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橘フレンズ!  作者: 橘める
クッキー編 A Legendary Man
8/8

ゴキブリの帰還 

※1本作は橘めるではなく、橘めるの友人が書きました。

※2実際に起きた事件を元にしていますが、実際の事実とは異なる可能性もあります。

※3作中に登場する氏名・ユーザー名・団体名は実在するものとは無関係(?)です。

 それから一月の時が流れた。



「おひさ」


 日高は久々にdiscordを開き、とあるサーバーにそう書き込んだ。


 雑談界隈を追われた日高は3月末でそれまで続けていた期間工の仕事を辞め、4月から幹部候補生の養成学校への入校を果たした。ここを卒業すれば晴れて世界的自動車メーカーの正社員となれる。しかしながら幹部候補生の学校の卒業率は著しく低い。途中で辞めていく人数の多さは定時制高校のそれ以上かもしれない。


(相談出来る奴が欲しいわ)


 陰キャを極めた性格にチー牛フェイスというデバフを持つ日高にはそういう苦境を共有し高めあうような仲間はいなかった。そんな彼が再びネットの世界へと足を踏み入れたのは当然の帰結である。


 そもそも日高がネットの世界から一時的に姿を消していたのは自身の顔写メ、勤務先、携帯電話などが晒されたことが原因だった。橘めるへの疑心が高まった結果その虎の尾を踏んでしまったのだ。

 対抗策として彼は元凶の橘めるやチー牛と罵ってきたマーセナス、二重スパイの太公望、醜いさかなうろこなどの不穏分子を自分のdiscordサーバーから追放。自分にとって無害な輩ばかりを手元に残した。もちろん愛しのあむりんも残した。

 だがそれでも彼はdiscordを消してしまった。それほど彼にとっては界隈に居続けることに抵抗があったのだ。結果自分の中では結婚間近だったはずのあむりんとさえ完全に疎遠になってしまった。


 discordを開く度に橘めるへの怒りと忘れたい記憶が彼の脳裏をよぎる。だが幹部候補生の学校へ行くにあたって愚痴や相談が出来る場が欲しいというのも事実。背に腹はかえられないのが日高という男の悲しい性であった。




(長らく運営してなかったし、他サーバーで再スタートを切るか)


 そんな日高が選んだのは小説創作のサーバーだった。

 メンバーの何人かは彼のサーバーにも所属しているため面識がある。


(ここでなら俺は、上手くやれる……)


 そう判断した日高は2ヶ月ぶりにdiscordで自身の生存を示した。




(そういえば、アイツらもこのサーバーにいるんかな?)


 投稿して程なく、日高の中でふと、そんな考えが浮かんだ。

 理由は簡単。橘めるやさかなうろこは小説家になろうを主なフィールドとして活動する創作を趣味としているからだ。


「…………案の定、いやがった」


 discordのオンラインユーザー一覧を見るとマーセナスや太公望、クッキーなど見知ったかつての知り合いがわんさかいる。さかなうろこや橘めるはいないが、自分の実生活に関わる情報を知っている輩は彼にとってはリスク以外の何物でもなかった。


(さかなうろこの小説界隈での評判を下げ、かつその周りの奴らもまとめて追い出したい。

 蝦蟇のくせに俺の悪口を散々言ってくれたからな!


 橘は悪評に慣れきっているから簡単に逃げてしまう可能性があるけど、そうじゃないさかなうろこならいけるかもしれないな)


 そう考えてほくそ笑んだ日高は、所有していたもう一台の端末を起動し、discordの新しいアカウントを作成した。




 うろす




 さかなうろこを連想させるこのアカウントで日高が引き起こす騒動が、彼自身を思わぬ方向へと導くことになることを彼は知らない。







 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇







(まずは先手必勝だ、俺の偽の個人情報をばら撒こうか)


 橘めるの界隈はともかく、普通のサーバーであれば個人情報を晒した日には即BANは免れない。

 日高はネットでの拾い画とメモ帳に載せた偽の携帯番号、そして、(これだけは本物だが)、コンビニのカード決済履歴を用意した。


 理由はただ単に橘が持っている自分の情報がそれら一式であり、橘の周りにいる人間であれば誰もが入手が難しくないからである。つまりはこれら一式があれば容易に濡れ衣を着せる事が出来る。


(ただまあ……今回はさかな本人に見せかけるようにしよう)


 橘の仕業ということにした場合の反響は間違いなく少ない。せいぜい「そういうことなら抜けるよ、じゃあね」と橘本人だけが消えて終わりだ。否定も肯定もしないだろう。

 その点、さかなうろこであれば「絶対に私じゃない!」と暴走し、日高の仕業に違いないということでサーバーの管理側にしつこく食い下がるであろうことは明白である。そしてさかなうろこおよびそれに同調するマーセナスらは間違いなく管理側から危険視され、管理側の判断や彼等の動き次第ではサーバーを追放される可能性は充分にある。万が一追放されなかったとしても管理側とマーセナス等さかな一党の相互不信が高まることは避けられない。


「これも俺の平穏のためだ、悪く思わないでくれ」


 そう言って日高は自分の情報(偽)をdiscordに貼り付けていった。









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