私の父は魔王です
私の父は魔王です。
どうも、転生して魔王の娘になりました。
ここは所謂、『剣と魔法のファンタジー』的な世界です。
私の12歳の誕生日。
魔王(私の父)がプレゼントとして町を滅ぼしたと聞いた瞬間、
「なにやってんじゃボケェェ」
と魔王をぶん殴って、記憶が蘇った馬鹿です。
前世からのツッコミ体質な私。
えぇ、見事にアウトですね。
記憶が蘇る前なら、
「ふふっありがとうございます、お父様」
なんて可愛らしく口に手をあてながら微笑みましたとも。
けどあの瞬間、私の右手が動いてしまったのでしょうがないと開き直ります。
まぁ、あの馬鹿父ならケロっと騙されますが・・・
そこは置いておいて、今日、勇者が魔王城(随分とネーミングセンスが無い名前の家)に訪問(と、言う名の討伐)してきます。
いや、追い返せよ勇者。
何入れる気満々なわけ?
殺されたくないし、つか魔王の娘を辞めて幸せな老後を築きたい。
馬鹿父のせいで・・・
『魔王様、勇者が一週間後に訪問しに来ます』
『へぇ、そっか』
でも、馬鹿父が対応するわけなく、私に押し付けられた。
「お嬢様、素敵ですよ」
あーコルセットで臓器が口から出てきそう。
ハイヒールは痛い。
バランス崩しそう。
自主規制がかかりそうな言葉を、頭の中で馬鹿父に言いつつ勇者の所へ向かう。
引きずるドレスと、ガチガチに固められた髪型。
気分はまるで、葬式に向かうよう。
死亡フラグを回避出来ない事を恨みつつ、ドアの前でこれからの事を考える。
無理だ。
逝ってきます。
覚悟を決めていざ行かん。
心は戦国武士の如く。
数分後、私は何故か勇者に求婚される事になるとは予想していなかった。