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転生ですか?ではどうぞ、ネズミの国へ  作者: 芭蕉桜の助
1st EVENT マックス 中央病院の再会
17/86

生き返った〜!って言うおじさんは日々死ぬ思いで戦ってる

・目が覚めた。まさかまた覚めるとは思わなかった。


それとも、ここはもう既にあの世なのかな……。うっ!臭っ!


「ようこそ、地獄へ……!」


重く低い声がした。ベッドの傍で、ミリオンさんが立っていた。


「なんつって!」


「オレ……生きてたんスね……。」


「そのようで。あ、見舞い花、ここに置いときやすぜ。」


そう言ってミリオンさんは、花瓶にはみ出すほど大きなラフレシアを飾り立てた。

……なるほど、臭かったのはコレか……見舞いにラフレシアて……。


「気分はどうですかィ志島さん。全く、アンタにゃほとほと呆れやしたぜ。

あたしがせっかく差し上げたチャンスを棒に振って、あろう事か砂時計を他人に与えるなんざ……だが、あたしにゃ偉そうな事言えねぇな……。」


「あの、オレ、なんで助かったんスかね?」


「実は一つ、志島さんに嘘をついてやした。砂時計がもう一つ、ウチの店の倉庫にストックしてあってねぇ……志島さんがどうするか試したくて、あえて黙ってたんでさぁ……。」


驚きはしたが、それ以上は呆けてしまって何も言えなくなった。


「それで、オレ……ミリオンさんの期待に応えられたんスか?」


「ええ。もう十分、十二分でさぁ……あたしにゃ想像もつかねぇ奇跡を起こすだけ起こしてくれた……アンタにゃストックを消費して釣りが来まさぁね……。」


ミリオンさんが清々しく笑った。こんな風に笑うミリオンさんを、オレは初めて見た。

花のセンスは悪くても、この人は真っ直ぐな商人だ。


今回の件に、それを教えられた気がする。


一息入れてから、オレは一つ大変な事を思い出した。


「そうだ!美季、美季は……!?」







ミリオンさんに伝言を残していった彼女を追って、オレは屋上へ向かった。


美季は、屋上のベンチに、コーヒー牛乳瓶を二本持って座っていた。


「少し早めのプチ快気祝い……どうですか?」







オレたち二人は、屋上でコーヒー牛乳を飲んみながら、久しぶりののんびりした夕方を過ごしていた。


「ミリオンさんからお聞きしました。私を助けて下さったそうで……。」


「大したこっちゃねぇ。道具を用意してくれたのも、機会をくれたのもミリオンさんだ……悪かったな、オレが志島上だって黙ってて……。」


「良いんです。おかげで決心が着きました。」


「決心……?」


「私、こっちに来てからもずっとジョー君のこと忘れられなくて……あなたに会えないまま、生きるくらいなら、このまま死んでも良いのにって、ずっと思ってた……この病気にかかって、気付きました。私がこの世界で、どれだけの人に愛されていたか。

そして、入院中ずっと、“彼”に会いたかった。」


「この世界の彼氏さん?」


「彼もまた、私を必要としてくれる、私も彼が必要でした。だから……もう一度、ちゃんと彼を見つめて見ます。向き合って見ます。もっとたくさん……彼と話して、考えて見ます!」


「そりゃいい。美季がそこまで考えてんなら……オレも頑張って見ようかな……。」


「今の、好きな人の事ですか?」


「まぁ……本当に好きなのか、自分自身怪しいとこもあるが……向き合って見る!」


オレの、そして美季の紡ぐ言葉に、嘘や着色は微塵もなかった。


生きている。

今、息を吸って、二人で会話を交わしている。

その幸せを噛み締めながら、明日も精一杯生きていくことを、沈みゆく夕日に誓っていた。







そして、退院の日。


俺の迎えはロングライド家総出で来てくれた。


オレの快気祝い。ルシアナさんの手料理が並ぶ、久しぶりの五人で囲む食卓は格別で、その夜は時計が午前を回るまで、皆眠ることなく語り明かしていた。

きっと、美季が世話になってる一家もこんな感じだろう。





やがて食事が終わると、オレはベランダに出た。


今日は満月か……。もし何か一つでも今日の行動を違えていれば、オレは、今こうしてここに座っていなかったかもしれない。


つくづく、生きてるっていーなー。



「ジョー兄貴……。」


後ろから、ルッキーが静かに呼び止めた。


ラムネ瓶を持ってきて、片方をオレに差し出した。


「飲む……?」


キュポンッ!と音を立て、二人でラムネをのみ始めた。


「ぷはーっ、くぅーっ!」


「何、その飲み方……。」


「昔、風呂は命の洗濯つったお姉さんがいてな……その人はこうやって酒飲んでたよ……。」


「ふぅん、よく知らないけど……ところでさ、姉貴の話だけどさ……。」


「ん?」


「兄貴の好きにすりゃ良いんじゃん?」


「何……どうした急に。」


「マイケルの兄貴は、ちゃんとしたお兄ちゃんでいようとして、いつもいっぱいいっぱいだった……アンタも、そうなるよか、好きにやって欲しいなっつーか……。」


「優しいな、お前……。」


「べっ……別に!アンタも兄ちゃん気取るんなら、マイケル兄ちゃんと差別したくねぇし!ま……まぁオレはアンタを兄貴予備軍程度にしか見てねぇけど!?差別とか嫌いだし!!……その代わり」


「……ん?」


「もし姉貴を口説くなら、絶対幸せにしろよな!」


そう言ってルッキーは、オレの分の空きビンを処分して先に寝付いた。あからさまなツンデレだ。


ルッキーもああいってるワケだし……やるだけやってみようかな。


ベルに対するオレの気持ち、オレに対するベルの気持ち、ここらではっきりさせるとしよう……。




おかえりジョー!


そして次回、ついにベルにアタック!?

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