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シフォンケーキの向こう側  作者: 杉乃 井草
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その先に見えるもの

ボクはこのクリスマスで誕生日を迎える。


そう、冴えない三十路の独り者だ。

今年の誕生日も自宅にこもって一人で大好きなシフォンケーキを食べよう。

そんな他愛もないことを考えながら職場の片隅にある小さなクリスマスツリーを見ていた。



仕事も終わり、誰に誘われることもなく会社を後にした。

自宅は都内でも珍しい高架ではない平面のホームから直接降りる田舎風の駅で、

改札を抜けると踏切を渡る方向にマンションはあった。


駅まで歩いて5分とかからない。

静かな商店街がある大好きな街並みだ。


途中のコンビニで買い物をするつもりが、顔なじみのお総菜屋さんの奥さんに捕まった。

「あら、今帰り?相変わらずマジメなのね。彼氏いないの?」


そう言っていつも声をかけてくれるので、ここではついつい買ってしまういいお得意さんだ。

「今日はメンチが揚げたてだよ、2つは要らないんだっけ?」

「あ、はい。」

(頼んでないのに…)


「サービスでアジのフライ入れとくからね、はい130円ね」

「あ、あの~ 今日はひじきの煮物も頂いていいですか?」


「あら、珍しい、涼ちゃんひじき食べるんだ」


奥さんは満面の笑みで商品を包んだ手さげを渡してくれた。

親父さんも奥から声をかけてくれた。

「まいどありー」

「いつも可愛いよー」


(親父さんの声は人一倍大きから恥ずかしいよ)


お代を渡すと逃げるようにその場を後にした。


「ふ~ びっくりした」

そう、ボクは人に話しかけられることが苦手で人見知りだ。

そんな事もあって友だちもできないのかもしれない。


いや、もっと他に理由があるのは自分でも判っているつもりだ。

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