第一話
ついにやってしまいました、改訂版。
この忙しい時期に何やってんだお前と言われそうですが、我慢出来ませんでした。
つい最近、誤字脱字確認のために姫を半年ぶりほど最初から読み直そうとしたら、序盤の文章がまあ稚拙な事。
これはもう納得できんと最初から書きなおした訳ですよ、ええ。
そしたら、内容まで変わりました。
とりあえず改訂前のも残しておきます。
それから、何かご指摘がありましたらよろしくお願いします。
前の方がよかった、今の方がいい、などの意見もよろしくお願いします。
それによって改訂版を書き続けていくか考慮しますので。
……と言っても七十七話まで書き上げるには数ヶ月必要でしょうがね。
ふふふ……(遠い目
改訂版は物語の一区切りとして、秋と千歳の出会いまでのお話です。それから先は不定期更新です。あしからず。
それでは、最近夕食がコンビニ弁当ばっかりな弓槻でした。
とある高校の昼放課。そしてその学校の食堂。目の前には三人の美男子。そして僕の横には一人の美少女。
何が一体どうしたのか。……そんなの、僕が知りたいぐらいですよ。気が付いたらここにいて、衆人観衆の中で好物のオムライスを食べていたのだから。周りはひそひそうるさいし……。何だよ、僕が何をしたっていうんだ。凡人は食堂でオムライスを食べる事さえ許されないのか? なんとまあ悲しい世の中になったものだ。……卑屈になりすぎた。やめよう。これ以上は自分がむなしくなる。
とりあえず、この状況を何とかしなければ。のんきに昼食取ってる場合じゃないぞ。
「あの――」
「ぐああっ! イツ、てめぇっ! 俺の皿にピーマン乗せるなっ!」
「えー、別にいいじゃん。リュウは好き嫌いないんだし。俺ピーマンだけはどうしても無理なんだよねー」
「じゃあ何でピーマンの肉詰め定食なんてものを頼んだんだお前はっ!」
「ピーマンの中に入ってる肉が食べたくて」
「それじゃあ肉詰めの意味がねぇだろっ! お前のせいで俺の皿の半分が緑になったじゃねぇか! ああ、俺のから揚げがピーマンの下に埋もれて――」
目の前で繰り広げられる喧嘩に、開きかけた口を静かに閉じた。この空気の中で発言できるほどの度胸を僕は持ち合わせていない。うん、これは騒ぎが納まるまで沈黙あるのみだね。聞いている限りでは、喧嘩と言っても子供の言い争いみたいだけれど。
「お前ら、行儀が悪いだろう。もっと静かに食べれないのか」
ビシッ、と右手に持つ箸を突きつける美少女。鋭い眼光はいまだ争いを続ける二人に向けられ、凄まじい迫力を持っていた。――だがその頬には白いご飯粒が一粒ついていて、笑いを誘うとてもシュールな状態。はっきり言って台無しである。これはこれで可愛いけど。
「千歳も、人の事を箸で指すのは行儀悪いよ?」
「あ……そ、そうだな。環、すまない」
「いや、別にいいよ。俺は気にしてないし。――あ、それと、右の頬にご飯粒ついてる」
「な、何っ……? ん……と、取れたか?」
「うん、もう大丈夫」
初雪のような白さを持つ美少女の頬に、羞恥の赤みが帯びていく。無表情は変わらず――と思ったが、僅かばかりに眉がしかめられていて。
「……っ」
僕の視線に気付いたのか、美少女はハッとして顔を俯かせた。長い前髪に、目元は完全に隠れてしまう。ただ、艶を持った黒髪から見える真っ赤に染まった耳が彼女の今の感情を表していた。
そんな表情も出来るんだなぁ……とぼんやり思いながら、僕は過去の記憶を引っ張り出す。
恐らくは、ここにいる原因なのであろう出来事を。