OURS HALLOWEENー2017 ハロウィン スペシャルー
ハッピーハロウィン!
極めてちゃちになってしまいましたが、 これがしがないアマチュア小説家の精一杯の trick or treat です!
皆さんもよいハロウィンを!
・本日10/30は、ハロウィンの日。
起源や風習などは多少違えど、ここ『くるみの町』にも、ハロウィンを、仮装やたくさんのお菓子、かぼちゃのランタンで祝う慣わしはある様で、商店街の皆が苦心の末作り上げたランタンで、今日の町は彩られていた。
「さぁ、いらっしゃいいらっしゃい!本日限定パンプキンパイはいかがスかー!?」
コンバットベーカリーはハロウィンに便乗して限定メニューを作ったり、仮装した子供たちの『トリック・オア・トリート!』が聞こえてきたり、町はハロウィン一色だ。
かくいうオレも、義妹のベルと二人、ドラキュラ伯爵と魔女の格好で商店街を闊歩していた。
「うふふ、ジョーお兄ちゃんカックイイ〜!」
「ベルも似合ってんじゃん。」
「もっかい言って〜!似合ってるって言って〜!」
「似合ってる似合ってる。さて、ミリオンさんの店行こっか。」
こんな感じにアホらしくベタつくカップルみたいなノリのオレたちだが、内心色んなモヤモヤが溜まっている。
昨夜の騒動の後、自警団火消し組を名乗るはっぴの男たちに、賊は海外の大国に連行され、投獄されたらしい。
副団長と数名の幹部は姿をくらまし、ジョニーやスケバンたちは
未成年と言う事もあり、厳重注意として投獄は免れた。
またトカゲのしっぽ切りだと、火消し組のおっさんが言ってた。
ルイスとミキは、マックス医師の介抱により、驚くほど早く回復した。ルシアナさんは、オレたちが帰ってから、咎めも問いただしもせず、ただ、無事で良かったと抱きしめた。
ルシアナさんが涙する所を、オレは初めて見たかもしれない。
賊の副団長と幹部たちは、どこへ消えたのだろう?
なぜ連中は、あっさり退散したのだろう?
どうも俺には、ミリオンさんを恐れていたように見える。
いったい彼は何者なのだろう?
黒幕であろう賊の団長は、今どこにいるのだろう?
とにかく、まだ色々と謎は残っているが、今日のところはこの宴を楽しむとしよう。
「お兄ちゃん、また眉間にシワ〜!」
「ごめんごめん、ちょっと考え事をな……。」
「真面目なのも良いけど、無理しちゃダメだよ?」
自分が真面目だなんて、生まれてからこれっぽっちも思ったことはない。ここに来るまでずっと、ただ不幸な自分を呪って、不自由で身勝手な大人たちや、世の中を恨むばかり。
自分がちゃんと見てなかっただけかもしれないが、それにしてもベルといると、新しいオレ自身を発見できるような気がする。
こういう所、好きなんだよなぁ……。
「何か言った?」
「いや、何でもない……。」
しばらく歩いていると、前方に一人の子供の姿があった。
「見かけない子だな……。」
この人混みの中、一人でウロウロするのは少し危ない。
近づくと、その風貌にますます違和感を覚えた。
服は 上も下もぼろ布のように汚れて薄汚く、穴まで開いている。
仮装もしていなく、持っているものといえば、菓子屋のロンダが売っていたと言うかぼちゃのキャンディーくらいだ。
もっと驚いたのは、彼の毛並みが灰色、瞳がマスカット色だった事だ。これは、海を越えた北の大陸フラッシュスノー大陸の住民の特徴だと、前に授業で習った気がする。
確か、親しい相手に出会った時、その人の幸運を祈って、手足を使ったおまじないをするとか聞いたこともある。
「坊や、お名前は?」
少年はキョトンとしている。
「パパとママは?」
少年はクビを横に振った。何かあったのだろうか。
「じゃあ、私達と一緒に探そっか?」
仕方なく、ハロウィンで賑わう商店街で、少年を連れ歩く事にした。
クリスと名乗ったその少年は、受け答えこそしっかりしていたが、必要最低限にしか喋らず、泣く笑うの表情も乏しい。
精一杯笑わそうとハロウィンの屋台村を回る内に、ようやく初めて、お腹空いたとこぼした。
コンバットベーカリーに移動し、パンプキンパイを一つずつ買った。クリスは会って初めて見るような笑顔で、それはそれは美味そうにたべていた。
「美味いか?」
「美味しい……!」
「そりゃ良かった、ベルは?」
「一口噛むとかぼちゃのポタージュがじゅわーって出て来る〜!おいひぃ〜!」
ベルもベルで、本当に美味そうに食うな。おごりがいがある。
「ジョー君に新メニュー考えてもらってから、売り上げ上がりまくりでね!まだ何もお礼してなかったから、当分の間会計は半額にするよ。」
「そいつは助かります。ところでトーマスおじさん、一つ聞きてぇ事が……。」
よろず屋ミリオンは『HALLOWEEN FESTIVAL』の看板を立て、これまた見事な完成度の置物やコスプレを店の前に陳列していた。
ベルたちが店の前の品物に見入っている間、オレはミリオンさんのいる店内へ入った。
「いらっしゃいやせ……あら?志島さんじゃありやせんか。今日はなんのご用で?」
「ルシアナさんのお使いなんス。ブラックジンジャエール5本と、黒にんにくのリースをお願いします。」
「ヘイ、ただいま。」
そう言ってミリオンさんは、レジの下のビールケースと、奥の棚をあさり始めた。
「昨日の事なんですけど……ありがとうございました。」
「何かありやしたっけ?」
ミリオンさんは、何も覚えていない様な言い方をした。
「賊から助けて貰って……オレらだけじゃ、何も取り戻せなかったから……。」
「お互い、過去にこだわるのはよしましょうや。あたしの方こそ、志島さんが昨夜行動を起こしてくれなんだら、あたしゃ奴らにお灸を据えられやせんでしたからね。」
「あの、ミリオンさんって一体……。」
その先をどう続けるべきか分からず、頭の中に次のワードを探し続ける。その間に、レジの上にリースとジンジャエール瓶が入った段ボールを出した。
「大人ってのァ……志島さんの思う以上に色々ワケありなもんでさぁ。下手な詮索は、オススメしやせんぜ……。」
そう言われると、もう何も問いただせない。
段ボールを持って外に出ると、クリスとベルに二人組の男が話しかけていた。
手招きするベルの方へ寄ると、その二人は夫婦で、クリスの両親を名乗っているらしい。が、オレはクリスの反応に、違和感を覚えた。
マスカット色の瞳は曇り、ベルの服の裾を掴み、ガタガタ震えている。両親を目の前に、この反応はおかしい。
「ご両親、フラッシュスノー出身で?」
「ええ。そうですが?」
「ああ失礼しました。寒帯の衣装っぽくなかったので、ちょっと不思議で……。」
そう言ってオレは、右手をグーで差し出した。
「御無礼をお許しください。」
「え……?あ、はぁ。では、失礼します。」
強引にその場から立ち去ろうとする夫婦。だが、オレはもう少しで泣きそうなクリスの手を離さなかった。
「アンタら、この子の親じゃありませんね?」
「え……?」
「今オレがなんでグーを差し出したのか、分からなかったんスか?グーを向かい合わせるのが、フラッシュスノー大陸の挨拶なんスけど。」
「ああ、実は我々、ワケあって血の繋がりが……。」
「いまご自分で、フラッシュスノー出身と仰ったじゃないですか。」
「……チィッ!」
逃げようとする男からクリスを引き剥がし、男の腕を捻り上げた。さらにもう一人の鼻に二本指を突っ込み、思い切り背負い投げを食らわせた。
「お兄ちゃん!ちょっと、大丈夫?」
「ベル……火消し組に連絡しな。コイツら、多分誘拐犯だ……!」
商店街は一時騒然となった。火消し組のはっぴ団員の話に寄れば、フラッシュスノー大陸で誘拐事件が頻発しており、クリスも被害者の一人だったらしい。
「とは言え、フラッシュスノーに渡るには、手続きとか手段が面倒でね……ルシアナさんにゃ悪いけど、船が取れるまでロングライド家で預かってくれねーかい?」
火消し組員に言われた通り、オレはクリスを連れて家路に戻る。
その途中、ルシアナさん夫婦とミイラ姿のルッキーが、外に出て待っていた。
事件の一部始終を知ったルシアナさんは、 クリスの受け入れを快く承諾してくれた。
「じゃあ、 クリスちゃんの歓迎会も兼ねて、みんなでハロウィンパレードを見て帰りましょう。」
「お兄ちゃん、こっから見えるよ〜!」
「はしゃがないで姉貴。」
「久しぶりだな、皆でパレード……。」
「キタキタキタ〜!」
『OURS HALLOWEEN』
作詞 芭蕉桜の助
唄ジョー・ロングライド&ベル・ロングライド
さぁさ 祭りの夜が来た 皆揃って踊ろう
ミイラ 魔女も ドラキュラも かぼちゃ ランタンぶら下げて
真っ暗な夜 青白い月
でも今日は でも今日は
皆がいるから怖くない
変わり者でも コワイカオでも
今宵は、皆のPARTY
コンプレックス 怖がらないで
今宵は 皆で 踊ろう
今宵は 皆で 歌おう
異世界のハロウィンは、オレが生まれて以来、最高のモノとなった。




