この世界について
ここを一言で表すとするのなら
暖かい
だろう
再び少年が目覚めた場所は
パチパチと音をたて周りをほのかに照らす暖炉
少し大きめな丸テーブル
台所
玄関ともう一つの扉(奥には、トイレとか風呂があるのだろう)
そして少年が今寝ているベット
などがある小さな部屋だった
「ここは、どこだ?………ッ…足痛い」
少年は毛布をどけて起き上がり
足の裏を確認する
「包帯が巻かれてる……」
そのとき、玄関の扉が開かれ
毛皮の服を纏った少女が現れる
「あ!起きたんだね、よかった大丈夫?」
きれいな人だなと思った
薄い茶色のショートボブ
ぱっちりとした青い目
身長は156センチくらいだろうか
「痛いところはない?まさかこんなところに人がいるなんて思わなかったから君を見つけたときは、びっくりしたよ」
少年に近寄りながら言う
「でも、嬉しいな……私、人に会うの初めてだから」
はにかみながら、本当に嬉しそうに
少年が座っている隣に腰を下ろす
「あ、足の裏痛くない?」
「あ…、えっと大丈夫です…そのありがとうございます」
少女は微笑みながら言う
「そっか、よかったあの熊 クローベア て言うんだけどね…レベル80くらいの危険なモンスターなんだよ」
(……………ん? レベル80、モンスター?)
少年はゲームしたことがないから思った疑問とかではない
レベルとかモンスターとかは知ってる
ただしそれはゲームの話だ
現実にそんなのがいるのか?
少年は疑問に思い少女に質問する
「あの…レベル80とかモンスターってなんですか?」
「えっ!」
少女はとても驚いた顔をしている
「モンスター知らないの?」
そんな常識でしょ…みたいな顔されても…
「いや、そのなんていうか」
なんて言えばいいんだろう
少年は悩む
悩んだ末に今までのことを話すことにした
あまり人に話すようなことではないが
「あの、少し僕の話を聞いてもらえませんか?」
話した
死んだこと
記憶がなくなっていること
雪の中一人軽装(死んだときの格好)でいたこと
クローベアに襲われたこと
「えっ、死んだって大丈夫?」
……話が脱線した
「あの…いや、そのえっと…」
自殺したのではなくここでは死んだとだけ伝えた
人に言うような話ではないし、そもそも何故自殺したのかすら分からないのだ
だから
「いやいや、大丈夫、大丈夫ですよ…それよりモンスターとかレベルとかの話を聞かせてもらえませんか」
はぐらかした
「そっか…」
気まずい
気を取り直して
この世界の仕組みについて教えてもらった
この世界 ラースには
レベルという概念やモンスターという恐ろしい生物がいる
モンスターっていうのは、僕がこの世界ではじめに会ったクローベアとかいうやつで
モンスターは、マナという魔力の一種をもとに生まれる
(マナは、酸素や二酸化炭素などと同じでどこにでも流れている)
レベルはこの世界に生きているものなら誰にでもあるらしい
レベルは上がるごとに身体能力が上がったり
たまに、スキルを覚えることができる
なんとなくこの世界について理解することができた
他にもいろいろあるらしいがそれはあとから覚えていけばいいだろう
「いろいろと教えていただきありがとうございます
少女は照れくさそうに
「いいよいいよ、それより、その…」
なんて言えばいいのか分からないのか困ったように
「私と話すときは、難しい言葉を使わなくていいよ」
……難しい言葉?あれ?なんか変なこと言ったっけ
「えーーと、です とか ます とか使わなくていいよ」
あーー、なるほど
理解した
敬語を使わなくていいよ
と言いたかったんだろう
「分かった、これでいい?」
少女は、嬉しそうに
「うんうん、いいよいいよありがとう」
少女は続けて言う
「他に、聞きたいことある?」
そうだな………何かあるだろうか
少女を見つめ考える
………あ!
名前、名前聞いてない
「名前、なんていうんですか?」
その問いに少女は
「名前って、何?」
少女は、名前というものを知らなかったらしい
小説は好きなときに書きます