表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

少女とかみさま

少女は死にました。不幸に、不安に、死にました。少女は願いました。幸せに、普通に、生きたいと。


そんな少女にかみさまが声をかけました。


『君は何を望むんだい』


だから少女は言います。


「普通を望みます」

かみさまが言いました。


『君は何を望むんだい』


だから答えました


「普通を望みます」


かみさまはわらいました。


『いいよ。普通をあげよう』


そして、意識が真っ暗になりました。




だから、私は知りません。

その後に零された一言なんて、知りませんでした。



『君の言う、普通ってなんなんだろうね?』

.

..



私の目が覚めるとそこは知らない世界でした。

私は、広い広い草原の中で寝ていたようです。

手を動かしてみました。動きました。

目で世界を見ると、世界は鮮やかで眩しすぎました。

赤い空には真ん丸な月が見えます。

ゆっくりと、私は体を起こしてみました。

草原の草は高く、私の腰ほどまであります。

いえ、もしかすれば私が小さいのでしょうか?

じっと視線を下げたり手で体に触れます。


腰まで伸びた長い黒い髪…普通です。

怪我のあとのない白い手…普通です。

灰色の膝丈のワンピース…普通です。


瞳の色はどうなのかと思いました。

横に、銀のナイフが落ちていたのでそれを拾いました。

何故落ちていたのかはわかりません。でも拾いました。

ナイフを持つのは普通じゃないです。

だから、私ははやく瞳を確認してナイフを捨てます。


瞳…瞳は黒ですが、どことなく赤が混じっている気もします。

光の当たり具合では紫にも見えます。

瞳…普通じゃないです。思わず顔をしかめました。


そのまま銀のナイフを眺めていました。

きらきらと、光を反射しています。

後ろで草原の草ががさり、と揺れました。

なんだか、嫌な予感がしたので振り返ります。


そこにいたのは、普通じゃないものでした。

大きな犬、と言えば聞こえがいいかもしれません。

ですが、首が別れて頭が二つあります。

思わず後ずさりましたが、犬らしきものもこちらへ近寄ってきます。

少しこわいです。

なので、どうしよう、と考えます。

だって、私は普通に生きたいんです。

だから、考えます。


手の中にはきらきら輝く銀のナイフ。


私は、普通がいいから、普通を望むから…そのために、普通ではないことをしました。


無我夢中で、銀のナイフを犬らしきものに向けます。

何度も何度もその体を突き刺しました。

腕や髪には爪のあとがたくさんです。

髪もぼさぼさで、服も汚れました。

でも、私は生きています。

死んでないです。生きてるんです。


今度こそ幸せになりたいんです。

普通になりたいんです。


でも、この世界は私の知る普通じゃないです。

なので、この世界の普通を学ばなければなりません。


私はこの草原を抜ける事ができるでしょうか…


……ここが何処かなんて、考えてはいけないんだと漠然と思いました。

ここまでお読みくださりありがとうございます。初めての投稿ということで拙い部分も多々あるかもしれませんが、楽しんでいただけていれば幸いです。感想、問題等ありましたら仰ってくださると嬉しいです。

ゆったりとした更新になるかもしれませんが、宜しくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ