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転生ですか?ではどうぞ、ネズミの国へ  作者: 芭蕉桜の助
FIRSTyear 冬 年の瀬に揺れるシード大陸
36/86

彼女に嘘をついた代償はでかい

・オレは、いやオレたち(・・・・)は、棍棒振り回す謎の美少女、ローズさんから逃げ回り、学校裏の湖まで来てしまった。


「ここまで来れば、大丈夫……!」


「大丈夫じゃないっスよ。何なんすかあの(ヒト)?オレをアンタと間違えて追い回すなんて、いよいよ人違いじゃ済まなくなりましたけど……!?」


薄ら笑いで誤魔化していたマイケルさんも流石に自重したのか、しばらくの沈黙の後、重たそうな口をゆっくりと開いた。


「僕の……婚約者(フィアンセ)だよ……。」


「ウソでしょ!?」


「こんな時に嘘付いてどうする。これでも、一応彼女とはアツアツだったんだ……。」


ニヤニヤ笑うマイケルさんを相手に、オレはクールにツッコんだ。


「今見る影もないっスけどね。」


「五月蠅いな!色々あったんだよ僕だって!」


「じゃ聞きますけど、なんでオレ、あんたと間違われてんスか?いくら何でも、死んだ元カレと間違うなんて……。」


そう問うと、マイケルさんはまるで後ろめたいことでもあるみたいに、少しうつむき加減で話始めた。




それは二年前、マイケルさんと、フィアンセのローズさんの結婚式の日。


タキシードに着替える直前になって、火消し組からの応援要請が入った。仕事柄家を空けやすく、いつも忙しなかったが、ローズさんは毎度笑顔で見送ってくれた。

が、その日の火災は規模が尋常ではなかったのだ。


「何だったんスか、原因は……。」


「実は……ミリオンさんが……。」


「ミリオンさんが?」


「新商品『食べるとほんとに火が出る激辛ポテチ』の開発中、火薬の調合に失敗して。」


「くっだらねえ!何してんすかあの人!?てかあの導入で原因ポテチ(それ)!?」


「いやでも!僕が死んだのはポテチのせいじゃなくて、店の中の忘れ物を取りに……。」


「『忘れ物』ですか?」


「そう、大事な……彼秘蔵のエロ本。」


「ポテチの方がまだマシだったわ!てかこれから嫁さん貰う人間が何てモンの為に死んでんスカ!!」


「そこまでは良かったんだけどね……?」


イヤ良くねえよ。書籍化飛ぶわ!と思いながらも、マイケルさんの言う『本題』(どーせしょうもないんだろうけど)とやらに耳を傾けた。


その後、魂となって彷徨っていたマイケルさんは、ローズさんの気落ちっぷりとその影響の凄まじさを目の当たりにしたという。


なんと、夢遊病になって夜中に出歩いたり、突然倒れこんだり、しまいにはマイケルさんの名を呼んで独り言を呟く様になったという。マイケルさんは当初、自分の姿が見えていると思っていた。

ところが彼女は明後日の方向を向いており、まるで焦点が合わない。

話によると、異変を感じた両親がマックス医師に見せたらしい。医師曰く、マイケルさんが亡くなった事で精神的な病にかかったらしい。


「焦げたエロ本の為に命とフィアンセの人生メチャクチャじゃないっすか!アンタ何してんスカマジで!」


「全くその通り。ローズの両親とウチの両親はメンタルケアに努めたが、結局彼女は僕の帰りを待つのを止めなかった。ウチの両親は死んで詫びようとしたが、向こうの両親は僕も、ウチの両親も一切責めなかった。仕方なくローズの一家はお母さんの実家がある紅葉国(こうようのくに)、『フローチア大陸』に帰ってね。今回どうやってここへ来たかは分からないが、あの様子だと、君が誰かといちゃつくのを見ちゃたとか……。」


まぁ、色々あったし、思い当たる節がない訳じゃない……。


呆気にとられるというか、何ともいい加減でアホクサイ最期にリアクションし辛かったり、色々考えていた時。


「いたわねマイケルゥゥゥゥゥゥゥゥ!」


目の血走ったローズさんが、いつの間にか後ろに立っていた。


「ジョー君、ここまで来たら逃走は不可能だ!適当に言いくるめて!」


「言いくるめろったって……あの、ローズさん!オレ、実は……!」


「問答無用ォォォォォォォォ!」


予感はしていたが、話がまるで通じない。すくみあがったその時、ローズさんは棍棒を投げ捨て、オレに抱きついた。


「!?」


ローズさんは俺の胸の中に顔をうずめ、泣き始めたまま、ピクリとも動かない。


「バカ……!いつまで待たせるの……。待ってたんだから……!」


マイケルさんがなんだか分からないジェスチャーを送るが、 事態の解決になるはずもない。仕方なく、オレは次の瞬間こういった。


「待たせてゴメンな、ローズ。」


「うん……。」


遠方から、青い顔をして見守るマイケルさんを尻目に、俺は黙って決断した。

今日一日、オレがマイケルさんの代役をする……!


「さて、行こっか!」


「へ……!?」


「デートだよデート!この二年間行けなかったでしょ?私寂しい思いしたんだから、今日はアンタの奢り。」


有無を言わさず、いつのまにかローズさんに手を引かれていた。



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