何羽目だっけ?
いつの間にか一カ月!
セ「ん…眩しい。朝か。ふわぁぁぁ。」
朝日と共に目を覚まし起き上がった。体を伸ばす。そこでテント内に自分一人しかいない事に気づいた。
(あれ?みんなどこに行ったのかな?)
テントのその外に出た。太陽光が眩しい。
デ「よう!お目覚めか?いい朝だな!」
セ「お、おはようございます。あ、あの他の4、4人を知りませんか?」
デ「何だ?一緒じゃないのか。待ってろ。」
夜見張りをしていた団員を呼んできた。話によると夜に4人ともどこかに行ったらしい。
セ「ありがとうございます。」
デ「おう!気にすんな!」
セラフィは街中を探すことにした。
セ(きっと昨日話していた行方不明の件で原因を突き止めようとしたんだ。…私も起こしてくれればいいのに。)
そう思いながら街を捜索していると後ろから声を掛けられた。
イ「セラフィ!良かった。テントに戻ったらセラフィが出て行ったって聞いたから、セラフィまでいなくなったらどうしようかと思ったよ。」
セ「イ、イクマ。3人をさ、探してたんですね。」
イ「そうなんだよ!水が欲しくなって目が覚めたら3人がいなくてね。きっと凛たちの事だから行方不明の原因を探しに行ったんだろうなって。凛が1人で行こうとしたところに慧とレイさんが勝手について行ったんだろうけど。相談くらい欲しいよね。仲間なんだからさ。」
セ「そ、そうですね!見つけたらちょ、ちょっと怒らないとですね!」
イ「クスッ。」
イクマは少し笑った。
セ「何かおかしいこと言いました?」
イ「いや、ごめん。セラフィがそんなこと言うなんて思わなかったからさ。3人は説教だな。」
セ「早く3人を探しましょう。」
2人は街の捜索を再開した。どこに行っても3人は見つからない。諦めてテントの方に帰ろうとした時、冒険者に話しかけられた。
「あんたらセラフィとイクマだろ?昨日はありがとな。3人にも伝えておいてくれ。」
セ「は、はい。ありがとうございます。」
冒険者「ん?なんかあったのか?」
イ「それが3人が昨夜からいなくなってしまって。」
冒険者「あー。昨日酔っぱらってて定かじゃないが、あそこの路地裏に入って行ったな。」
セ「あそこ…に。情報ありがとうございます!」
お辞儀をした。
冒険者「気を付けてな!なんか困ったら教えてくれ。力になろう。」
2人は凛たちが入って行った路地裏へと向かった。特に何かあるわけではなかったが一か所大きな空き地があった。
セ「ここに何かあったんですかね?」
イ「確かに地面に痕跡があるね。」
セ『地操』
地面を掘り返してみたが何もなかった。
イ「ここにはいないみたいだね。」
セ「そうですね。でも、シューム!魔力を探して!」
シュームの核となる球体がフワフワと跡地に移動する。球体の色が白に変わった。
「これは…光属性。ここにいた可能性があります。」
イ「そんな事出来る様になっていたんだね。」
セ「は、はい。魔力の跡を辿っていきます。」
少しずつ移動していく。裏路地から出て街中へと入り、最後はデアス方向にある大きな門まで続いていた。
イ「外に出て行ったんだね…。」
セ「…。」
場面は変わる
凛(やっぱり外れない!)
枷を力で外そうとしていた。
「さあ次はお前だ!」
凛の隣の人が檻から出される。
「な!何をする気だ!嫌だ!嫌だ!」
「ハハハ!いい反応じゃねぇか!とにかく行くぞ!」
引きずられながらどこかへ連れ去られてしまった。
凛(一体何されるの?)
不安に思っていると今度は凛の元へとやって来た。しかし、その隣には慧がいた。
「付いて来い!」
檻から引きずり出され、立派な扉の前へと連れていかれた。
「連れてきましたぜ!」
ノックをしてそう言った。中から入れと声が聞こえた。扉を開け部屋の中に入る。凛と慧は跪かされた。目線の先には仮面の2人組が立っていた。
男?仮面「やあ!勇者とその眷属!」
女?仮面「ようこそ!これから何するか分かる?」
凛「あの時の!い、いえ。」
男?仮面「お話をしてみたくなったんだよ~。」
慧「話…とは?」
女?仮面「勇者と眷属ってどんな感じなのかなって。私は双子の姉ソアル・ターシャだよ!」
男?仮面「僕は双子の弟ヘンヌエ・ターシャ!よろしくね!」
2人は仮面を外した。まだ幼さが残る顔をしていた。
凛「私は勇者の清水凛です。」
慧「眷属の杉本慧です。」
ソ「凛と慧だね。2人はどこの出身なの?」
凛「出身というか違う世界から来ました。」
ヘ「そうだったね!今回は違う世界から来たって聞かされてたよ!大変だね。もうそれもここまでだから安心してね。」
凛「大変で」
ソ「そんな事はいいの!私達は物語を知りたいんだ~。」
ヘ「そうだね~。知らない物語ってワクワクするよね!君たちの世界の事教えてよ。」
凛「それなら他の人をここから解放してもらえませんか?」
ソ&へ「どうする~?うーん。それはダメだよねー!」
2人は顔を見合わせて答えた。
慧「話さなかったら?」
ソ「殺しはしないけど、腕一本もぎ取ろうかな。」
凛と慧は背筋がゾクッとした。無邪気に笑っているが、冗談を言っている感覚はなかった。子供が無邪気にありを踏み潰すように一点の曇りもなかった。2人はこの双子が本気でやるんだと悟った。
慧「凛、ここは言うことを聞こう。」
凛「そ、そうだね。」
2人は双子に元居た世界の事を話した。
ソ「すごーい!ワクワクするね!」
ヘ「だね!いろんな乗り物に、遊ぶ場所、きれいな景色、文化、誰もが繋がれるインターネット、他の世界で遊べるおもちゃ。夢が広がるね!」
ソ「一番はいろんな人種が仲良く出来てる所だよね!戦争もほとんどない!夢物語だよ!」
ソ&へ「僕達、私達が君たちの世界に生まれたらまた違ったのかな?」
双子は少し悲しそうな顔をした。
ソ「もういいよ行って!明日の夜に移送するから準備しといて!」
凛と慧は何かを言おうとしたがそれを遮るようにソアルは2人を連れて行くように指示した。
「おら!行くぞ!」
凛と慧は部屋から出された。部屋を出るとき双子は「ばいば~い!」と手を振っていた。
連れ出した男が2人に話しかける。
「いい事を教えてやろう。お前たちは全身の皮をはがされる。苦しんで死ぬことになるだろうな。ククク。笑いがこみあげてくる。お前たちのおかげで俺達は人間を滅ぼす事が出来そうだ。」
慧「今なんて?」
男は笑って何も答えなかった。そして、檻へと2人は戻された。
凛(嫌!嫌!嫌!全身の皮をはがされる!?そんなの絶対にいや!誰か!誰か!…深呼吸をしよう。少し落ち着いた。レイさんがいる。いざとなれば科学魔法を使える。だから助かるチャンスはある。
少しでも体力を回復しておこう。)
凛は動揺していたが落ち着きを取り戻し、死んだように眠った。
慧(惨い事を考える。ただ楽しむだけ?いや、トハマホの村でもビシエの村でもあった。つまりここからだったんだ。もし、檻から出れなかったら…怖い。そんなのって。いや、成功する事を考えるんだ!どう立ち回ったらいいかを!)
慧はこれからどうするかを考えながらいつの間にか眠った。
レ(2人共休んだみたいっスね。いつでも外せるっスけど、もう少しタイミングを見計らうとするっス。間に合うといいっスけど。)
時間は過ぎていった。凛も慧も起床した。さらに時間は過ぎ3人の元へそれぞれやって来た。
「時間だ!出ろ!」
レ(間に合わなかったっスか!?しょうがないっスね。今やるしか…)
「おい!大変だぞ!敵襲だ!」
扉を勢いよく開けて入ってきた。
「お前はそのままソアル様とヘンヌエ様に報告しろ!俺達はそいつらの対処にあたる!いざとなればこいつらを人質にしろ!どうやってこの場所が分かったのか知らんが、俺達を甘く見たことを後悔させてやる!」
体が裂け本性を表した。全員魔族だった。1人を残し、後の全員は外へと行ってしまった。ざわつく檻の中の人々。
魔「うるせぇ!今度喋りやがった奴はすぐに殺す!」
場は静まり返った。
レ「残念っスけどあんたにはやられないっスよ。」
ヒールで地面にかかと落としをすると、ヒールから小さな試験官が出た。それをたたき割る。
『科学魔法ー解鍵ー』
試験から出た魔法が瞬時に広範囲に広がった。カチャっと音がし、枷と檻のカギがみんな外れた。
魔「なんだと!?だがそれが何だというのだ!?お前たちに武器はない!檻から出た奴は殺す!お前だけはここで殺す!副団長レイ・ソリューア!」
手をレイの方に向ける。
レ「名前を憶えてくれてるんっスか?光栄っスね。」
魔「黙れ!くたばれ!」
手に魔力が集まっていく。その時金属同士が衝突する大きな音が響き渡った。魔族がそちらを見ると凛が目の前に迫っているのが見えた。
凛『風推脚』
風の推進力を使い素早く魔族へと近づいた。
『魔法剣』
魔力で剣を創り出した。
『光纏』『光一線』
光を纏った魔法の剣で魔族を斬った。
魔「アアアア!痛い、痛い!」
凛は魔族へと剣を向ける。周りから歓声が起こる。「おー!これで助かると。」
魔「た、頼む!殺さないでくれ!」
凛「そんな都合のいい話ってある?」
魔「俺には家族がいるんだ!子供もまだ小さくて…」
凛「ここにいる人達だって、もう殺されてしまった人もみんな家族がいる。あなた達はそれを無視してやったんでしょ!?」
魔「ああ。反省してるよ!頼む!あんた勇者だろ?人を正しく導く存在だろ?これが正しい事なのか?」
周りの声が期待の声から次第に「そいつを殺せ」という声で大合唱が起こる。
凛(これが正しい事?分からない。みんなはそれを望んでる。少なくともそれをされても仕方ない事をして来た。当然の報い。でも、本当にそれでいいの?話し合うことが出来るんじゃないの?あの双子のように。)
凛の持つ剣は次第に震え始めた。そして、一言「もうやらないと誓って。」
魔「え?あ、はい!誓います!だから命だけは!」
凛「分かった。私はあなたを信じる。行って!もう人間に関わらないで!」
魔「ありがとうございます!」
そう言って出口へと走る。凛は魔法剣を解除し魔族から視線を離した時だった。方向転換し、檻の中に入り、人質を捕ろうとした。手を掛けようとしたその時ボンっと音が響き、音と共に魔族の頭が吹き飛びその場に倒れた。音がした先には慧がいた。
凛「慧…ごめん。ありがとう。」
慧「信じようとする気持ちはわかるよ。でも、魔族は悪い奴しかいないのかもしれない。情けはかけないようにしよう。」
凛「う…うん。」
魔族がいなくなったため檻から捕まっていた人たちが出てきた。凛たちに群がってくる。感謝の言葉を述べていた。
レ「みなさん一回落ち着いて下さい。騒げば他の魔族が来る可能性があります。私達3人で外の様子を見てきます。みなさんはまだ捕まっているふりをしてください。安全が確保されたら戻ってきます。」
人々は頷き檻へと戻った。
凛「さあ。慎重に行きましょう。」
慧「うん。」
3人は魔族が出て行った扉を開ける。近くには誰もいない。しかし、外から音がする。近くの窓から外をのぞくと下の方で戦っているのが見えた。土煙で誰が来ているのかは分からなかった。
「多分誰かが戦ってるね。一体だれが?」
レ「それよりも挟撃するっスよ!仲間を少しでも多く助けるっス!人が足りなければ私達は終わりっス!」
凛&慧「はい!」
3人は階段を見つけて駆け下りていく。途中で建物から狙撃している魔族や襲ってきた魔族を倒した。そんな中魔族の武器を手に入れた。銃と槍。更に移動すると外への扉の前で多くの魔族がいた。
魔「貴様どうしてここに!?」
凛が魔族の前に1人佇んでいる。
魔「まあいい!不可抗力だ。ソアル様もヘンヌエ様も許して下さるだろう。」
ピカッと魔族の目の前が光る。
バ「ぶちかませ!」
慧『爆光混沌砲』
爆発と光が混ざり合い一直線に扉に向かって行く。扉に直撃し内側から壊れた。扉付近にいた魔族は吹き飛ばされて戦闘不能となった。外で戦っていた魔族は振り返る。
凛(槍を使うのはいつぶりだろう。そんなに経っていないはずなのに元の世界が懐かしく感じる。さあ。ここからは私の番だ。)
「いざ尋常に!『光纏』『光聖多線槍』」
槍に光を纏い、魔族に突進する。その道には一筋の光の道が出来る。魔族を槍で貫き、すぐに他の方向へと突撃する。いくつもの直線で出来た光の道が出来た。
魔「ちくしょう!どうやって!…どこにいやがる!」
セ『土石竜』
石や土が魔族を飲み込む。辺りは静かになった。
凛「セラフィ!来てくれたんだね!」
セラフィに抱き着いた。
セ「え?あ、あわわわ。」
戸惑いが隠せずにいた。
慧「助かったよ。僕達だけじゃ無理だった。ありがとう。」
イ「気にするなよ。仲間だろ?」
慧に肩組をして頭をわしゃわしゃした。辺りを見てみると、セラフィとイクマ、他にも十人くらいの冒険者と第5騎士団の人間がいた。
凛「セラフィ。イクマ。みなさん。本当にありがとうございます!助かりました。囚われている人たちがいます。今のうちに救出しましょう!」
イ「分かった。早くしないと応援が来てしまう。」
冒険者「大変だ!あっちを見てくれ!」
見張りをしていた冒険者が慌てた様子でやってきた。目線の先には大量の土煙が。
慧『猛禽眼』
遠くに大量の魔物がいた。その群れはこちらに向かってきている。
冒険者「あんなのどうしたら…。」
ポンっとレイがその冒険者の方を叩いた。
レ「ここは私に任せるっス!だてに副団長名乗ってないっスからね。それに残り少ない科学魔法は広範囲で強力なのばっかりっス。一緒に戦って巻き込まれても知らないっスよ。ここはお姉さんが適任っスから早く行ってきて!」
凛「お願いします。私達が戻ってくるまでやられたらダメですよ?」
レ「…待ってるっスよ。」
凛たちはレイを残し建物内へと再度入っていくのだった。
To be continued
おまけ
は、はじ、初めまして!セラフィ・テコットです…そ、その…よろしくお願いします!




