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最強過ぎる少年X  作者: 泉 直人
6/12

こんちにわ


「水族館に来たよ!」


「子供料金800円でーす」


カウンターの若い女性は答えた。少年は目をキラキラさせてジュラルミンケースをテーブルに叩きつけた。


「オリンピック1000円メダルでいいですか?」


「え…えっと…ぼく?普通のお金…ある?」


「1000円メダルじゃダメ?」


「そ、そうねぇ。」


少年は「あ、そうなの?」と言わんばかりの表情で財布の中から諭吉を一枚取り出した。


「はーい。お釣りの9200円ねー。」


少年は手渡しされた英世四人と一葉一人と200円を財布のなかに入れ、それをまたパンツの中に入れた。

すぐに少年は水族館の中へ入っていった。


「ペンギンショーに行くよ!」


パタパタと歩く少年。催したのか曲がってトイレへ走って行った。それを一人の男性が見ていた。


「あれっ…あの子は…お電車の時の…」


「こんちにわ」


「うぉおお!」


すぐ後ろに少年がいたのだ。先程トイレへ行ったはずだが…


「おじさんもペンギン?」


「…は?」


「おじさんもペンギン?」


「ペンギン見に来たって事…かな?うん。そうだけど?」


「じゃあ行こ!どうせ独身で一人で遊びに来てんでしょ!さっぶいね!」


「それは君も同じじゃないか!」


思わずブーメランを見てしまった。少年の腕の力は相変わらず強く振りほどけない以前にここで振りほどけば周りになんと思われるか。


「ペンギンショー開催でーす!」


「ほ、ほら、ぼく、ペンギンがたくさんいるよ!」


しかし少年はペンギンの方を向いていなかった。

少年の視線を辿って見てみるとそこには少年と変わらないくらいの背の高さで服を着たペンギンが隣に座っており、私は驚きを隠せない。というか言葉がでない。誰だよこいつ。顔もなんかリアルで人間の顔に嘴つけたみたいになってるし。


「おじさん!ペンギンだね!」


「えっ…あっ…あぁ…そうだね…」


まるで孫と祖父のようだ。その瞬間。


「私はクリスタルキングだ。」


ー!!ペンギンが喋ったんですけど!!ー


「えっ?あ?は?は?は?え?」


私はこれは現実なのかどうかを疑ってしまう。こいつマジで誰だ。

少年と私との住む世界が違いすぎる。


「私はクリスタルキングだ。」


「うんさっき聞いたって。」


同じ事を言うペンギンにもう呆れてしまう。


「おじさんペンギン好き?」


少年がこの状況が当たり前かのように聞いてきてうんざりしてしまう。


「うーんまぁうん。好きかなうん。」


「私はクリスタルキングだ。」


「うんだから聞こえてるって。」


こいつこれしか言えねえのかよ。どっから来てどうやって過ごしてるんだよ。


「おじさん!ペンギンって臭いね!」


「そ、そうだな…(そういえばペンギンって案外臭いのな…)」


「私はクリスタルキングだ。」


「うん分かったって。」


こいつ本当にぶん殴ろうかな。


「ぼく?クリスタルキングはもう元の所へ帰してあげた方がいいんじゃない?」


優しく諭す。


「ねえもう帰るってよー。」


「私はクリスタルキングだ。」


「(俺はもう何も言わん。)」


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