2
レ「残りのストックは後3つっスか…風、土、火。火力は申し分ないっスけど討ちもらす可能性があるっスね。まあ考えててもしょうがないっスね。」
レイの視線の先には大量の魔物が近づいて来ていた。
「効率よく行くっスよ!『科学魔法ー地聳壁ー』」
土の魔力の入った試験管を取り出し、使用した。魔物の群れを囲うように地面が大きく盛り上り空高く聳える壁を作り出した。
『科学合成魔法ー大炎龍巻ー』
風と火の試験管を同時に使った。聳え立つ壁の中に巨大な炎の渦が現れた。それは天にも届くほど高く、そして広範囲を焼き払った。その技の威力で壁も崩壊した。
「案外うまく行くもんっスね!ただ、これで全部使い果たしたっス。」
土煙が漂う。その中から魔物が飛び出してきた。それも次々と。
「もしかして新手!?…しょうがないっスね。剣使うのはいつぶりっスか?魔法も使えないんっスけどね…やれやれ。困ったもんだ。お姉さんが相手してあげるっスよ!」
(なるべく早く助けに来てくれると助かる…。)
手から冷気が出て氷が固まり剣が出来た。剣を魔物に振りかざす。
場面は変わる。
セ「行くよ!創造魔法ーシュームー」
球体の核に土が集結していく。やがて手足が2本ずつ形を成した。その両手両足は鋭利な爪になっている。目と鼻はなく口は大きく開き、巨大な牙が生成された。
シュ「アアアア!」
雄たけびを上げる。
魔「なんだ?まあいい。早くあいつをやれ!」
魔物が襲い掛かる。それをシュームは爪で斬り裂いた。
「なかなかやるじゃないか。」
次々に魔物が押し寄せる。シュームは魔物を斬り裂き噛みつき魔法で魔物を排除して、セラフィに近づけないようにしている。その後ろで魔法を構築する。
セ「渦巻く風…舞い上がる礫…『双風渦礫』」
セラフィの放った風はシュームの両側を通り抜け、正面で風がぶつかった。それは風の大きな渦を起こし魔物達に向かって行った。風の中には礫が混じっており、魔物達を切り刻みながら前に突き進んでいった。
魔「たかが人間1人…しかも女に何たる失態だ!ゔ!…。」
シュームが魔族の体を爪で貫く。シュームは風の中に紛れていた。貫いた爪を抜く。魔族はその場に倒れた。シュームは即座にセラフィの元に戻る。数は減ってきたが、魔物はまだ出現してくる。
セ(一体どこからこんな魔物が?このままだと魔力が尽きてしまう。やってくる方向に進んでみよう。)
シュームと連携を取りながら魔物が現れる方向へと足を進める。すると、ある扉から出ているのが視認できた。その時だった。右腕の二の腕辺りに熱さを感じた。そこに目をやると、服が切れており血が出ていた。
『癒陣』『地操壁』
傷を回復させつつ壁を作り辺りを見渡す。動きが早いが、宙を走り回るイタチの様な魔物がいた。素早い動きでセラフィに攻撃を仕掛ける。壁で攻撃を防ぐ。
セ「シューム!」
シュームは地面から岩突き出させる。軽々イタチの魔物は攻撃を躱すがそれは誘導だった。シュームが魔法を使おうとする。その時、両脇腹から巨大な角が2本生えた巨大なサイがシューム目掛けて突撃して来た。シュームはそれを受け止める。サイから炎が上がる。するとパワーが増し、シュームを押し返した。セラフィは土を操り大きな手を創り出し、サイの大きな角を掴んだ。力が拮抗する。その隙を突きセラフィの背後からイタチの魔物が攻撃を食らわせた。セラフィは顔をしかめる。ダメージを食らった為に魔法の力が弱まる。サイはシュームとセラフィを吹っ飛ばした。セラフィは壁に激突する。
「う…めまいがする。」
セラフィの頭から血が流れている。シュームとセラフィは立ち上がる。間髪入れずに魔物の群れが襲いかかって来る。
(回復の暇がない。それなら…)
セラフィは魔法を構築していく。シュームは魔物の群れをなぎ倒す。そこにサイとイタチが攻撃を仕掛けてくる。サイはシュームに、イタチはセラフィを襲う。
(地爆散を使えばあの魔物は倒せるかもしれない。でも今シュームを失うのは危険かもしれない。)
シュームは必死にサイを抑えている。イタチの魔物がセラフィの側面から攻撃を仕掛けてくる。
『創造魔法ー罠ー風ノ衝撃ー』
イタチの目の前に突如風が巻き起こりイタチを天井へと叩きつけた。イタチは動かなくなった。
『水土石竜』
水を纏った土竜を放つ。シュームは離脱した。サイに技が激突する。サイも負けじと踏ん張る。
「負けられない!」
魔法の威力が上がる。サイはセラフィの魔法に飲み込まれて絶命した。
「はぁ…はぁ…。強い魔物はいなくなった。あの…部屋に行かなくちゃ。」
シュームが残りの魔物を倒しつつ、部屋へと入った。
「なにこれ?」
そこには巨大な口を大きく開けた魔物がいた。だがその魔物は口が大半で手足が短く自力で動けない。目玉だけはセラフィの方を向いているが何もしない。見とれていると口の中から魔物が現れた。
「この魔物が…」
魔物に杖を構える。魔物の目の前に赤い光が縦に光る。
レ「おっと。一足遅かったらやられてたな。残念だがこいつは使える。違う場所に運ばせてもらう。邪魔しないでくれ。」
その光からレキンが出現した。
セ「そ、それは出来ません!」
レ「それは残念だ。」
レキンはセラフィに向けて手をかざした。手が赤く光る。その光が放たれる。
セ(感じる…。)
『光土石竜』
光の力を纏った土竜がレキンの魔法と激突する。
場面は変わる
イ「ここは通さないとは言ったけど、どうしたものかな。」
鎧の敵は立ち上がるとイクマに攻撃を仕掛けてきた。
『風浮』イクマは宙に浮き攻撃を躱した。
『水操』水を出し、鎧の頭を覆った。
鎧「こんなもので倒せるとでも思っているのか?」
力を籠めると頭を覆っていた水がはじけ飛んだ。鎧の二体は武器を構える。それぞれの武器に爆発と重力の魔力が纏う。爆発の鎧の方がイクマに武器を振るう。イクマはひらりと攻撃を躱す。爆発の斬撃が天井に当たり、爆発が起きる。次は重力の鎧が武器を振るう。イクマのすぐ近くに何倍ものGがかかる。イクマはかろうじて躱した。
爆発鎧「ちょこまかと…お前は先にいけ。」
重力鎧「分かった。」
爆発鎧をおいて重力鎧が階段の方へ動き出す。
イ「行かせるか!『地操壁』」
鎧の目の前に土の壁を作り出した。重力鎧はその壁に攻撃を繰り出す。いともたやすく壁を壊した。そちらに気をとられている間に爆発鎧が呪文を唱えた。イクマはそれに気づいて躱そうとしたが少し遅れた。イクマのすぐ後ろで爆発が起き、イクマは吹き飛ばされ壁に激突して壁にめり込んでしまった。間髪入れずに爆発鎧は武器をイクマのめり込んだ壁に何度も振り下ろす。爆発と共に粉々になっていく壁。
重力鎧「ん?もうやったのか?」
爆発鎧「みたいだな。早く上に行くぞ!」
イ「つれないなぁ。」
イクマは無事だったが、言葉とは対照に血を流している。息が上がり汗をかいている。
爆発鎧「あの状況からどうやって?まあ驚きはしたが、ぼろぼろだな。予定通り、お前は行け。」
重力鎧「分かった。」
階段の方へ走り出す。何かにつまずき、体勢を崩した。武器を地面について体勢を立て直す。重力鎧の後頭部で爆発が起きる。重力鎧にダメージはさほど入らなかった。イクマの方を見つめる。
爆発鎧「俺じゃないぞ?」
重力鎧「分かっている。小賢しい奴め!2人で素早くやるぞ!」
2体は武器を構えた。魔力を武器に収束させていく。その時だった。地面の方でバキッと音がして、2体の視界は天井がどんどん遠のいていった。2体は地面を見る。床割れその下が砂になっていた。砂にめり込んでいく。抜け出そうとするが、もがけばもがくほど地面に沈んでいく。
爆発鎧「空中で戦っていたのは俺達の注意を地面から離す為か…それなら!」
2体は再度イクマの方向に武器を構え、魔力を集約させていく。が、地面から砂が浮き上がり2体の体を覆って行く。そして、地面へと沈んでいく。
「くそ!ん?熱い…?」
鎧達が肩上まで沈んだところで気づく。
イ「気づいた?砂もずっと熱してたんだ。鎧着けたままでいいの?『焼流砂』」
砂が燃え上がり鎧達を熱する。苦しみながらもがいているが、砂から抜け出せない。やがて2体は動かなくなった。
「ふぅ。なんとかなったかな。」
イクマは地面に降りた。イクマはセラフィの方へと足を進める。後方で大きな音がした。
「まさか…。」
赤い巨人「どこへ行くつもりだ?」
そこには赤と青の肌の色の巨人が立っていた。鎧の方を見ると中身が出た形跡があった。2体は再びイクマに武器を構えた。
場面は変わる
へ&ソ「遊んでくれるの!?たくさん遊ぼ!」
2人は笑顔を浮かべた。2人はマントを脱いだ。ヘンヌエは左手右足が、ソアルは右手左足が肥大化している。武器はヘンヌエが槍、ソアルは棒を持っている。
バ「分かっているな?」
バルドが出てきた。
凛「うん。体が意識と関係なしに震えてる。」
慧「一瞬でも気を抜いたらやられる。」
凛「持つか分からないけど、最初から本気で行く!『フェアリーリンク』」
慧の方も力を解き放った。
ヘ「もういいかい?」
ソ「もういいよ!」
ヘンヌエとソアルが動き出す。ヘンヌエは高く跳び上がり慧に攻撃を仕掛ける。
へ『毒牙槍』
ヘンヌエが槍に魔力を送ると先の方がうねうねと動き、液体が染み出た。やがて紫色の魔力を纏った槍を構えた。慧は近寄られないように銃を構え撃とうとした。直後、背中に衝撃が襲う。
慧「ゔっ!」
その衝撃で照準がずれた。銃を撃てなかったがヘンヌエの槍をぎりぎりで躱した。地面に刺さった槍は地面を溶かした。慧は距離を取る。ヘンヌエはニヤリと笑みを浮かべた。
ヘ「楽しくなりそうだね!」
慧(さっきの背中への攻撃は恐らくヘンヌエじゃない。)
ヘ「どんどん行くよ!『毒牙蛇槍』」
瞬時に慧の場所に距離を詰める。
慧(速い!)
ヘンヌエの槍を躱す。だが、ヘンヌエの槍は蛇の様にぐねぐねと曲がり再び慧の方を刃先が向いた。
慧『爆発弾ー零ー』
ヘンヌエに向かって爆発弾を放つ。大爆発して攻撃しつつ推進力で槍を躱した。
ヘ「イヒヒ!」
ヘンヌエは肥大化した左手で攻撃を防いでいた。左手を盾にしつつ突撃してくる。
慧(攻撃を躱すのが精一杯で有効な技が撃てない…)
と考えていると何かに足を掴まれ逆さまに宙ぶらりんになった。
慧(やっぱり他に何かいる!)
ヘ『毒牙槍』
慧の体に向けて突きを放つ。
凛「慧!」
ソ「アハハ!『炎刻連鞭』」
ソアルの持っている棒が分裂して鞭のようになった。炎を纏いそれを振り回す。鞭は伸びきった瞬間に炎の衝撃波を放つ。壁や床に穴が出来る。凛は受け流したり躱そうとしたがその度に傷を負った。
凛『光烈斬』
ソアルの鞭と凛の剣がぶつかる。お互いの連撃で火花がほとばしる。凛はなんとかソアルの攻撃を防ぎ切った。
ソ「すごいね!これが勇者かぁ~…たっくさん遊べそうだね!」
凛(一撃で決める!その為には躱せないように懐まで潜り込む!)
『水纏』
凛の剣に水が纏う。ソアルが武器を構える。
ソ『炎刻連鞭』 凛『行雲流水』
ソアルが攻撃して来たと同時に水を纏った剣で攻撃を受け流す。攻撃の流れに逆らうのではなく、別方向へと流れを変え受け流す。必要最低限の力と動きで、少しずつソアルへと近づいていく。途中でお互いの動きが止まった。凛は剣を持っている手が動かせなくなった。
凛「動かない?何かに捕まれて!」
更に全ての四肢が何かに捕まれて身動きが取れなくなり宙へと浮いた。
ソ「あらら!捕まっちゃったね!鬼ごっこなら終わりだね!『炎刻連鞭』」
凛『光水ノ護盾』
光と水の盾が凛の前に現れソアルの攻撃を防ぐ。
凛(他にも透明の敵がいるってどうして思えなかったんだろう?それに力が強くてほどけない!)
拘束から抜け出そうとするが、外れない。そうこうしている間に盾にひびが入った。ソアルの攻撃が遂に盾を打ち壊してしまった。鞭が凛に直接当たる。
凛「ゔ!」
“…せ”何かが凛の頭に囁いてくる。何度も何度も無慈悲に鞭が振り下ろされる。“…ころせ”“慧をころせ”
慧「凛!」
ヘ「もう終わり?」
慧は何とか銃剣を使い槍に刺されないように防いでいる。力は拮抗している。
慧(一か八かだ!)
『爆発纏ー放出ー』
爆発の魔力を全身に纏い一気に放出させて爆発を起こす。慧を拘束していた何かが取れ、液体が滴る。ヘンヌエも衝撃で押し返された。
ヘ「嬉しいよ!まだ遊んでくれるんだね!」
慧「遊んでるつもりはないけどね。『光聖砲』」
凛の方へと銃を放つ。
ヘ『異形ノ左手』
左手で慧の攻撃を受け止めた。ヘンヌエは後方へ押し出されるが、左手で慧の攻撃を握り潰し無力化した。
凛(慧を…慧を……なんで殺さないといけないの?拘束しているこの敵を引き剝がす!)
『光火纏』
凛の体に火が纏う。光の魔力でそれがどんどん燃え盛っていく。ジューと音がして見えない敵の拘束が解けた。それと同時に鞭をはじき飛ばした。そして、走り出す。
『行雲流水』
水を纏い鞭をいなしながらソアルの懐まできた。
凛『光水聖十字剣』
光と水を纏った剣で十字に斬り裂く。ソアルは吹き飛ばされた。
ヘ「ソアル!!」
気をとられた隙に慧がヘンヌエに攻撃をしかける。
慧『光聖螺旋砲』
ヘンヌエはソアルの方へ吹き飛ばされた。凛と慧が合流する。凛の火が拡大していく。火が渦巻いている。その中で何かが遮っている場所があった。
凛「あそこにいる!」
慧『光聖砲』
遮っている場所に向けて放つ。そこに直撃すると青い液体が飛び散り、下に落下して倒れた。透明だった敵は大きなカメレオンの様な敵だった。舌がべーっと出てきた。何本も舌があった。カメレオンは絶命した。
吹っ飛ばされたヘンヌエとソアルが立ち上がってきた。
ソ「いったーい!」
ヘ「いたかったー!」
2人はぴんぴんしていた。
凛「協力していこう!」
慧「そうだね!」
ソ&へ「僕達私達と協力して戦うんだって~。僕達私達の力見せてあげよう!」
ソ「せーの!」
ソアルはヘンヌエの体をぐるぐる巻きにした。ヘンヌエが凛たちの方へ跳んだ。それと同時にこま回しの要領で回転を加える。
ソ&へ『輪転炎毒槍』
ヘンヌエに炎と毒が纏う。ソアルの鞭で高速回転したヘンヌエが発射された。
ヘ「いやっほー!」
凛と慧はとっさに左右に避ける。その間をヘンヌエが通り過ぎる。直撃はしなかったが、炎と毒と衝撃がが凛と慧を襲う。凛と慧はダメージを負ったが、ソアルの方に走り出す。ヘンヌエはそのまま壁に激突して大きな穴をあけた。
ヘ「失敗したか~。」
ソ『炎刻連鞭』
走ってくる凛と慧に鞭を振るう。
慧『爆発連弾』
鞭に向かって銃を放つ。着弾した弾は爆発を起こす。鞭を押し返せはしなかったが、威力が弱まり攻撃を躱したり受け流すことが出来た。そして、凛はソアルに斬りかかる。
凛『獅子光聖剣』
光の獅子を纏った剣をソアルは右手で受け止める。左手に持っている鞭を振ろうとしたが、凛の攻撃で足が地面にめり込む。鞭を振るえる余裕がなくなった。
凛「はああああ!!!」
ソ「ううう!ヘンヌエ!」
ヘ「分かってるよソアル!『毒水波』」
地面に槍を突きたてる。すると地面から毒が噴き出した。毒は大量に放出され大きな波を起こす。
慧『爆発連弾』
毒の波に爆発を起こす。毒の波は毒しぶきをあげ徐々に小さくなった。
ヘ『毒水波』
また毒の波を起こす。ヘンヌエはその毒の中に入った。
ソ「アアア!」
凛の剣を右手で跳ね返した。凛はその衝撃で慧の元に着地した。
慧「凛…。」
凛「分かってる!分かってるよ…あの2人は間違ってる…今の私の感情も!でも…どうしても本気になれない!」
バ(甘いな。現実を知らない小娘が…まあそれで勇者に選ばれたのかもしれんがな。)
ソアルとヘンヌエは魔力を武器に注いでいる。
慧「凛の気持ちも分かってるつもりだよ。でもやりたくなくてもやらなきゃいけない時は絶対に来るんだ。逃げたくても逃げれない時は必ず来るんだ。戦わなければただ殺される。戦わなければ誰かを救うことは出来ない。僕は戦うよ。」
凛「そうだね。私達は勇者と眷属であの2人は魔族。私は私の守りたいものの為に戦う!自分の命!仲間の命!この国の為に私は全力を尽くす!『想力天換』」
凛の想いが力と魔力となり力が溢れ出す。慧も恩恵を受けたのか力があふれ出した。
慧「背中は任せたよ!」
凛「任せて!」
ソアルとヘンヌエが同時に攻撃を仕掛けてくる。
ソ&へ『大炎蛇・大毒蛇ー双蛇ノ大牙ー』
ソアルの鞭に大きな炎が纏い、大きい蛇のようになった。ヘンヌエの槍と体に毒が纏い、大きな蛇のようになった。両極から凛と慧に2つ大蛇が襲い掛かる。凛はヘンヌエの方を向き、慧はソアルの方を見た。
凛『大獅子光聖剣』慧『爆光混沌銃剣』
凛の放った大きな光の獅子はヘンヌエへ、慧の放った大爆発はソアルの方へと向かう。凛と慧の技はソアルとヘンヌエの技と激突した。力が拮抗すると思われたが、凛と慧の大技はソアルとヘンヌエの技を打ち破った。ヘンヌエは大きな獅子に飲み込まれ、ソアルは大爆発に呑まれた。
へ「ぐわああああ!!!」
ソ「いやああああ!!!」
ヘンヌエとソアルは倒れた。
凛「はぁ…はぁ…はぁ…。」
慧も息が切れている。凛と慧は息が整ったところで武器をしまおうと凛は剣を鞘に、慧はガンホルダーに収めるときだった。ガラッと瓦礫の音がした。その方向に視線を向ける。凛と慧は違う方向を見た。ソアルもヘンヌエもどちらも立ち上がっていた。血は出ているがまだ動けそうだった。
ソ「痛い!痛い!痛いよ!こんなに血が出てる!」
ソアルは右手で血をぬぐい、手を握り絞める。
ヘ「本気で遊ばなきゃ!もう武器は置いておくよ。」
ソ&へ『魔解放』
ソアルとヘンヌエは武器を置いた。2人とも肥大化した手を握り絞める。魔力が手に集まっていくのが見える。やがて手の甲に目が出来た。集まった魔力が爆発する。凛と慧の視界が遮られる。視界が晴れるとソアルとヘンヌエは隣同士にいた。2人の容姿が変化していた。ソアルの左額に角が、ヘンヌエには右額に角が生えている。手足は更にごつくなっていた。
凛と慧は再び武器を構えた。
凛「なんて頑丈さなの?」
慧「ほんとにね…。」
ソアルとヘンヌエは大きな手を地面に着いた。同時に砂埃と床に亀裂を残して視界から消えた。2人は目にもとまらぬ速さで床と壁と天井を移動している。
凛「まだ動ける?」
慧「なんとか…。2人の速さについていけてない。」
凛「私も…。」
ソ&へ『双極破鬼』
凛と慧の死角からソアルとヘンヌエが肥大化した方の手で凛と慧を攻撃した。思いっきり吹き飛び壁に激突した。凛と慧は立ち上がったが、立ち上がることで精いっぱいだった。ソアルとヘンヌエはまた跳びまわっている。
慧(意識が朦朧とする…あの2人がゆっくり近づいてるのが分かる。あー。この世界に来なかったら今頃何してるんだろう?いつもと変わらない一日を過ごしてるんだろうな。朝起きて学校に行っての繰り返し。でも、いろんなことがあったな。前の世界でも、この世界でも。)
エ「おい!起きたか!?」
慧「え?エンさん?」
リ「心配しましたよ。」
慧「リナさんも…ここは森?」
リ「ここはスミの村の森です!あ!まさか記憶を失ってしまったんじゃ!?」
慧「いや!大丈夫です!」
エ「ハッハッハ!綺麗にリナの攻撃が入ったな!慧いいか?気合いと根性だ!何事にも全力で取り組め!」
慧「はい!ありがとうございます!」
リ「最後は絶対に諦めない意志が勝敗を分けます!ただ、自分よりも強い相手にはそれだけじゃ絶対に勝てません。」
凛(私は考えが甘かった。異世界に行って魔法とか非現実な事を楽しめる。勇者だから最後はどうにかなるって思ってた。私は楽観的な事しか考えれていなかった。この世界では命の奪い合いが普通なんだ。前の世界、日本だったらこんな事経験する事なんてまずなかった。父親の道場を継いで、誰かを好きになって結婚して、幸せな家庭を築いて年を取って生涯を終える。そんな人生を送っていたんだろうな。懐かしいよ。厳しい家庭だったけど楽しい思い出をありがとう。)
フ「凛。強くなったね。剣の腕が前よりも研ぎ澄まされてきてる。」
凛「フレネさんありがとうございます!」
フ「ただ、剣が正直すぎる。簡単に動きが予測できる。もう一度!」
凛「はい!」
フレーネに凛は負けた。
凛「もう一度お願いします!」
フ「気合は十分みたいですね。その意気です!いいですか?格上相手には…」
凛「慧…私思い出したことがある。」
慧「僕も…なんか不思議な感覚。きっと同じ事考えてるんでしょ?」
凛「うん。慧の考えてることが分かる気がする。」
凛と慧は背中合わせになった。慧は立っているのがやっとなのか銃を床に落とした。
その瞬間ソアルとヘンヌエは凛と慧に襲い掛かる。
ソ&へ『双極破鬼』
肥大化した手が凛と慧の正面から近づいてくる。その瞬間凛と慧が動き出して手を躱し懐に潜り込んだ。
エ&リ&フ「相手が油断して隙を見せた瞬間に今できる全力を相手にくらわす!」
凛&慧「『反撃ノ一撃』振り絞れ!今できる全力おおおおおお!!!!!」
凛は光を纏った剣をソアルに、慧は爆発を纏った拳をヘンヌエに全力をぶつける。凛と慧の体が悲鳴をあげ、骨がきしむ音がする。それでもソアルとヘンヌエは凛と慧に攻撃を仕掛けようとしてくる。
リ&フ「それでも勝てないかもしれません。」
エ「だが逆境の時にこそ人は大きく成長する!」
フ「ですが、逆境に立ちそれを超えた時。人は成長できる。」
エ&リ&フ「限界を超えろ!」
凛&慧『想力天換』
2人の力がさらに増す。
凛&慧「うおおおおお!!!」
凛の光の剣がソアルの首にめり込んでいく。慧の拳もヘンヌエの顔面にめり込み大爆発を起こす。そして、ソアルとヘンヌエを吹き飛ばした。
ソ&へ「うわああああ!」
ソアルとヘンヌエは壁に激突し、がれきの下敷きになった。凛と慧はその場で膝をついた。凛は両腕が上がらなくなるほど疲弊した。慧の右手が殴ったせいで骨が砕け完全に使い物にならなくなっている。2人は瓦礫の方に視線を向ける。これで終わってくれと願った。だがその願いむなしく瓦礫をどけてソアルとヘンヌエが出てきた。大きなダメージを食らってはいたが普通に動いている。
ソ「こんなに傷を負ったのはあの人以来だね!」
ヘ「そうだねぇ。でももう動けないみたいだよ?」
ソ「そうみたいだね。たくさん遊べてよかったね!」
ヘ「うんうん!だから今は殺さないであげる!」
ソ「とりあえず縛っておこうか!」
ソアルとヘンヌエは武器を拾い、凛と慧に近づいてくる。
その時勢い良く獣が入ってきた。
ソ「あれあれ?ここに呼んだ覚えはないよ?あー。野良の魔物か。『炎刻鞭』」
炎を纏った鞭を入ってきた魔物に振り下ろす。
魔『変形』
魔物は人型に姿を変えた。
凛「あ、あなたは…。」
そこには第7騎士団団長マディエスト・ペテンが立っていた。
マ「勇者様方。ここは私に任せてくれないかね?」
慧「すみません…よろしくお願いします。」
マディエストは試験管を凛たちに渡した。
凛「これは?」
マ「まあ試飲して見たまえ。」
2人は試験管の液を飲んだ。瞬時に死んだ様に眠った。
マ「動くと危険だからねぇ。それで…」
時は遡る
レイは残りの魔物と戦っていた。氷の剣も小さくなり、ナイフぐらいの大きさになっていた。
レ「そろそろ限界っスかね…魔法が使えれば。ん?」
砂煙が遠くに見える。また魔物が向かってきていた。
レ「今の魔物だけでも手一杯なんスけど…やれやれ。やっと重い腰を上げてきたっスか。」
魔物の群れから一匹だけ猛スピードで群を抜いてきた魔物がいた。その魔物は獣の姿に変身したマディエストだった。マディエストはレイの周りにいた魔物を倒してレイに何かを投げた。
レ「持ってきてくれたんスか?助かるっス!ここから反撃っスよ!」
轟音と共に砂煙が上がり、その中からぼろぼろになったセラフィが飛び出てきた。
セ「く…」
セラフィはレキンと戦っていた。シュームは既に核を壊され土に返っていた。レキンはセラフィと対照的に傷1つ負ってすらいなかった。
セ(魔力も技術も相手の方が上…。防御に徹するので精一杯。でもそれでいい。少しでも時間を稼いで、凛と慧の所に行かないようにしなきゃ。)
レ「時間稼ぎをしているつもりか?『赤閃』」
赤い光がレキンの手から放たれる。光は一直線にセラフィに向かって行く。
セ『地操多壁』
幾つもの壁を創り上げた。レキンの攻撃が壁にぶち当たる。一瞬で全ての壁を貫きセラフィの腹部へと直撃した。赤い光はセラフィの腹部を貫通した。腹部から血が溢れ出てくる。
セ『癒陣』
自分の腹部に魔力を集中して傷の回復を図る。
レ「諦めが悪いな。せめて一思いに『赤…』」
レキンの手が赤く光る。少し間が空く。
マ『怪雷爪』
レキンに獣状態のマディエストが雷を爪に纏い攻撃した。レキンは反射的に左腕で防いだ。左腕から血がにじみ出る。
レ「まさかこんなにも早く騎士団長が来るとは思ってもみなかったよ。油断してた。」
マ「今の攻撃で倒れないとはね。この塔の主か?」
レ「いや。俺じゃない。」
マ「そうかね。だがさっきの魔力話に聞く男だろう。実に興味深いのだよ。私の被検体になってくれたまえ!」
レ「ふ。あんたと戦ってただでは済まなそうだ。まだその時ではないから遠慮させてもらおう。『赤閃』」
赤い光がマディエストに放たれる。マディエストはひらりと攻撃を躱した。レキンは巨大な口の魔物の所へ行き、赤い線を縦に引いた。目の前に穴が空く。レキンはその穴に魔物を放り込み、自分もその中に入った。右手でその穴をふさごうとした。
マ『怪風雷爪』
レキンの首目掛けて雷と風を纏った爪で攻撃を仕掛ける。両腕でその攻撃を防ぐ。両腕に傷を負いながら縦に赤い光を振り下ろす。穴が瞬く間に消えた。
マ「逃げたか。まあいい。」
マディエストは上へと駆け上がる。その途中にイクマが相手していた敵が待っていた。そこにイクマの姿はなかった。マディエストは軽くその敵たちを倒し凛たちの所に合流した。
時間は戻る
マ「どこにいるのかね?この塔の持ち主は。」
ヘ「僕たちだけど、誰おじさん?」
マ「ほう。この鞭に打たれた魔物はしもべになるという事か。興味深い。教えてくれたまえ!どうやっているのかを!どういう原理で発動しているのかを!」
ソアルの方へずかずかと歩み寄っていく。
ソ「う!鞭が戻せない!」
鞭をマディエストの手から離そうとするが離せない。
へ『毒牙槍』
マディエストのほほをかすめる。
マ「ほう。味わったことのない毒だ。ん?」
マディエストの左腕がボコボコと動き巨大化した。
マ「私の意志とは関係なくDNAが変化した。すばらすぃいいい!貴様が変異種を創り出していたというのか!是非とも私の所に来てくれたまえ!」
ヘ「何このおじさん?変異させる毒なんてほとんど込めてなかったのに…人間じゃないの?」
マ「そんなことは小さな問題なのだよ!捕獲に移る!『変形』」
肥大化した腕が元に戻った。
ソ「この人きらーい!やっつけちゃおう!」
ヘ「さんせー!」
ソ&へ『双極ー戒ー』
ソアルとヘンヌエは大きな手を渾身の力でマディエストに叩き込んだ。吹っ飛ぶマディエスト。風を使い軽く受け身を取った。マディエストは腹部から血がにじんでいる。その頃にはソアルとヘンヌエは凛たちの時のように跳びまわり始めていた。
マ「ほう。それに何の意味があるのかね?『変形』『身体強化』」
獣状態になりマディエストも跳ぶ。
ソ「どこ行った?」
マ「こっちだよ。『怪雷爪』」
マディエストはソアルの背後をとっていた。雷を纏った爪でソアルに攻撃をした。ソアルは地面に叩きつけられる。
ヘ「ソアル!」
ソアルがやられたことに動揺した。目の前にマディエストが現れる。
マ『怪雷爪』
ヘンヌエもマディエストによって叩き落とされた。マディエストも人型に戻りながら地面に降りた。
マ「無駄な抵抗はやめて捕まってくれたまえ。時間の無駄だという事が分からないのかね?」
ソアルとヘンヌエは立ち上がった。
ソ「嫌だね!この技で倒しちゃうもんね!」
ヘ「あれ使っちゃう?」
2人は笑い始めた。
マ「ならこうしよう!その技と私の技と競うんだ。負けたら付いて来てもらう。」
ソ&へ「そんなの知らないよーだ!」
ソアルとヘンヌエは巨大化した手を握り絞めた。手の甲にある巨大な目がぎょろぎょろと動く。目の前に魔法陣が現れ、光を放つ。光が少しづつ輝きを増していく。やがてその光は直視できないほどの輝きを放った。目が再び動く。すると目の前の光と魔法陣が目に吸収された。今度は握り絞めた手から光が漏れ始めた。その光は巨大化した手全体を纏った。その手をマディエストの方に向け手を開く。
ソ&へ『双極鬼轟』
手から魔力の光が一気に解き放たれる。その衝撃でソアルとヘンヌエは後方に押し出される。2つの光は合体してより大きくなり、マディエストに向かって行く。
マ「想像以上だ!すばらすぃいいい!『変形』」
両腕が筒のようになり、腰辺りから蜘蛛様な足が何本も生え、地面に突き立てた。
マ『怪炎雷・灼熱稲妻砲』
両腕からそれぞれ凝縮された熱と雷の魔力が解き放たれる。それらは混ざり合い炎と雷が混ざった光となった。ソアルとヘンヌエの技とマディエストの技がぶつかる。マディエストの技の方が強く、ソアルとヘンヌエの技が押し返されていく。ソアルとヘンヌエの目の前まで押し返された時だった。
レキン『赤閃壁』
ソアルとヘンヌエの前に巨大な赤い壁が現れる。
ソ&へ「お兄ちゃん!」
レ「遅くなって済まない。治療に時間がかかった。この魔法も長くは持たない!早く行け!」
ソ&へ「分かった!凛!慧!また遊んでね!おじさんはもう嫌!」
そう言うとレキンが現れた穴に消えていった。赤い壁にひびが入っていく。
レ「次はこうはいかない。」
レキンも消えていった。赤い壁が壊れて、マディエストの技は壁に当たり外まで貫いた。
マ「逃がしたか。ここまで来たというのに…まあいい。勇者一行を救えたのだからね。いずれはあの双子を我が物に。」
マディエストは凛たちの所に行って応急処置を施した。その後また試験管を取り出して、液を飲ませた。
凛「ゴホッゴホッ!」
慧「まず!」
2人は目を覚ました。
凛「戦いはどうなったんですか?」
マ「逃げられてしまったよ。移動系の魔法は厄介だねぇ。さあ。これでとりあえずは解決だろう。王都へ報告しに戻るぞ。」
慧「分かりました。あの。また危ない所を救って頂きありがとうございました!」
凛と慧はお礼を述べた。そこにセラフィが杖を突きながらやって来た。
セ「お、終わったみたいですね。先ほどはあの、ありがとうございました。」
セラフィもマディエストにお礼を述べた。
セ「あれ?い、イクマは?」
凛「え?下にいなかったの?」
セ「ど、どこにもいませんでしたよ?」
慧「ま、まさか!」
一同はイクマのいた階へと向かった。2体の巨大な敵が横たわっている。
凛「倒されてる。なら!」
マ「ああ。この2体は私が倒したよ。」
慧「その時イクマはいませんでしたか!?」
マ「人影なんてなかったね。」
凛「探そう!どこかに隠れているのかも!」
探し回ったがどこにもいなかった。
凛「そんな…。」
拳に力が入る。
慧「凛…これ。」
布切れを凛に見せる。
凛「これって…イクマの?」
セ「ま、間違い…ないです。」
凛「イクマ…早く戻るって約束したのに…私が。」
慧「いや僕も!」
セ「わ、私も!」
マ「君たち。この世界は犠牲がつきものだよ。」
凛「必要な犠牲って事ですか?大切な仲間なんです!犠牲になんかしたくなかった!犠牲になって欲しくなかった!でも…救えなかった。」
凛、慧、セラフィは泣いている。
マ「彼が危険を承知でやったのだろう?残念だがフィクションの様に上手くいかない事ばかりなのだよ。これが現実なのだ。戦いをしていればいつか犠牲は出る。その犠牲を無駄にしないようにするのが残った私達に出来る事なのだ。私達は古くから犠牲の上に立っているのだからね。私は先に降りているよ。」
そう言い残し、塔を降りて行った。凛たちはその場に座り込み泣いていた。
レイ「いやー助かったっスよ!もっと早く来てくれてもよかったっスけどね。」
マ「私も忙しいのだよ。」
レ「凛たちは?」
マ「イクマという者が命を落としたそうだ。」
レ「そ、そんな!」
しばらくして凛たちが降りてきた。
レ「イクマの事は残念だった。最高の弔いを。」
塔を中心に巨大な魔法陣を描いた。魔法陣の周りに感覚を空けてたち、目を閉じる。
レ「我が同士、英雄達よ!せめてもの安らぎを!大きな光へと今返さん!フローリントラーグ!」
塔の上に巨大な魔法陣が現れる。その魔法陣から巨大な光が放たれた。塔を光が包み込み魔法陣の中の物すべてが消え去った。凛たちはイクマの布を埋めてお墓を作った。その後、凛たちはユーサカミへと戻った。
ユーサカミ
門番「あれはなんだ?デアスの方から馬車が大量に…まさか!」
デ「おーい!お前らやったんだな!?」
デオが壁の上から凛たちに手を振りながら訪ねてくる。
凛、慧、セラフィは立ち上がりそれぞれの武器を空高く突き上げた。ユーサカミから歓声が上がる。
レ「いつの時代も子供たちの成長は早いっスね。」そう言いながらニコッと笑う。
凛たちは歓迎ムードで街に招き入れられた。そこで再開を喜ぶ者、悲しむ者三者三様だった。
デ「話を聞かせてくれ!こっちだ!」
テントへと案内される。凛たちは事の顛末を話した。
デ「なるほどな。撃退したってわけだ。やるじゃねぇか!だが、移動系魔法を持っているやつがいるんだ。安心は出来ねぇな。またいつ現れるか。」
マ「ほう。第5騎士団にしては頭が働くじゃないか。だが、すぐに現れることはない。攻撃を与えた時に時間差毒を注入しておいた。1か月は魔力をあまり使えないだろう。」
デ「流石だな団長さん!」
マ「来るべき日の為に備えておくといい。おそらくは…いや。確定していない事を言うべきではないね。私は一足先に王都へと向かうとするよ。」
そう言い残して立ち去った。
デ「まあとにかく一段落だな。今日のところは宴だ!物資の調達も出来そうだしな!ところでイクマという少年は?」
凛「今回の戦いで、命を落としました。」
デ「そうか…残念だ。イクマや失った仲間達のためにも盛大に送り出してやらんとな!」
その日の夜街総出で宴が開かれた。心の底から楽しむという事は出来なかったが、凛達は宴の席を盛り上げたのだった。
逃げ出したソアル達
ソ&へ「お兄ちゃーーん!遊びに来てくれたの?」
レキン「たまたまだ。良かったよ。あと一歩遅れてたらどうなってたか。」
タミカ「あんた達無事でよかったよ。」
ルキト「全くだ!ほらこっちおいで!ケガ治したらおじさんたちと遊ぼう!」
ソ&へ「はーい!遊ぼ!遊ぼ!」
?「勇者、眷属、騎士団。邪魔な物ばかりだのう。目的は果たせたからいいだろう。ソアルとヘンヌエのおかげで副産物を得れたことだしな。」
レキンと話している男は部屋にある人間が入っている檻を見つめた。
レ「あのお方はどこに?」
?「ああ。あのお方は幹部会だ。出席者もほとんどいない…意味のない会。あのお方はそろそろだと。」
ガヴァロア「楽しくなりそうだな!俺達新世代幹部が日の目に出る時だ!」
?「ガヴァロア…勝手な行動はするなよ?烏合の衆とはいえ、仕えるお方は同じ。」
レ「俺はそうは思ってないよ。俺達は仲間だ。だから俺はみんなを助ける。」
ガ「ご勝手に…。」
場面は変わる
門番「魔王様!ラファー様がお見えになりました!」
ラファーは不敵な笑みを浮かべていた。
凛たちに戻る 次の朝
レイ「ふわぁ〜!よく寝たっス!」
レイは目を覚まし、外へと出た。そこでは凛たちが修行していた。
凛「おはようございますレイさん。」
慧&セ「おはようございます。」
レ「おはようっス。私の魔法で傷は治ったとはいえ無理しないで欲しいっス。大きなけがだった分、副作用で体に大きな負荷がかかってるっスからね。まあ…止はしないっスけど。」
慧「はい!無理のない範囲でやります!」
レ「頑張るっスよー。」
そんなこんなで数日が過ぎた。
冒険者「おーーい!勇者様方!至急王都ウィンルへ来てくれだそうだ!」
凛たちは荷物をまとめて王都へと向かうことになった。
デ「世話になったな!助けがいるときは言ってくれ!絶対に力になってやる!」
冒険者「俺達もだ!ありがとな!」
凛「その時はよろしくお願いします!」
デ「おう!」
冒険者「ありがとーー!大将も元気でなーー!」
凛たちは惜しまれつつも街を後にした。
王都へ着いた凛たちはお城へと案内される。
玉座の部屋へと案内される。扉が開かれるとそこにはルーア、マディエスト、黒い肌に赤い髪と瞳を持った種族の男女2人に見慣れない顔の人達が王の前に膝をついていた。
サルム王「勇者一行も着いたようだな。此度はウィンル国の危機を救ってくれて心の底から感謝いたす。」
深々と王と女王は頭を下げた。
ユーノア女王「ここには貢献してくれた者達の代表を集めておる。此度の功績を讃え、そなたらに褒美を与える!望みの物を言うがよい!」
サ「先ずは一番早くこの件に貢献した第5騎士団!団長 血姫 ココナ・ガーム!副団長 戦闘狂 カイラン・エスパード!前へ!」
黒肌赤髪瞳の2人が王の前に行く。
サ「さあ。そなたらの願いを言うのだ。」
コ「では私から。バースト族の活躍を国中に広めてください。」
サ「そんな事でよいのか?」
コ「はい。我々種族がしいたげられないように。」
サ「分かった。約束しよう。」
コ「ありがとうございます。」
カ「今度は俺だな。この国で一番つえー奴と戦いたい。」
サ「一番強いとなると…戦士長カリバーンだが…。」
カリバーン「我々戦士団は騎士団に比べて劣る存在。カイラン様のご期待には沿えないかと。」
カ「分かってるって。言ってみただけだ。そうだなー。うーん。ま、金はあっても困らねぇか。金にしとくぜ。」
サ「分かった。後で用意させよう。後ろに下がるがよい。」
2人は後ろへと下がった。
サ「次は自ら指揮をとり、街の防衛を果たした高貴族ザレア家 革命嬢 ルーア・ザレア!前へ!」
ルーアが王の前に行く。
ル「お会いできて光栄です陛下。では、私の望みを述べさせていただきます。取引特別優先証をいただきたいと思います。」
ざわめく王の間。
サ「それでまた何かを起こす気か?まあ良い。そなたたちがいなければ大きな被害が出ていたのだ。許可しよう。下がるがよい。」
ル「恐悦至極に存じます。」
ルーアは後ろへ下がった。
サ「次はこの一件の原因究明、及びその排除を果たした第7騎士団!団長 人造怪人 マディエスト!副団長 科学魔法の申し子 レイ・ソリューア!そして、勇者 清水凛!その眷属 杉本慧!仲間のセラフィ・テコット!」
5人が前に出る。
マ「先ずは私から。土地が欲しいのです。誰にも見られない場所がね。危険な実験もするものでね。」
サ「そういうことなら用意しよう。また後日伝達致す。」
マ「分かりました。」
レ「次は私っスね。うーーーーーん。とは言ってもなーんにも思いつかないっスね。凛たちに託すっス!」
凛「え?あ…。」
凛と慧とセラフィは顔を見合わせた。そして、
凛「私達の願いはこの戦いで被害を受けた人や街のいち早い復興です!」
サ「それは初めからやるつもりでいるのだが…。」
慧「僕達がお願いするはずだったお金や物資を被害を受けた所に送って欲しんです。」
セ「一人でも多くの人が助かるように。」
サ「…分かった!そなたらの願い聞き届けた!では後ろに下がるがよい。」
凛たちは後ろへ下がった。
ユ「これにて終了とする!皆の者ご苦労であった!この後は祝いの席を設けておる!ぜひ参加してくれ!」
みんなは王の間を後にし、ホールへと移動させられた。テーブルがいくつも配置され、豪華な食事が並んでいる。召使が飲み物を渡して回る。そこに王と王女がやって来た。
サ「それでは皆の者!此度の戦の勝利を祝して乾杯!」
全員「乾杯!」
一斉に散らばり各々功労者たちと会話を始める。それは凛たちも例外ではなく、貴族たちに質問攻めにされていた。
コ「すまない。通してくれ。」
そう言いながら貴族たちをどけて凛たちの所へココナとカイランがやって来た。2人とも凛たちを睨めつけるように眺める。圧倒的強者の覇気に貴族たちは離れていく。凛たちはそれに動じない。
凛「初めまして!私が勇者の清水凛です!」
慧「僕はその眷属の杉本慧です!」
セ「セラフィ・テコットで…す。」
カイランが両手を伸ばし凛と慧の頭を鷲掴みにした。そして、髪の毛をくしゃくしゃさせる。
カ「悪い!試させてもらった!勇者一行様がどれほどの器の持ち主なのかをな!」
ル「からかうのはやめなさい。カイラン。お久しぶりですねみなさん。イクマ様の事は残念です。」
ルーアとエスタリアもそこへやって来た。
コ「すまないな。だが、うん。いい目をしている。」
凛たちはあっけにとられている。
カ「お前ら俺と戦え…って言いたいところだがよ。今回はそれが本題じゃねぇ。」
ココナとカイランが凛たちに頭を下げた。
カ「恩に着る!ルーア嬢と俺の妹を助けてくれてありがとな!」
コ「私も心から感謝している!ありがとう!」
凛「顔をあげて下さい!」
突然の出来事に驚く凛たち。
コ「ルーア嬢には返しきれないほどの恩がある。そのルーア嬢を救ってくれたんだ。頭を下げる程度は到底釣り合わない。そうだな。凛、慧、セラフィ。君たちに助けがいるときは呼んでくれ。必ず向かうと約束しよう。これは私と直に連絡が出来る魔道具だ。受け取ってくれ。」
凛は魔道具を受け取った。
カ「俺からもこれをやる。」
石を3人分渡した。
カ「一回きりだが俺の魔力を込めた石だ。これを使えば一時的に俺の魔力が使える。好きに使え。」
凛&慧&セ「ありがとうございます!」
レ「私にはないんっスか?」
カ「…あんたにはまた後日お礼するよ。」
レ「それは楽しみっスね!」
コ「私からもさせてもらうよ。」
カ「ったく困った妹だぜ。護衛もまともに出来ないなんてよ?」
エ「あ?ちょっと調子が悪かっただけだよ。それに私はあんたと違っておしとやかなのさ。」
カ「ハハハ!おしとやか?どの口が言ってんだ!?」
エ「やんのか?」
カ「上等だ!」
ル「はぁ。あなた達…」
マ「全くもう少し品格が持てないのかね?」
マディエストがやって来た。
カ「あ?充分持ってんだろ?」
マ「ふっ。面白い冗談を言えるではないか。」
カ「なんだと?やるか?」
マ「ああ。君たちの力にはとても興味があるからね。やろうじゃないか。」
カ「いいねぇ!人造怪人さんよぉ!」
レ「ちょっと待つっスよ!2人が本気でやり合ったら王都に甚大な被害が出るっス!少し落ち着くっスよ。」
一触即発のタイミングでレイが止めに入る。
コ「その通りだ。やるなら他でやってくれ。」
カ「わかったよ。だんちょ。この戦い預けとくぜ!誰もいない所で楽しもうぜ?」
マ「いいだろう。」
コ「レイ。お互い大変だな。周りが見えなくなるタイプと一緒なのは。」
レ「そうっスね。疲れるっスよ。」
マ「何を言っているんだ?足を引っ張ているのは君の方だろう?」
レ「何言ってるっスか!私は頼りになるお姉さんっスよ!」
マ「はぁ。」
慧「流れで来てしまったけど、被害を受けた人達がたくさんいる中でこうして豪華なパーティーをしている場合なのかな?」
エ「あー私も同感だ。ルーア嬢の護衛じゃなかったら来てないしな。」
セ「こ、誇示する為ですね。」
ル「その通りです。慧様のおっしゃりたいことは分かります。ですがこうして誇示することによって余裕があるんだという事を国民に知らしめているのです。表向きは…ですが。裏では貴族同士醜い争いをしていますよ。私はそれが嫌いです。だからいつの日かぶち壊します!」
凛「ぶち壊すって…あははは!ごめんなさい。馬鹿にしてるわけじゃなくて、面白い人だなって。」
慧「うんうん。いつもはお嬢様って感じなのに似合わない言葉が出てきたから。」
ル「ふふ。第5騎士団のせいかもしれませんね。でも私だって言葉悪くなることだってありますからね?」
セ「そちらの方がいいと思います。」
凛「そうだよね!気を使わないのが一番だよ。」
慧「親近感もてたね。」
ル「ほんとですか!」
エ「お!音楽か。」
どこからともなく音楽が流れてきた。貴族たちがそれに合わせて踊り出した。
凛「ねえ。みんな踊らない?私こういうの憧れてたんだ!」
満面の笑みを浮かべて手を差しみんなを誘った。慧がその手を取り、慧はセラフィの手を取った。セラフィはルーアの手を取り、ルーアはエスタリアの手を取った。音楽に合わせて楽しく踊った。そしてこのパーティは終わりを告げた。
次の日、みんなと別れを告げて第7騎士団と共にリフダム国へ凛たちは帰るのだった。第5騎士団は国の復興及び警備をする為に残った。
ルーア視点
エ「良かったのかい?想いを告げなくてさ。」
ル「な、なんお事と?ふー。あなたに気を使う必要はないわね。自分に噓つく必要もないし。ええ。私は慧様に恋しました。絶望的な危機に王子様に助けられたら惚れたってありきたりな話よ。私も一人の女性なの。悪い?」
エ「いいや。悪くない。むしろいい事だろ。ルーア嬢が誰かを好きになるなんてねぇ。天地がひっくり返ってもないかと思ってたよ。基本的にずっと顔が真顔だしな。」
ル「え?慧様の前では笑えていたのかしら?」
エ「恋だねぇ~。」
ル「エスタリア。あなたは好きな方はいないの?」
エ「えーっと…。」
凛視点
凛「今回も何とかなったね。大きな犠牲は出てしまったけど。」
慧「そうだね。イクマの分も生きて魔王を倒さなきゃ。」
凛「セラフィ。ありがとね。私達に付いて来てくれて。でも危険だって事は分かったと思う。だから付いてこなくても…」
セ「何を言ってるんですか?私達は仲間です。私はどこまでもついて行きますよ。」
凛「仲間…ごめん。これからもよろしくね!セラフィ!」
セ「こ、こちらこそよろしくお願いします!」
To be continued
おまけ
フェアリーリンクイメージです
もっといいキャラデザにしたい…




