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薬剤お兄さん  作者: 野村 夜長
1/1

boy meets 薬剤師

ここは町の薬局『ロベリア薬局』。


今日も薬剤師こと私、薬剤 調(やくざい しらべ)は、外面良くして患者さんに薬を調剤していくよ☆


おっと、早速患者さんが来たようだ。



「こんにちは~」


高校生くらいの男の子か。まあこの時期風邪が流行ってるしな。


「はい、こんにちは。本日はどういたしましたか?」


男の子から処方箋を受け取り風邪だと確信する。


「えーと、喉が痛くて」

男の子は喉を抑えている。


「あー今、風邪流行ってますしね。では高橋さん、この薬局は初めてとのことですのでアンケートにお答えください。」


アレルギーなどあるかのアンケートを渡し、調剤を始める。


「終わりました。」


「では、薬を用意しますのでお掛けになってお待ち下さい。」


ふむ、アンケートによると特にアレルギーなどはないらしい。


数分後、薬の調剤が終え、薬の説明をし薬を渡した。


「それではお大事になさってください。」

これで今日は閉店だと思いながら挨拶をする。


「あの、親が迎えに来るまでここで待っててもいいですか…?」

男の子は申し訳なさそうに訪ねてくる。


「全然いいですよ~」

めんどくさいという気持ちを顔に出さないように平然と装った。


「あの薬剤さんはどうして薬剤師を目指したんですか…?」


おっと、暇潰しに聞いてくるような話題じゃねえぞ…


「うーん、そうだね。良く昔、身体が弱くて薬剤師の先生にお世話になったから目指したって人とかは多いよね。」


「てことは、先生もそうだったんですか?」


「いや、私はそんな高尚な理由はないさ」

いやまじで。


「実は俺、進路に迷ってて。来年は受験生だしそろそろ進路決めなきゃいけないのに何も決まってなくて…」


おっと唐突に語りだしたぞ。


「今の時代、資格を持ってないとやっていけないと思って薬剤師ってなんか楽そうだしいいかなと思ってるんですけど、そんな不純な理由ではダメですよね…」


「まあ人の健康を扱う者として責任とかはあるけど薬局によっては楽かもしれないね。でも楽そうだからという理由で目指すのは少し大学で苦労するかもしれないね。」


「やっぱりそうですよね…」


い、言えねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

俺が楽に金稼げそうだから薬学部に入った挙げ句、数回留年して苦労したなんて言えねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。


「あ、迎えが来たようなので帰ります。また薬剤師の話を聞かせて貰いに来てもいいですか…?」


「ああ、いつでもおいで」


ん?しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。

いつもの癖で外面がいい返事をしてしまった…

まあ社交辞令として言っただけだろ…(そう思ってた時期が私にもありました)


「…!ありがとうございます!!」

男の子はお礼を言い去っていった。



………片付けて帰ろ。

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