着を着て空のダンボールに架空の伝票を貼る。


 昔のマンションなのでオートロックも管理人も居ない、しかし金庫室(もくてき)の場所は直ぐに分かった。


 廊下と扉前に監視カメラが多数ある場所があった、三階の奥の部屋。


 表札も無く一階のメールボックスにも名前が無い、しかし人の出入りは多そうだ。


 常に宅配屋からの荷物を受け渡ししている、裏DVDの集荷場も兼ねているのか。


 偵察の結果、いつも同じ人物が皮鞄を持って事務所のある本宅に行く事がわかった。


 中年で腹が出ているヤクザ、三下を2、3人従えてベンツで移動している。


 その顔を覚えると計画を練り出した。





 警察の取り調べ室、ゴリと相棒は議員から事情聴取をしていた。


「選挙で票を入れて欲しくて…年寄りは銃アレルギーが多いので」 


 持っていた猟銃を返納した、だが。


「無いと寂しいもんでしてね」


 結果、研修と言っては海外で撃つ生活が始まる、そんな時に声をかけられた。


ODA(政府開発援助)の民間交流でフィリピンに行った時に、昔から複製拳銃(クローン)の工房があるんですよ」


 数十年の歴史があるこの工房はリボルバーの生産を主に行っている。


「買わないか?上手く日本に送るから…そう言われて」


 開発援助の工具の返還品の中に隠されたリボルバーと実包は日本に送られる事になる。


「そんな時でした、資金が目減りして」


 選挙に出る前は中小企業の社長だった議員は当選後に事業に失敗する。


「金を借りに行きました、その時担保に…」


 二丁あったリボルバーの一丁を渡した。




 その日の捜査会議でゴリは議員とのやり取りを報告した後、所長から報告があった。


「茨城県警からの連絡によると現場に残っていた空薬莢(カート)の後ろにあるエンブレムが、数ヶ月前にボアライフル大会会場より強奪されたメーカーと同じ物らしい」


 その報告を聞いた捜査員達はザワザワと騒ぎ出した、続けて所長が。


「なお、強奪された数は諸君も知っての通り」


 そこで捜査員達はピタリと口を閉じた、固唾を飲んで次の言葉を待つ。


「五千発…五千発だ!」


 シーンと会場が静まり返る中、所長の声が会場に通る。


「本日ただ今から、捜査員は全員防弾チョッキ着用、および銃を携帯すること」


「なお、SAT(特殊急襲部隊)を待機させる様に大阪府警に具申する」


 ゴリは所長の話を聞きながら、前回の射撃訓練がいつだったか思い出していた。


 

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