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転生ですか?ではどうぞ、ネズミの国へ  作者: 芭蕉桜の助
2nd EVENT ジョー、学校へ行く
19/86

再開はいつも最悪のタイミング

・二年松組、ルイス・ジョナサンに連れられ、オレはカシュー小中学校を見て回っていた。

小中ともに六年あり、元の世界の高等学習の分は、中学の半分で済ませられるらしい。


これなら、卒業後すぐにアカデミーへの進学や、就職ができるのも納得がいく。


キレイな校舎で、廊下にはゴミひとつ落ちていない。


教室のカベには手の込んだデッサンが飾られてあった。


窓から見える庭のパラソル、あそこで昼食を摂るのだろう。


「スゲぇな。何から何まで文化的だ……。」


「気に入って貰えました?良かった……。今度一緒に、お昼でもどうですか?」


「良いねぇ!」










会って小一時間、ようやく話が弾んで来た。


ベランダにでた時、オレは気になっていた話を切り出した。



「ルイス君……アイツら、いつからカツアゲなんかやってんの?」


「……。」


ルイス君が急に黙りこくった。ヤバイ事を、どストレートに聞いちまったらしい。前にもこんな事有ったような……。


「今に始まった事ではないんです。僕の家は、地主の祖父と両親、それと……僕のガールフレンドの四人暮らしで……。」


「羨ましいな……ガールフレンドと同棲とか。オレァ好きな人を相手に、目も見れねぇよ。」


「その彼女を、イジメの標的にするって脅されてて……。」


「……!!」


なるほど、地主の孫ともなれば、格好の獲物って訳か……。


「……すいません、つまらない話を。あの、この話、誰にも……。」


「言わねぇけど、良いのか?このままじゃお前……金搾り取られ続けるぞ?」


「……良いんです。彼女が無事なら、オレは……。」


無理やりに笑う彼の、何かこう、プライドのようなモノを感じ、オレはそれ以上突っ込めなくなった。





「ちょっとルイス、ダメでしょ?授業サボっちゃ……。」


廊下の向こうから、透き通った声がした。


オレが顔を上げるより速く、 ルイスは親しげに、彼女の方へ駆け寄った。


「ちょうど良かった。彼女が僕のガールフレンドの……。」


「上君……!??」


名を、それもかつての名を呼ばれて、オレが顔を上げると、まさかここで会うとは思わなかった顔が有った。


「美季……!?」


紫の長髪、色白の肌、澄んだ目の緑色は、『天命の砂』の影響だろうか。

そういえば、彼氏がいるとは言っていたが、まさかそれがルイスだとは、夢にも思わなかった。


「ふたりとも、知り合いなんですか?」


「あ!あ、あァ……む、昔の知り合いで……。」


まさか元許嫁だなんて言うワケにも行かず、話を合わせてくれ!と、美季にジェスチャーを送る。


「そ、そう。ちょっとした知り合いで……それよりルイス、なぜ、上君がここに?」


リアクションも、流し方も超不自然。笑いを堪えるのに必死だった。だが、ひとまずルイスには怪しまれていない様だ。


「編入予定らしく……校長に校内を案内する様にと……。」


「そうなの。じゃあ、多分中等部4年生、私と同じ学年だろうから……後は任せてちょうだい。」





ルイスと別れた後、美季とオレは引き続き校内を回った。

廊下に、二つ並んだネズミ人間の影が映る。

美季もそう。やはり転生者は、窓や人目にはネズミ人間に見えるらしい。


「びっくりしました……昼間はロングライド家の家事をお手伝いしてると聞いてたので、まさかここで会うとは……。」


「ごめんな。オレも今日突然話聞かされて……まぁ、助かったよ。ルイスとは、せっかく仲良くなれたし……目の前に彼女の元許嫁がいたんじゃ、気分良くはなかろうし……。」


初日どころか、編入前の案内の段階でケンカなど、まっぴらごめんだ。いや、もう既にケンカはやらかしたんだよな……。


そういえば、オレがフルボッコにしたカツアゲ犯の事……美季は知ってんのかな……いや、知ってたら何か言うだろうな。

それに、要らぬ心配をかけまいと今まで黙ってたんだし、オレが余計な事言うのもなぁ……。


結局、オレがそれについて聞く事は出来なかった。


「しかし美季、お前かなりの姉さん女房だな……。」


美季は顔を赤らめた。


「私は普通に接してるつもりだったんですが……彼、本当のれん男子なんてレベルじゃないくらいのれん男子で……自分で言うのもなんですけど、私が引っ張らないと成り立たないんです。」


そんな事はないような気がする。 いくら大切な恋人のためとはいえ、集団で絡んでくるカツアゲ犯を相手に啖呵を切れる男は、そういるものじゃない。ルイスもただのヘタレではないのだが、肝心の美季がそれを知らないのを、オレは少し残念に思った。


「話聞いてると、ルイス君も頑張ってる見てぇだし、お前の事かなり溺愛してんぞあれ。もう少し、頼ってやっても良いんじゃん?」


「……そうですよね。気をつけて見ます。」


まぁた余計な事言っちまった。ま、吉と出るか凶と出るか、もう後はこいつら次第かな……。


その日のうちに校内のほぼ全てを回り切り、ロングライド家に戻る。その時既にルシアナさんは諸々の手続きを終え、明日には正式に編入できるようにしてくれた。



この後、とんでもない事件が巻き起ころうとは、オレ自身はもちろん、誰にも予想出来なかった……。

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