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ゲス無垢天使☆地明日月見ちゃん☆

作者: 赤面

笑顔って何回書いただろう。

俺は高校生犯罪マニア 怪茂 会藤。

世はまさにトレンディ時代、

流行りを追い求める野郎と女がひしめく黄金暗黒時代だ。

ここエリート探偵の集う高校「ホームズ学園」でもそれは例外ではない。

俺は平凡だから違うが。

平凡な俺のトレンドといえば

スマホの履歴が「犯罪」で埋まり尽くしたのを見た友達に軽く引かれたぐらいだ。

あとは犯罪を調べすぎて事件を次々に解決していく夏休みをついこの間過ごしたこともあったが、まぁこの話題はつまらなそうなんで置いとく。

そんな平凡犯罪マニア、通称「電車に乗り遅れたら意地でも電車を停めて乗り込もうとする女の横に立ってそうな男」と呼ばれて

いるこの俺にも

ついに恋愛の、青春の兆しがやってきたかもしれない。


窓際でなぜか綿菓子を食べているあの子、

名前は地明日 月見ちゃん。

この子は男子女子生徒生徒会、あまつさえ先生からも「ゲス見ちゃん」と呼ばれ絶対的な信頼の中心となっている。

そんな彼女は今日も変わらず笑顔を振り撒いているのだ。

だが、俺には分かる。



あれ絶対嫌がってるだろ。

そもそもなぜ彼女があんな五十代の顔面の筋肉がこわばったおばさんの様なひきつった笑みを浮かべることとなったのか、

これには理由がある。



―――彼女は、笑うと必ずゲス顔になるのである。




普段の顔つきはまさに和の美少女。

やや細い目をしてはいるものの、

可憐なその姿は紛れもなく可愛らしい。

決してわたし以外わたしじゃない男性と不倫に走ったとか

どこぞの側近みたく語尾にゲスを付けるわけでは無い。


彼女が入学式の挨拶で見せた笑顔、

その笑顔こそ、このあだ名の始まりだった。

あだ名ならぬ「仇」名だった。なんつってね。


…やはり冬は冷えるな。


……そんな彼女であるが

先ほど言った通り、学校内での信頼は非常に高い。

朝の会議前には生徒会長に相談され、

先生の悩み事を解決し、

テストの日にはほぼ全員がトリックを使いカンニングを行う。

そんな彼女であるが。

やはり笑顔はとてもじゃないが、笑顔と呼んでよいものかどうかとも考え、錯覚を覚える。

「てめぇの弟を殺った時の!悲鳴を聴かせたかったぜぇ!」

みたいな台詞が脳裏を過り思わず口に出してしまいそうな表情なのだ。思わず口に出した山田君は元気だろうか。


だが、なんだろう。

笑みに違和感を覚えていた入学当初から、

違和とはまた違う感情を彼女に抱いていた。

これが、これこそが―――


「好き」という感情なのだろうか―――

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