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転生ですか?ではどうぞ、ネズミの国へ  作者: 芭蕉桜の助
1st EVENT マックス 中央病院の再会
16/86

女を見捨てて生き残っても、漢の魂は腐って落ちる

初めてそれっぽいタイトル付けてみました。


んー、ジョーとはもうお別れなのか!?


寂しいよー、悲しいよー!!


え!?まだ続くの、この小説!?


うっそだー!……え!?マジ!?

・考えろ、考えろ、考えろ!


時間はない。どうしたら良いか分からなくても、ミリオンさんが言う事は、多分嘘じゃない。

このままじゃ、オレもここにいられない。美季さえ救えない。


このまま美季を見捨てれば、オレはここにいられる。


でも……でも……でも……でも……。


アイツは、オレのせいでずっと悩み抜いて来た。


その上、オレは救えるハズのアイツの未来を見なかった事にして、そうして生きる事を幸せと呼べるのか!?


ミリオンさんの話じゃ、あのマジックアイテムは貴重で、おいそれと手に入る代物じゃないらしい。


くそ……くそ……くそ……くそ……!!


オレは、どうしたら……!



「お兄ちゃん、大丈夫?冷や汗スゴイよ?」


気が付くと、ベルが水筒の様なモノを持って立っていた。


「ベル……お前、どうした?もう消灯時間だよ?」


「ううん、ちょっとお兄ちゃんが心配だっただけ。すぐ帰るから……。」


ベルは、コップに手作りの生姜湯を注いでくれた。


温かい。考え疲れてたせいか、妙に心に染みる。


「美味しい?」


「うん……美味い。ありがとな、ベル……。」


「ごめんね、急に押しかけて。ジョーお兄ちゃん、元気なさそうだったから……。」


「うん、もう大丈夫。わりーな、心配かけて……。」


「何か辛い事が有ったら、何でもいいから言ってね!それと……なるべくで良いから……もうどこにも行かないでね……。」


「……!」


瞳を涙で潤ませるベルを見ている内に、平静を装っていたオレの中で、何かが崩れた。


閉めていた水門がこじ開けられ、ダムの水のようになった感情が、一気に押し寄せてくる。


気が付くと、オレは思いっきりベルを抱き締めていた。


なぜそんな事をしたのか、オレ自身にも良く分からない。


オレもベルも静かに泣いた。そうでもしないと、心が壊れそうだったから……。


「行かねぇよ、もうオレ……どこにも行ったりしない。」


これがオレの本心だった。失いたくない。消えたくない。ベルの前から、大切な家族のいる、この世界から……。


「うん……宜しい……。」


オレは腹を決めた。目の前にある魔法の砂時計を、誰に使うべきか……。




翌朝、オレを叩き起こしたのは、美季の『おはよう』ではなく、向かいのベッドで騒ぐナース達の足音と話し声だった。


なんでも、美季の容態が急変し、意識が戻らなくなったそうだ。


幾人ものナースが美季のベッドを行ったり来たりしているが、恐らく誰も、ことを解決出来ないだろう。


午後になってから、美季の体にチューブが繋がれた。


それと同時に、オレの身体は徐々に動かしづらくなっていく。

皮肉にも、オレの消滅期限は美季の寿命と重なるらしい。


全く、神様って奴ァ、どーしてこう意地悪なのかねぇ……。


オレはカーテンを開けた。眠っている美季の呼吸はか細く、表情は険しい。


傍らには、昨夜書かれたと思しき手紙が置かれていた。



『10日間ありがとうございました。少しの間でも、あなたに会えてよかったです。もし、もう一度生まれ変わる事があるのなら、その時は……あなたの横に、いられたらいいなぁ。

なんちゃって。

きっとこの世界で、幸せになって下さい。


大好きな(じょう)君へ 美季より』


走り書きの、しかし丁寧な女文字。それも、しっかりした日本語で書かれていた。


あぁ、本当にバカだオレは……。


何も知らなかったのは、最後までオレだけだった。


会いたくて仕方なかった、オレのせいでこの世界の男と一緒になる道すら絶たれた。そのオレを目の前にして、気丈に、優しく振る舞っていたのだ……。


「ちくしょう……なんでそんなに優しいんだよ……!!恨み言の一つくらい、言ってくれりゃ良いのによ……!!」


終わらせるもんか……。最期になんてさせない……!!



涙を拭い、ポケットから砂時計を取り出し、美季の頭の上で握りつぶした。

少々手のひらに痛みが走り、拳から砂粒がこぼれ落ちる。


緑の砂は美季の額に落ち、淡く光る。


光は、水滴の様に全身に広がり、美季の体を包み込んだ。


これでいい……。


淡い光が消えると同時に、美季の呼吸は安定し始めた。


お前、幸せになってくれよな……。


美季の体から溢れんばかりの生命エネルギーを感じ、同時にオレの足先が消えていく。なのに、オレは直感的に、安堵していた。


ここで全てが上手く行かなくても、オレの行動はムダにならない。ベル……ごめん、約束守れなかったわ。そんで、ありがとな。オレはここでいなくなるけど、お前もちゃんと、幸せになれよ。


消えていく自分の体を眺めながら、止まらない涙を押し殺す様に、オレは無理くり笑った。


でも、不幸じゃない。この数日間、出会った人達の止めどない愛と温もりのおかげで、オレはこの上ないくらい、幸せだった……。

訂正


ルッキーをキャラクター紹介の時、生意気盛りのやんちゃ少年と紹介しましたが……嘘だ〜!(泣)


「冷淡で人見知りなサッカー少年」としておきます!

考案時に別のキャラクターと混同してしまいました〜〜!!

すいませんでした……!

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