女を見捨てて生き残っても、漢の魂は腐って落ちる
初めてそれっぽいタイトル付けてみました。
んー、ジョーとはもうお別れなのか!?
寂しいよー、悲しいよー!!
え!?まだ続くの、この小説!?
うっそだー!……え!?マジ!?
・考えろ、考えろ、考えろ!
時間はない。どうしたら良いか分からなくても、ミリオンさんが言う事は、多分嘘じゃない。
このままじゃ、オレもここにいられない。美季さえ救えない。
このまま美季を見捨てれば、オレはここにいられる。
でも……でも……でも……でも……。
アイツは、オレのせいでずっと悩み抜いて来た。
その上、オレは救えるハズのアイツの未来を見なかった事にして、そうして生きる事を幸せと呼べるのか!?
ミリオンさんの話じゃ、あのマジックアイテムは貴重で、おいそれと手に入る代物じゃないらしい。
くそ……くそ……くそ……くそ……!!
オレは、どうしたら……!
「お兄ちゃん、大丈夫?冷や汗スゴイよ?」
気が付くと、ベルが水筒の様なモノを持って立っていた。
「ベル……お前、どうした?もう消灯時間だよ?」
「ううん、ちょっとお兄ちゃんが心配だっただけ。すぐ帰るから……。」
ベルは、コップに手作りの生姜湯を注いでくれた。
温かい。考え疲れてたせいか、妙に心に染みる。
「美味しい?」
「うん……美味い。ありがとな、ベル……。」
「ごめんね、急に押しかけて。ジョーお兄ちゃん、元気なさそうだったから……。」
「うん、もう大丈夫。わりーな、心配かけて……。」
「何か辛い事が有ったら、何でもいいから言ってね!それと……なるべくで良いから……もうどこにも行かないでね……。」
「……!」
瞳を涙で潤ませるベルを見ている内に、平静を装っていたオレの中で、何かが崩れた。
閉めていた水門がこじ開けられ、ダムの水のようになった感情が、一気に押し寄せてくる。
気が付くと、オレは思いっきりベルを抱き締めていた。
なぜそんな事をしたのか、オレ自身にも良く分からない。
オレもベルも静かに泣いた。そうでもしないと、心が壊れそうだったから……。
「行かねぇよ、もうオレ……どこにも行ったりしない。」
これがオレの本心だった。失いたくない。消えたくない。ベルの前から、大切な家族のいる、この世界から……。
「うん……宜しい……。」
オレは腹を決めた。目の前にある魔法の砂時計を、誰に使うべきか……。
翌朝、オレを叩き起こしたのは、美季の『おはよう』ではなく、向かいのベッドで騒ぐナース達の足音と話し声だった。
なんでも、美季の容態が急変し、意識が戻らなくなったそうだ。
幾人ものナースが美季のベッドを行ったり来たりしているが、恐らく誰も、ことを解決出来ないだろう。
午後になってから、美季の体にチューブが繋がれた。
それと同時に、オレの身体は徐々に動かしづらくなっていく。
皮肉にも、オレの消滅期限は美季の寿命と重なるらしい。
全く、神様って奴ァ、どーしてこう意地悪なのかねぇ……。
オレはカーテンを開けた。眠っている美季の呼吸はか細く、表情は険しい。
傍らには、昨夜書かれたと思しき手紙が置かれていた。
『10日間ありがとうございました。少しの間でも、あなたに会えてよかったです。もし、もう一度生まれ変わる事があるのなら、その時は……あなたの横に、いられたらいいなぁ。
なんちゃって。
きっとこの世界で、幸せになって下さい。
大好きな上君へ 美季より』
走り書きの、しかし丁寧な女文字。それも、しっかりした日本語で書かれていた。
あぁ、本当にバカだオレは……。
何も知らなかったのは、最後までオレだけだった。
会いたくて仕方なかった、オレのせいでこの世界の男と一緒になる道すら絶たれた。そのオレを目の前にして、気丈に、優しく振る舞っていたのだ……。
「ちくしょう……なんでそんなに優しいんだよ……!!恨み言の一つくらい、言ってくれりゃ良いのによ……!!」
終わらせるもんか……。最期になんてさせない……!!
涙を拭い、ポケットから砂時計を取り出し、美季の頭の上で握りつぶした。
少々手のひらに痛みが走り、拳から砂粒がこぼれ落ちる。
緑の砂は美季の額に落ち、淡く光る。
光は、水滴の様に全身に広がり、美季の体を包み込んだ。
これでいい……。
淡い光が消えると同時に、美季の呼吸は安定し始めた。
お前、幸せになってくれよな……。
美季の体から溢れんばかりの生命エネルギーを感じ、同時にオレの足先が消えていく。なのに、オレは直感的に、安堵していた。
ここで全てが上手く行かなくても、オレの行動はムダにならない。ベル……ごめん、約束守れなかったわ。そんで、ありがとな。オレはここでいなくなるけど、お前もちゃんと、幸せになれよ。
消えていく自分の体を眺めながら、止まらない涙を押し殺す様に、オレは無理くり笑った。
でも、不幸じゃない。この数日間、出会った人達の止めどない愛と温もりのおかげで、オレはこの上ないくらい、幸せだった……。
訂正
ルッキーをキャラクター紹介の時、生意気盛りのやんちゃ少年と紹介しましたが……嘘だ〜!(泣)
「冷淡で人見知りなサッカー少年」としておきます!
考案時に別のキャラクターと混同してしまいました〜〜!!
すいませんでした……!




