第26話
少し長めです。
宿に戻った私はすぐさま自分達の部屋のベットにメアをねかせる。急いで戻ってきた所為だけど元々疲れていた体が更に疲れてしまった。
「大丈夫?ゴメンね気が付かなくて」
「まったく。大げさだなぁ少し寝れば良くなるのに……」
メアは明るくしているがやはりとても疲れているのだろう。声に元気が無かった。
(どうしよう。多分魔力の使い過ぎだからメアの言うとおり少し寝れば収まると思うけど、心配なものは心配だよ)
「そんな事よりもお姉ちゃんは下でご飯食べてきてよ。私の事はいいから別に病気でもないんだよ?」
「メアはいらないの?」
するとメアは少し苦笑いを浮かべた。
「病気でもないって言ったけど食欲は無いんだ。凄く変な感じ、心の中は全然元気なのに体が思うように動かないなんて」
「ん〜・・・分かった。じゃあご飯食べてくるから少しだけ待っててね?一応飲み物だけはメアの分も貰っておくから」
私はメアが取り敢えずは大丈夫だと判断して。それならさっさとご飯を食べに行くことにした。
正直なことを言うともうお腹がペコペコで私もそれ程力を出せないからご飯を食べたかったのだが、それを言うとメアがなんか言いそうだったので我慢してたのだ。
私が1階に降りるとフューアさんが椅子に座って何かを飲んでいた。
目があった。すると手でチョイチョイと呼んでくるので、私はフューアさんが座っている席に向かう
「どうかしたんですか?もう街を出たのかと思ってましたよ」
「いやいや、いくら商人でもずっと行商してる訳では無いよ。」
「そうなんですか?」
「うん。特に私みたいな個人や少数でやっている所は特にね。個人で品物を揃え続けるのは流石に限界があるし、情報収集も大事になってくるからね」
(確かに。街を出入りしている商人が朝も夕方も結構居るから街にはそんなに居ないと思ってた)
「じゃあ少しの間ここに居るんですか?」
「そうだねぇ〜3日間位かな?朝と昼は色々と仕入れをするから居ないけど午後からは正直暇だね」
そう言いながら頭の中で計算をしているのか指が何かを数えているかのように動いている。
「ん、そういえばさっき慌てて宿に戻って来たってリネア姉さんが言ってたけど・・・何かあった?」
「何かあったというか、もう終わったことで疲れてると言いますか。……その」
私は今日あった事とメアが今魔力の使い過ぎで疲れていることをフューアさんに、掻い摘んで話た。
「なる程ね。ホーンガルが森の奥から出てきた…か、まあ珍しいことだけと魔獣だって生き物だし一匹くらい森の浅いところに出てきても全然不思議じゃないわ。」
でも、とフューアさんは付け足して私の目を覗き込むかのように話してくる。
「エリカちゃんがホーンガルを倒したことの方が信じられないけどね。今朝の魔装のことと言いエリカちゃんって何者なの?」
少しトーンの低い声で質問してくる。商人としてやっている時の感じなのだろうか?もしこんな人だらけの世界なら絶対に私は商人なんて出来ない。
「正直なことを言えば何も分かりません。起きたら記憶がなく。自分自身の名前すら忘れているうえに、どこかも分からないんですよ。メアが居なければ私は街につけずにのたれ死んでたかもしれません……」
後から思えば。誰かに自分の事を聞いてほしかったのだろう。私はフューアさんに自分が記憶をなくしてからの事を話していた。
「そう。悪かったわね。嫌な話をさせるような感じになってしまったわ」
「いえ、私も少し今の現状がわかった気がします。それに結局私がメアと一緒に居たいのに変わりはありませんから」
そう言ったらフューアさんは少し笑っていた。
「ふふっ。エリカちゃんは頑張り過ぎて体を壊しそうだよ」
「そ、そうですか?」
「そうだよ。だってエリカちゃんもメアちゃんも未成年なんだからさ、私とかの大人に頼ってもいいのに……」
「で、でも迷惑をかけるのは嫌です」
そこで、はぁ。と短いため息をつくフューアさん。きっと私があまり頼りたくない雰囲気を出しているからだろう。その顔にはほんの少しだけ呆れの表情があった。
「確かに助けてくれる人に、多少なりとも迷惑が掛かるかもしれないけど。でもね、それで子供が大人を頼るのが駄目な理由にはならないわよ」
「そうですね。・・・分かりましたもう少し周りの人を頼ってみようと思います」
私がそう言って満足したのか、少し微笑みながらコップに残っていた物を一気に飲み干し。そのまま部屋に戻っていった。
フューアさんが去っていった途端空腹感がまた出てきて、まだ何も食べていない事を思い出す。
「取り敢えず串焼きでも頼もうかな。今はガッツリ食べたい気分だし」
「なる程じゃあ串焼きを一本でいいかしらそれとも二本?」
「うわっ!……リネアさん。いつの間に」
いきなり声が聞こえてビックリしてしまった。だけどいつ近づいて来たのだろう?疲れているのもあるとは思うけどまったく分かんなかった。
(もしかしてリネアさんって意外とすごい人なのかな?いや、それよりもーー)
「り、リネアさん聞いてました?」
「そうねぇ。聞いてたわよ。まあでも私から言えることとしては私も多少は力になれるかも?という事だけよ」
やっぱり何か意味ありげな発言をした気がしたけれど、私は空腹で倒れそうなのでそのまま串焼きと飲み物を頼んで机に突っ伏した。
(はぁ。……………………今のうちにステータスの確認でもしておこうかな)
名前 エリカ レベル10
年齢 14歳
職業 魔法剣士
体力280/280
魔力105/105
攻撃∶35(+20)
守備∶20
速度∶40
知力∶24
器用∶25
武器スキル
【近接戦闘術】
魔術スキル
【聖魔法】 【土魔法】
スキル
【毒耐性中】 【投擲】 【観察】
【鑑定】
エクストラ
【世界図鑑】 【生命維持】 【魔力操作】
ERROR
『刹那』 【Error】
「なる程、武器スキルが統合されたのかしら?それに土魔法が使えるようになったみたいね。実際少し魔力の質が変わったような気がするし」
そして私は謎で分からなかったところに増えていたスキルに目を止める。
刹那。このスキルが聞こえた瞬間森の中全ての音が消えた————いや、置き去りにしたと言うべきかそんなふうに感じた。しかしそれ以上の事は分からなかった。そもそも私が気付いたときにはもう戦闘が終わっていた。
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【刹那】
これを得た者は神にも劣らない速さを一時的に得ることができるだろう。しかし一度強大な力に支配されてしまえば、神によってその力は剥奪され、残った残滓がその身を崩壊へと誘うだろう。
現在ステータス不足の為再使用まで時間が掛ります。
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(うーん?つまりは速くなるとゆう事だよね?それに、今は使うことが出来ないと。いつ使えるようになるかも不明となると・・・)
明日は買い物するからまた図書館によってこのスキルについて知ろうかと思ったが。朝にはギルドマスターがいると思うのでギルドマスターに聞くことにした。
◇
「ごちそうさまでした」
私はそう言って串焼きを食べ終わると、水だけ貰って部屋に戻った。
階段を登り、右に曲がって、3番目そこが私達の部屋その扉を開けると——————メアがいなかった。
なんてことがある訳がなく、ちゃんとメアはベットで寝ていた。
「ただいま」
「お帰り。ご飯食べてきたの?」
「うん。メアも水を貰ってきたから飲んでね。水分不足になっちゃうし」
私はメアに少し大きめのコップに入った水を手渡して、その場で座り込む。
「ありがとう……お姉ちゃんも今日は疲れたよね」
「そりゃあね。確かに最後は呆気なかったという感じは否めないけど。魔装をできる限りやってたからね。精神力が削られるし、心臓に悪いよ」
それからいくつか今日の反省的な事をして、明日の予定の確認をする。
「お姉ちゃん明日はどこ行くの?」
「明日は朝またギルドに行ってギルドマスターのリーンさんと話をして。その後は魔法付与がされた服を買いに行こう!」
「何それ?」
「えっーと、前にリーリエさんに聞いたんだけど。魔法付与がされた服は、簡単に言うと強化された服なんだって。そこらへんの革鎧よりも耐久度や硬さがあって、動きやすいから結構人気らしいよ?」
「へぇ〜そんな良いものがあるんだね」
「うん。但し値段は高いらしいけど、幸いにもお金はあるしね、装備を整えるのは良い事だし早めにやっておこうと思ってね」
その意見にメアも賛成なのだろう首を立てに振っていた。
「そうと決まれば明日も早いしね。すぐ寝ようか」
「うん」
部屋の明かりを消し二人でベットに横並びで寝て、毛布をかぶる。
「じゃあおやすみ」
「おやすみなさ〜い」




